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両刃を片刃

両刃の包丁が片刃気味に研いであるのって全然珍しくはなくて、それをいちいち両刃に直そうとすると、刃を余計に減らすし、作業料が多くてしんどいし、そういうのはだいたいお客さんが自分で砥石を使って研いでいるので片刃気味の方が研ぎやすいんだろうし、両刃に直したところでまた片刃になってしまうだろうから、私は片刃気味になっているものは元がどうであろうとその形なりに研いでお返ししている。
片刃と両刃ではものを切った時の刃の進み方が違うが、どっちが良いという問題ではなく好みの問題だと思うし。

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またでっぷりとした片刃に仕上げられたものであるが、、、
少し厚みを抜くぐらいにしておこう。忙しいし。


ありゃま!

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堺屋直助じゃん!!

これって割込みだよな・・・ヤヴァイ・・・・

刃元拡大

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切っ先拡大

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すっかり皮かぶっちゃっています。重篤な真性包茎です。切っ先に軟鉄が出てしまっているのでこれでは切れ味が出ない。

両刃の割込み包丁も片刃に研いでいいのだが、その場合、まずは裏を平らに研いでハガネを十分に出しておいてあげる必要があるのだ。
両刃を片刃に改造するときは裏から研ぎはじめること。
割込みではない、全鋼の包丁でも、両刃になっているものを片刃にするなら裏を平らにすることから始めなければならない。

こういうふうになっている包丁も今まで何本も研いで来たから知っているのだが、どれぐらい裏を研ぎ込んだらハガネが出て来てくれるのかは、見てもわからない。いつかは出るのはわかっているが、荒砥で10分研げばいいのか、30分研いでも出て来ないのか、研いでみないとわからないのだ。
わかっているのは力仕事になるということだ。

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今回はぎりぎりハガネが出るとこまでしかやらなかった。
時間が無かったから。
むちゃくちゃしんどいし。
ニッパチとかの暇なときならもっとしっかり削ってあげるんだけど。


今日はこれとおなじような状態のがもう一本来た。
「新見♡松永」印の武田刃物さんの青紙スーパーの割込み包丁だ。
しんどかった。

なんか、府中市におかしな研ぎ方をする研ぎ屋がいるかもしれない恐怖。


来月は23日24日のイブ絡みの連休に行きます。
白糸台の馬力屋というバイク屋さんです。
去年もクリスマスだったけどお客さんが一人も来なくて寂しかったなあ・・・
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テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

大刀剣市!

11月16日(金)~18日(日)に銀座で毎年恒例の「大刀剣市」が開催される。葉書で案内を頂いた。
http://www.zentosho.com/daitoukenichi/
16日金曜日に行くつもり。買わないけど。ご一緒していただける方がいたらご一報ください。

刀剣は好きでたまに美術館的なところに見に行くんだけど、ケースの中に入ってて近づきづらく当然触れない。
だいたい暗い。ライティングが一定方向なので見づらかったりもする。
良い刀しか並べてないので良し悪しの比較ができない。

刀剣商の店舗にはほとんど入ったことが無い。買えるお小遣いも無いし維持する自信も無く、冷やかしで入るのは心苦しいのだ。
何百振りもの刀剣が一堂に会して好き放題に見たり触ったりできる(触れないのも多いけど)、めったに無い機会。

研ぎの勉強にもなる(かも)。


ついでに、12月1日(土)に日本鉄鋼協会「鉄の技術と歴史」研究フォーラムのフォーラム講演会がある。
https://www.isij.or.jp/mu63cqs7v
今回は日立金属の冶金研究所というところの方が来られるので、懇親会にも参加していろいろ聞jければと期待している。
こちらもご一緒していただける方がいたらご一報ください。

