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手斧研ぎ。
スイススウェーデンのハルタフォースというカッコイイ名前の会社の斧。



手斧は、この動画のように持って突き研ぎすると安定した角度でわりと簡単に研げる。
ただし砥石の選択が大事で、ふつうの包丁を研ぐような中砥石だと、砥石がガリゴリに彫れてしまうと思う。
強く力を入れることができる、斧自体が重い、削る必要のある量が多い、といった理由で、砥石に強い負荷がかかりがちなのである。
変形しずらいあらと君でも砥石が減りすぎるので、シグマパワーの120番を使っている。

シグマパワー120番は荒くて硬い砥石だが、硬い鋼材はツルツル滑って掛かりが悪い。面直し砥石として使えるぐらいである。
割込みや合わせだと、柔らかい地鉄部分はゴリゴリおろせるが、焼き入れした硬い刃鉄部分はツルツルすべって研げている感じがしない。研いでいると地鉄か刃鉄かどちらが砥石に当たっているかすぐわかる。
全鋼でHRC58ぐらいの包丁でも、かなり滑って掛かりが悪い。

しかし斧はかなり柔らかいので、この砥石がいいのだ。
ピーキーな特性の砥石だが用途が嵌まるとほかの砥石に替えられない能力を発揮してくれる。
面直し砥石でも研げるかもしれない。

この研ぎ方でも、大型の斧はヘッドが重く柄も長いので、持てない。大型の斧は砥石を手に持って研ぐ。
全鋼の斧はもともと鋼材があまり硬くないし刃が分厚いので、グラインダーで削っても焼き戻りの悪影響はほとんど無いかもしれない。(ハガネが割込んであるものはやめた方が良い。)


鉈の注文も少ないけど、斧はお客さんからは初めてじゃないかなあ?
自分のとか友達のは研いだことがあるんだけど。

洋斧研ぎ図

欧米の手斧は、このハルタフォースとハスクとバーコのものを研いだことがあるが、断面形状は全て上図のように側面の肉を絞ったホローグラインド形式だった。
バーコの大型の斧は肉抜きが無い平らな側面だった。「スプリッティングアックス」と書いてあったので、薪を縦割りする専用の斧だと思う。
うちに和斧の片手斧があるが、やはり側面の肉抜きが無い平らな側面だ。

バーコの大型斧は私には重く、上手に薪割りできなかったが、持ち主の剣道四段の友達は一番薪割りしやすいと言っていた。

上図のような肉抜きした薄い刃の斧は、薪割り(縦割り)に使おうとすると、刃が薪に食い込んで抜けなくなることがある。
刃が分厚い方が重いし切れ味は悪いのだが、薪割りという用途に限定すれば具合が良いのである。

上図のような肉抜きした薄い刃の斧も薪割りに使わないということはなく、割り裂くという機能は重要なので、包丁のように刃縁の厚みを削いではいけない。

Youtubeで斧を研いでいる動画を何本か見るとコピー用紙みたいなのを切ってみせていたけど、あんなのぜんぜん必要無い。時間をかけて磨き上げた紙が切れるような切れ味なんか樫の木でも叩けば一撃で無くなってしまうだろう。
欠けが残っててもいい。鉈とか斧とか鎌はどうしても石とか釘とかに当てて欠けてしまうことがあるけど、しつこく欠けを落とすと時間はかかるし刃が減ってもったいないだけ。
ピカピカの側面もいらない。私の動画もちょっと光らせてるが、実用的にはいらない。120番で研ぎっぱなしでも良いと思う。

テーマ : 刃物の修理
ジャンル : 趣味・実用

裏押しはダイジ

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刃元が少し凹んでいる。

ふつうに見ても、かなりよく見ないとわからないが、


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こういうふうに見ると刃元のあたりが凹んでいることがわかると思う。

この歪みの原因を考えるとき、まず前提として裏押しがきちんと平らに出来ているかどうかが問題になるのだ。

裏が平らであるとわかっていれば、原因は切刃が凹んでいるからだとわかる。


実際のところ、刺身包丁は刃元にこれぐらいの歪みがあっても何の問題も無いだろう。
カンナの刃がこんなふうに曲がっていたら使い物にならないが。

仮に刃の真ん中あたりが凹んでいたとすると、使用に支障が出るので、修正しないといけない。
そういうとき、もし裏が凹んでいることに気付かないでいると、切刃をどれだけ研ぎ込んでも刃道はまっすぐにならない。
包丁も砥石も時間もムダにしてしまう。



出刃包丁。

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切っ先のハガネがすごく薄くなっている。

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裏を返してみると、

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やはり、

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先の方をかなり研ぎ込んでいる。
中砥石あたりで研いでいるのだろうと思う。

このまま使い続けるとこうなる。
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-316.html

裏を研ぎすぎている包丁は私が見たかぎり全て先端の方が多く減っている。全体が平均的に減っているとか、刃元側が多く減っているという包丁は、見たことがない。考えられる原因はいくつかあるが、決定的にこれだというものは思いつかない。


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テーマ : 包丁研ぎ
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変わったナイフ

こういうナイフ。

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別にそんなに変わってないじゃないかと思うだろう。
私も思った。

物の形には意味がある。
ポイントが峰側上部に向いていてやや反っているナイフは、押したり突いたりして切る動作に適している。
ナイフで典型的なのはスキナーだ。
これは狩猟で使われるナイフで、動物の皮(スキン)を剥ぐときに反りの部分を押し込んで切っていくから、こんな形になっている。
欧米のシェフズナイフは日本の牛刀と比べるとポイント(切っ先)が峰寄りになっている。そして牛刀と比べて刃線に直線部分が少なく、全体が曲線気味になっている。これは俗に「欧米は押し切りだから」というような理由であるよりも、切り方が違うからだと思う。

↓この動画の1分30秒ぐらいのところでスライスの方法を説明している「ロッキングモーション」というやつ。



先端をまな板に当てたままロッキングチェアーでゆらゆらするみたいに刃元を上下させて切る。
この切り方だと刃線が全体に緩やかな曲線になっている方がいいのだろう。
和食の板前さんが書いている伝統的な包丁の使い方の本では、包丁をまな板と水平に上下させて切ると説明されている。だから菜切包丁や薄刃包丁の刃線はまっすぐで良いのだ。牛刀は明治時代以降に食肉文化とともに日本で普及した形の包丁なので、ポイントが少し刃線寄りに下がって直線部分が増えたのかなと推測される。さらに日本の調理スタイルに合う形にアレンジされたのが三徳包丁だ。

さて、はじめのナイフに戻ろう。
スキナーという特殊な例を挙げたが、多くのナイフは実際のところ用途が特化されておらずいろいろな使い方をされるものなので、ポイントが峰側か真ん中あたりかということにそれほど大きな意義は無さそうなものが多いのである。作った人、使う人のデザイン的な好みの問題であったりする。
逆に言うとかなり特異なデザインの場合には何か意味があるのだろうと推測されるのである。
そしてこのナイフはかなり特異なデザインだったのである。

実はこれが正しい姿。ツイッターみたい。

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そう、直線の側に刃がついているのである。

しかも片刃。

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反対面はフラット。

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カエリを落とすのに少し砥石に当てたような痕跡があるが、角度はついていないのだ。
表も裏も側面はホローグラインドで凹んでいて、”裏”に小刃がついている。表には小刃がつけていない。裏押しも無い。
左利き用の裁ち鋏と同じような構造。

フローリストナイフと言うそうだ。
実は先端を欠いてしまって直線気味になっているが、元々はもっと内反りの曲線になっていたらしい。
左利き用ではなく右利き用だ。

残念ながら研いでいるところも研いだあとも、写真も動画も無いのだが、こういう小さくて内ぞり気味になったものは砥石を横にして立てて、側面を使って研いだりする。そして左手が使えれば左手で持って研ぐ。だいぶ普通じゃない研ぎ方になるのである。
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テーマ : 刃物
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データ不良

撮影した写真や動画のデータが、読み込みづらくなることがある。
だいぶ前からちょくちょくあった現象なのだが、いよいよひどくなっていた。
動画作成が滞っていた主な原因のひとつである。
動画編集しようとしてもデータがフリーズして動かなくなってしまうのだ。