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テーマ : 刃物
ジャンル : 趣味・実用

「高さ」の件

多くの人にとって家庭で包丁を研ぐ際に問題になっているのは、高さではないかと思う。

ときどきよそのお宅のキッチンで包丁を研ぐことがあるのだが、そういうとき、私はコンテナボックスで作った研ぎ桶を持参する。その分高くなるのでたいてい問題は無い。
しかしときどき、その家にあるものだけを使って研がなければならないことがあるのだが、キッチンカウンターに直接砥石を置いたり、キッチンシンクに渡した研ぎ台を使ったりすると、たいてい高さが低く、大股開きの体勢で研がなければならなくなってしまう。
私の身長は170センチで日本の成人男性の標準的な背丈であるが、キッチンの高さは女性向けに作られている場合が多いからだろう。

高さが問題になる理由は、高すぎても低すぎても、研ぐときの手首の角度に無理が生じるからだ。

刃物をうまく研ぐためには刃物の角度を一定にしなければならないと言われている(私は一定ではないが。)。
刃物の角度を一定に保つために、手首はどうあらねばならないのだろうか。
手首の角度も一定にしなければならない、という人がいるが、それは間違い。砥石と包丁の角度を一定に保ったままで研ぐとき、手首は、その角度を維持するために常に立体的に動いているのである。

主観的には手首を動かそうという意識は無いだろう。また、うまく研げるようになると視覚的には包丁とそれを握っている手は平行移動しているだけで動いていないように見えるので「動いていない」と錯覚するのかもしれない。しかし実際には手首がスムーズ且つ精密に動くから包丁と砥石の角度を一定に保つことができるのだ。

そこで刃物を研ぐときには、まず、手首の可動域に無理が生じない高さと距離で研ぐということが大切になってくるのである。
砥石の位置が高すぎても低すぎてもいけないし、体と砥石との距離が遠すぎても近すぎてもいけない。距離はたいてい調整できるのだが、高さは手近にあるものではうまく調整できないことが多いのだ。

キッチンの高さは刃物研ぎだけではなく料理をする際にも問題になるはずだ。
しかし料理をするときよりも刃物を研ぐときの方が、高さによる問題は大きいと感じる。
料理の場合でも何十分も続けてキャベツの千切りをするようなことがあればキッチンの高さが問題になってくるかもしれないが、家庭料理ではそのような反復作業を連続することは少ないので、あまり問題にはならないのだろうと思う。

ところで、キッチンの高さはどれぐらいのが適正なのだろうか?
インターネットでキッチンの高さを調べてみた。

すると優和プランニングという会社のホームぺージで

身長(㎝)÷2+5㎝

https://yuuwa-planning.jp/blog/2016/12/25/a-kitchen-the-height/#i-3

と書かれていた。

私の身長はおよそ170センチなので、この計算によると90センチが適正ということになる。試しに私の普段の仕事場で砥石を置く位置の高さを測ってみたら、ちょうど90センチぐらいだった。研ぎ台の高さがおよそ75センチで、その上に高さ15センチの研ぎ桶を置いているのである。研ぎ台はパイプを組みつけて作ったもので、ネジを緩めれば高さ調整ができるようになっている。

特に男性の場合、家庭の台所で刃物を研ごうとすると高さが低すぎる場合が多いと思うので、研ぎ桶を作ったりして適正な高さに調整した方が良いだろう。
研ぎ桶があると、研ぎ汁が垂れ流しにならないのでキッチンがあまり汚れないし、使ったあとの砥石も収納しておくことができる。

逆にキッチンシンクが高すぎるという方がいるとしたら、足元にスノコのような台を置いて研がれると良いと思う。
ふだんの台所仕事もしやすくなるのではないだろうか。
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テーマ : 包丁研ぎ
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ハサミの研ぎに関するご質問

鋏の研ぎ方について質問があった。
勝手で申し訳ないが一部引用してブログ記事で回答させていただく。


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時々裁ちばさみを研いでもらいたい、という要望があるのですが、現在はお断りしています。ただ、安い事務用ハサミは、動刃も静止刃も刃線が直線なので、小刃の角度に気を付ければ研げるので、これは包丁砥ぎのサービスとして砥いでいます。