以前の動画は1~2万円の安いカメラで撮影していたのだが、いまは動画撮影できる一眼レフを使っている。
保存データ形式がきれいなタイプに変わったりして同じ撮影時間でもデータサイズが大きくなっている。
で、ふだんはソニーが提供しているPlayMemories Homeというソフトで画像を閲覧するのだが、これを起動するたびに

「ファイルデータのサイズが大きいとプアなPCではうまく再生できないかもしれません」

的なメッセージが表示されるので、そういう原因もあるのかもなあと思って保存データの形式をあまりきれいじゃないけど軽いものに変えてみたりしている。
それでも動画を見ようとするとたびたびフリーズして動かなくなるのである。

なお、うちのPCの記憶装置は、ローカル(C)500GB 、データ用内臓2TB、バックアップ用外付け500GB、同バックアップ用外付け2TB、という状態になっている。

カメラのSDカードは64GBだ。これだけもあれば相当余裕なつもりなのだが、だらだらと動画を撮って削除していないでいると、ときどきいっぱいになってしまうことがある。静止画しか撮れないカメラを使っていたときには考えられなかったことだ。
64GBの30回分ぐらいで2TBのHDDでもいっぱいになってしまという勘定である。
おかげで、内臓データ用HDDもバックアップ用のHDDも残りが少なくなってきていた。それも原因で読み込みが遅くなっているかもしれない。
そこでバックアップ用のHDDを買い足すことにした。HDDだけだと信用できないのでついでにブルーレイディスクでも保存しておくことにした。

そして先週、4TBの外付けHDDと外付けのBRレコーダーとBRディスクを購入したのである。
さらに、カメラのSDカードも怪しいかもしれないので、念のために最新のアクセススピードが速めのやつを買い足した。
以前の外付け2TBHDDはお役御免で箱入りにさせた。

で、ここ数日は新しいSDカードを入れて撮影したファイルを取り込んでみている。
ところがやはり動画はアクセスしづらく停止してしまうことがあるのだ。
カメラ本体がおかしいのだろうか。

そしていまも、内臓2TBHDDから新しい外付け4TBHDDにデータ移行させているところなのであるが、しょっちゅう止まってデータが移行できない。テラサイズのデータを移行しているのに「速度177KB/s」とか「残り時間2日以上」とかいう表示でフリーズしているのだ。涙がちょちょぎれる。壊れてしまっているファイルがたくさんあるのかもしれない。

いよいよパソコン自体を買い替えなければならないのだろうか。
パソコン本体を買い替えると、厄介なのはソフトもたくさん買い直さなければならないことだ。私の場合は少なくとも静止画編集ソフトと動画編集ソフトは有料のものを買わなければならないだろう。セキュリティーソフトはまだ1台分ぐらいインストールできたと思うのだが。

まあともかく、そんなこんなでここ数週間ぐらい悩まされているのである。




で、あれこれやっているところなのだが、実は、原因がおそらく判明した。

たぶん、内臓の2TBのHDDが死にかけているのだった。

新しい外付けHDDにコピーした動画データは停止せずにふつうに再生されてくれるのである。
そしていま、動画ではなく音楽ファイルを内蔵HDDから新しい外付けHDDに移行させようとしているが、これもフリーズしている。

考えてみれば書いたり消したりいちばん酷使してるHDDはこれなんだろうな。
ローカルのHDDも交換しといた方がいいのかな?
そうするとやっぱり、有料ソフトは買い直しになるの?

ともかく動画ファイルが普通に動いてくれるようになったら動画作成再開できると思います。
年末なので仕事自体が忙しくもあるのですが。
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両刃を片刃

両刃の包丁が片刃気味に研いであるのって全然珍しくはなくて、それをいちいち両刃に直そうとすると、刃を余計に減らすし、作業料が多くてしんどいし、そういうのはだいたいお客さんが自分で砥石を使って研いでいるので片刃気味の方が研ぎやすいんだろうし、両刃に直したところでまた片刃になってしまうだろうから、私は片刃気味になっているものは元がどうであろうとその形なりに研いでお返ししている。
片刃と両刃ではものを切った時の刃の進み方が違うが、どっちが良いという問題ではなく好みの問題だと思うし。

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またでっぷりとした片刃に仕上げられたものであるが、、、
少し厚みを抜くぐらいにしておこう。忙しいし。


ありゃま!

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堺屋直助じゃん!!

これって割込みだよな・・・ヤヴァイ・・・・

刃元拡大

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切っ先拡大

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すっかり皮かぶっちゃっています。重篤な真性包茎です。切っ先に軟鉄が出てしまっているのでこれでは切れ味が出ない。

両刃の割込み包丁も片刃に研いでいいのだが、その場合、まずは裏を平らに研いでハガネを十分に出しておいてあげる必要があるのだ。
両刃を片刃に改造するときは裏から研ぎはじめること。
割込みではない、全鋼の包丁でも、両刃になっているものを片刃にするなら裏を平らにすることから始めなければならない。

こういうふうになっている包丁も今まで何本も研いで来たから知っているのだが、どれぐらい裏を研ぎ込んだらハガネが出て来てくれるのかは、見てもわからない。いつかは出るのはわかっているが、荒砥で10分研げばいいのか、30分研いでも出て来ないのか、研いでみないとわからないのだ。
わかっているのは力仕事になるということだ。

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今回はぎりぎりハガネが出るとこまでしかやらなかった。
時間が無かったから。
むちゃくちゃしんどいし。
ニッパチとかの暇なときならもっとしっかり削ってあげるんだけど。


今日はこれとおなじような状態のがもう一本来た。
「新見♡松永」印の武田刃物さんの青紙スーパーの割込み包丁だ。
しんどかった。

なんか、府中市におかしな研ぎ方をする研ぎ屋がいるかもしれない恐怖。


来月は23日24日のイブ絡みの連休に行きます。
白糸台の馬力屋というバイク屋さんです。
去年もクリスマスだったけどお客さんが一人も来なくて寂しかったなあ・・・
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テーマ : 包丁研ぎ
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大刀剣市!

11月16日(金)~18日(日)に銀座で毎年恒例の「大刀剣市」が開催される。葉書で案内を頂いた。
http://www.zentosho.com/daitoukenichi/
16日金曜日に行くつもり。買わないけど。ご一緒していただける方がいたらご一報ください。

刀剣は好きでたまに美術館的なところに見に行くんだけど、ケースの中に入ってて近づきづらく当然触れない。
だいたい暗い。ライティングが一定方向なので見づらかったりもする。
良い刀しか並べてないので良し悪しの比較ができない。

刀剣商の店舗にはほとんど入ったことが無い。買えるお小遣いも無いし維持する自信も無く、冷やかしで入るのは心苦しいのだ。
何百振りもの刀剣が一堂に会して好き放題に見たり触ったりできる(触れないのも多いけど)、めったに無い機会。

研ぎの勉強にもなる(かも)。


ついでに、12月1日(土)に日本鉄鋼協会「鉄の技術と歴史」研究フォーラムのフォーラム講演会がある。
https://www.isij.or.jp/mu63cqs7v
今回は日立金属の冶金研究所というところの方が来られるので、懇親会にも参加していろいろ聞jければと期待している。
こちらもご一緒していただける方がいたらご一報ください。

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テーマ : 刃物
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「高さ」の件

多くの人にとって家庭で包丁を研ぐ際に問題になっているのは、高さではないかと思う。

ときどきよそのお宅のキッチンで包丁を研ぐことがあるのだが、そういうとき、私はコンテナボックスで作った研ぎ桶を持参する。その分高くなるのでたいてい問題は無い。
しかしときどき、その家にあるものだけを使って研がなければならないことがあるのだが、キッチンカウンターに直接砥石を置いたり、キッチンシンクに渡した研ぎ台を使ったりすると、たいてい高さが低く、大股開きの体勢で研がなければならなくなってしまう。
私の身長は170センチで日本の成人男性の標準的な背丈であるが、キッチンの高さは女性向けに作られている場合が多いからだろう。

高さが問題になる理由は、高すぎても低すぎても、研ぐときの手首の角度に無理が生じるからだ。

刃物をうまく研ぐためには刃物の角度を一定にしなければならないと言われている(私は一定ではないが。)。
刃物の角度を一定に保つために、手首はどうあらねばならないのだろうか。
手首の角度も一定にしなければならない、という人がいるが、それは間違い。砥石と包丁の角度を一定に保ったままで研ぐとき、手首は、その角度を維持するために常に立体的に動いているのである。

主観的には手首を動かそうという意識は無いだろう。また、うまく研げるようになると視覚的には包丁とそれを握っている手は平行移動しているだけで動いていないように見えるので「動いていない」と錯覚するのかもしれない。しかし実際には手首がスムーズ且つ精密に動くから包丁と砥石の角度を一定に保つことができるのだ。

そこで刃物を研ぐときには、まず、手首の可動域に無理が生じない高さと距離で研ぐということが大切になってくるのである。
砥石の位置が高すぎても低すぎてもいけないし、体と砥石との距離が遠すぎても近すぎてもいけない。距離はたいてい調整できるのだが、高さは手近にあるものではうまく調整できないことが多いのだ。

キッチンの高さは刃物研ぎだけではなく料理をする際にも問題になるはずだ。
しかし料理をするときよりも刃物を研ぐときの方が、高さによる問題は大きいと感じる。
料理の場合でも何十分も続けてキャベツの千切りをするようなことがあればキッチンの高さが問題になってくるかもしれないが、家庭料理ではそのような反復作業を連続することは少ないので、あまり問題にはならないのだろうと思う。

ところで、キッチンの高さはどれぐらいのが適正なのだろうか?
インターネットでキッチンの高さを調べてみた。

すると優和プランニングという会社のホームぺージで

身長(㎝)÷2+5㎝

https://yuuwa-planning.jp/blog/2016/12/25/a-kitchen-the-height/#i-3

と書かれていた。

私の身長はおよそ170センチなので、この計算によると90センチが適正ということになる。試しに私の普段の仕事場で砥石を置く位置の高さを測ってみたら、ちょうど90センチぐらいだった。研ぎ台の高さがおよそ75センチで、その上に高さ15センチの研ぎ桶を置いているのである。研ぎ台はパイプを組みつけて作ったもので、ネジを緩めれば高さ調整ができるようになっている。

特に男性の場合、家庭の台所で刃物を研ごうとすると高さが低すぎる場合が多いと思うので、研ぎ桶を作ったりして適正な高さに調整した方が良いだろう。
研ぎ桶があると、研ぎ汁が垂れ流しにならないのでキッチンがあまり汚れないし、使ったあとの砥石も収納しておくことができる。

逆にキッチンシンクが高すぎるという方がいるとしたら、足元にスノコのような台を置いて研がれると良いと思う。
ふだんの台所仕事もしやすくなるのではないだろうか。
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ハサミの研ぎに関するご質問

鋏の研ぎ方について質問があった。
勝手で申し訳ないが一部引用してブログ記事で回答させていただく。


****************

時々裁ちばさみを研いでもらいたい、という要望があるのですが、現在はお断りしています。ただ、安い事務用ハサミは、動刃も静止刃も刃線が直線なので、小刃の角度に気を付ければ研げるので、これは包丁砥ぎのサービスとして砥いでいます。

裁ちばさみは、動刃の刃線が直線ではなく、アールを持っているので、下手に研ぐとアールを崩してしまうのではないかという恐れがあります。

貴殿のyoutubeで見させていただいても、動刃のアールを崩さずに砥ぐにはどうしたらよいか、読み取れませんでした。

何かご教示いただければ幸いです。

****************


「動刃」「静刃」は理美容シザーで使われる用語だ。

理美容シザーは親指と薬指を輪っかに入れて使う。主に親指を動かしてハサミを開閉するので、親指を入れる方の輪っかの先にある刃を「動刃」といい、小指を入れる方の輪っかの先にある刃を「静刃」というのである。
裁ち鋏では親指を入れる輪っかと四本指を入れる輪っかがあるが、どちらも動かすからだと思うが「動刃」「静刃」といった呼び分けはされていない。文具用の鋏には左右対称の形状で左右の区別が無いものもある。


さて質問についてだが、文中の「アール」は刃体の広い面のシルエットに見える刃線のカーブを意味すると考えられる。
鋏の刃体は立体的な曲面で構成されていてそれぞれに意味があるので、どの「アール」のことかがはっきりしないと議論がテレコになってしまうのである。
仮にこれを「刃線R」と呼ぶことにする。「刃先R」と混同しそうでややこしいのだが。

刃線Rはぶっちゃけて言ってしまうと直線でもかまわない。

ベルヌーイの螺旋理論を利用したという触れ込みのフィットカーブという鋏が一時評判になったが、要はカーブしていないと「切断点」が尖先に近づくほど力が必要になる、カーブが強いと先端でも軽い力で切れる、という理屈である。
画期的な発明のように持ち上げられていたが、そんなことはベルヌーイ螺旋理論を持ち出さなくてもわかっているから、鋏の刃線Rはむかしから緩やかにカーブしていて、先端にかけてカーブが強めになっている。フィットカーブという鋏はベルヌーイ理論を強調するためにカーブが強いせいで身幅が広くずんぐりむっくりした形になってしまっているが、身も蓋もないことを言ってしまうと、そもそも文具鋏なんかでは、切るために強い力が必要なものは切ってはならない。ふつうのナイフで切るか刃元で注意深く切るべきだ。

多少のカーブがあった方がベターである、というだけなのだ。
むろん、不必要に刃線Rを直線にしてしまうことは避けるべきだ。
機械研ぎ器で切れるようになるまでがむしゃらに研ぎまくった結果まっすぐになってしまった、なんていうのは論外である。

刃線のRを崩さずに研ぐ方法は、鋏だけでなく包丁やナイフも同じであるが、立体軸でいうところのロールの軸を変化させながら研げばいい。(ロール、ピッチ、ヨーは説明がめんどくさいので各位調べてください。)
研ぐときに、右手で鋏を保持して、左手の指を添えて砥石に当てている場合、右手を上下させる動きである。
私はロール軸とピッチ軸の変化で研ぐ場所や刃体を当てる角度を変えている。研ぎながらヨー軸を動かすことはほとんど無い。砥石によってヨー軸を変えることはあるが、一つの砥石では基本的に一定である。

刃線Rを崩さないように研げるということは刃物研ぎの基本的な技術であるが、切れない鋏を切れるようにするための本質的な問題ではない。

切れない鋏を切れるようにするためには、まず、なぜその鋏が切れないのかという原因を見極められなければならない。
一定の角度で小刃を研ぐことで切れるようになる鋏は、刃線の損耗が原因で切れなくなっていた鋏である。
現実には刃線の損耗で切れなくなることがいちばん多いと思うので、小刃を研ぐことで切れ味が回復することが多いの。小刃を研ぐにしても、コピー用紙などを切る場合はごくわずかな繊維の切り残しがあっても千切れるので、文具鋏はそれほど精度は必要とされないのに対して、布は糸が一本でも切れずに残ると繋がったままになってしまうので、裁ち鋏は文具鋏と比べてずっと高い精度が求められる。私はまだメガネはかけていないが乱視なので、鋏を研ぐときにはヘッドルーペで小傷が無いか確認している。

しかし鋏が切れなくなる原因は刃線の損耗だけではない。
最低限「反りの狂い」と「裏スキ角(造語)の狂い」は見極められなければならない。
このふたつと刃線の損耗で、ほとんどの切れない鋏の切れない原因はカバーできると思うので、まずはこれらの三つについて理解できている必要がある。
しかしこのほかにも、触点が摩耗していたり要ネジが変形していたり要ネジのネジ穴が広がっていたりと、通常考えられない部分に問題があるものもある。
やはり鋏の全体的な構造を理解している必要がある。
簡単には説明できない。
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【10月14日(日)】 包丁研ぎ講習会のご案内

【10月度】 包丁研ぎ講習会のご案内 
研いでもらうより自分で研ごう!
技術は身につければ一生の宝もの!!
 


お申込みはこちらから
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=a116c701ba53a59f


場所 青山熊野神社
日時 2018年 10月14日(日) 13時~16時ごろ 【雨天中止】

定員 4名

講師 研ぎやTOGITOGI 代表研ぎ師 坂田浩志

費用 6,000円

持ち物
講義/筆記用具
実習/ エプロン

実習で使用する包丁や砥石などは、主催者側でご用意します。
ご自分の包丁は持ってきても持って来なくてもかまいません。
荒砥石も使うため、大きく減ったり深い傷がついたりする可能性があり、包丁を持ってきて頂いても練習用の包丁しか使わない場合があります。

概要
今回は、家庭用の「両刃包丁」が対象です。
包丁を研いだことがない初心者でも参加していただける内容にします。
ただし、理屈っぽいです。
「サルでもできる!すぐできる!」という内容ではなく、「正しい方法」をご教示します。
プロの方などで、どうも研ぎ方がうまくいかないという方にも、お役に立てる内容だと思います。

お申込みはこちらから
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=a116c701ba53a59f

アクセス
東京都渋谷区神宮前2丁目2−22
最寄り駅 東京メトロ銀座線「外苑前駅」 徒歩5分


<注意事項>
・雨天中止です(屋外開催のため)。
・蚊が多いと思です。
・車の駐車スペースは敷地内にはありません。

<禁止事項>
・飲酒・酒気帯び状態での参加は禁止します。
・当日体調のすぐれない方の参加も、ご遠慮いただく場合があります。
・このほか、危険防止や円滑な会の進行のための主催者による指示に従わない方は、主催者の判断で退出を命じる場合があります。

<免責事項>(いずれも主催者に重大な過失があった場合を除きます。)
・刃物によるケガや器物の損壊について、主催者は責任を負いません。第三者との関係で負傷や器物の損壊が生じた場合、当事者同士で解決していただきます。
・主催者の責によらない事由によって講習会に参加できなかった場合、または主催者の判断で参加者が退出を命じられた場合、既にお支払いいただいている金銭は返金いたしません。


お申込みはこちらから
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=a116c701ba53a59f
メールフォームに問題がある方は fe26cr24@gmail.com
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鋏正宗の裁ち鋏 B-A

裁ち鋏研ぎのビフォーアフター。

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実際の感じは、下の刃体の錆はそれほど赤く見えなかった。
バエ狙いでコントラストと彩度を調整したのでひどく見えている。

いずれにしても、表面はどれほど錆びていても見栄え以外は大した問題ではないのだ。
問題なのは裏である。

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裏は表ほど錆がひどくない。
上下の刃体とも、下側の側辺が刃線である。
問題は刃線にかかる錆の深さだ。
刃線の部分の錆が、一箇所でも深いと、布切り鋏の場合はそこだけ糸が切れなくなってしまう。
すると布の繊維の一本だけが切れずにつながたままという事態になる。
理美容鋏でも髪の毛が一本半分だけ切れて残ってしまうといった事態になる。
紙は、一本一本の繊維が弱く、糊で緩やかに固められているだけなので、繊維が2~3本切れ残っても気づかないうちに千切れてしまうので、刃線にちょっとぐらい傷があっても支障は無いのだ。
布切り鋏や理美容鋏の修理がシビアなのはそういう理由である。

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裏錆がきれいになるかどうかは、研いでみないとわからない。
幸い、このハサミはきれいになった。
布を切る関係の仕事で実際に使われていたようなので、見かけはともかく切れ味はそうひどく無かったのだろう。
鋏で錆が深いものはたいがい、錆びたからどうしていいかわからず長いあいだ放置していた、という類のものだ。

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けっこう良いハサミじゃない、と思いながら赤錆を落としてみたら、鋏正宗だった。

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鋏正宗は兵庫県小野市にある吉岡刃物さんの銘である。
鋏正宗は植木関係の鋏をよく研ぐことがあるが、裁ち鋏はおそらく初めてだ。関東は今でも東鋏系が多く、播州の鋏は美鈴の製品ぐらいしか見かけない。
いずれにしても、しっかりした高品質の鋏を作っていらっしゃる会社だ。

どこで買ったんですか? と、お客さんに尋ねてみたが、先輩から頂いたものだということで、よくわからなかった。

裏の錆だけは気を付けてください。

錆が落としづらければ、錆び落としだけでも対応するので早めに持ってきてください。
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