裁ちばさみは、動刃の刃線が直線ではなく、アールを持っているので、下手に研ぐとアールを崩してしまうのではないかという恐れがあります。

貴殿のyoutubeで見させていただいても、動刃のアールを崩さずに砥ぐにはどうしたらよいか、読み取れませんでした。

何かご教示いただければ幸いです。

****************


「動刃」「静刃」は理美容シザーで使われる用語だ。

理美容シザーは親指と薬指を輪っかに入れて使う。主に親指を動かしてハサミを開閉するので、親指を入れる方の輪っかの先にある刃を「動刃」といい、小指を入れる方の輪っかの先にある刃を「静刃」というのである。
裁ち鋏では親指を入れる輪っかと四本指を入れる輪っかがあるが、どちらも動かすからだと思うが「動刃」「静刃」といった呼び分けはされていない。文具用の鋏には左右対称の形状で左右の区別が無いものもある。


さて質問についてだが、文中の「アール」は刃体の広い面のシルエットに見える刃線のカーブを意味すると考えられる。
鋏の刃体は立体的な曲面で構成されていてそれぞれに意味があるので、どの「アール」のことかがはっきりしないと議論がテレコになってしまうのである。
仮にこれを「刃線R」と呼ぶことにする。「刃先R」と混同しそうでややこしいのだが。

刃線Rはぶっちゃけて言ってしまうと直線でもかまわない。

ベルヌーイの螺旋理論を利用したという触れ込みのフィットカーブという鋏が一時評判になったが、要はカーブしていないと「切断点」が尖先に近づくほど力が必要になる、カーブが強いと先端でも軽い力で切れる、という理屈である。
画期的な発明のように持ち上げられていたが、そんなことはベルヌーイ螺旋理論を持ち出さなくてもわかっているから、鋏の刃線Rはむかしから緩やかにカーブしていて、先端にかけてカーブが強めになっている。フィットカーブという鋏はベルヌーイ理論を強調するためにカーブが強いせいで身幅が広くずんぐりむっくりした形になってしまっているが、身も蓋もないことを言ってしまうと、そもそも文具鋏なんかでは、切るために強い力が必要なものは切ってはならない。ふつうのナイフで切るか刃元で注意深く切るべきだ。

多少のカーブがあった方がベターである、というだけなのだ。
むろん、不必要に刃線Rを直線にしてしまうことは避けるべきだ。
機械研ぎ器で切れるようになるまでがむしゃらに研ぎまくった結果まっすぐになってしまった、なんていうのは論外である。

刃線のRを崩さずに研ぐ方法は、鋏だけでなく包丁やナイフも同じであるが、立体軸でいうところのロールの軸を変化させながら研げばいい。(ロール、ピッチ、ヨーは説明がめんどくさいので各位調べてください。)
研ぐときに、右手で鋏を保持して、左手の指を添えて砥石に当てている場合、右手を上下させる動きである。
私はロール軸とピッチ軸の変化で研ぐ場所や刃体を当てる角度を変えている。研ぎながらヨー軸を動かすことはほとんど無い。砥石によってヨー軸を変えることはあるが、一つの砥石では基本的に一定である。

刃線Rを崩さないように研げるということは刃物研ぎの基本的な技術であるが、切れない鋏を切れるようにするための本質的な問題ではない。

切れない鋏を切れるようにするためには、まず、なぜその鋏が切れないのかという原因を見極められなければならない。
一定の角度で小刃を研ぐことで切れるようになる鋏は、刃線の損耗が原因で切れなくなっていた鋏である。
現実には刃線の損耗で切れなくなることがいちばん多いと思うので、小刃を研ぐことで切れ味が回復することが多いの。小刃を研ぐにしても、コピー用紙などを切る場合はごくわずかな繊維の切り残しがあっても千切れるので、文具鋏はそれほど精度は必要とされないのに対して、布は糸が一本でも切れずに残ると繋がったままになってしまうので、裁ち鋏は文具鋏と比べてずっと高い精度が求められる。私はまだメガネはかけていないが乱視なので、鋏を研ぐときにはヘッドルーペで小傷が無いか確認している。

しかし鋏が切れなくなる原因は刃線の損耗だけではない。
最低限「反りの狂い」と「裏スキ角(造語)の狂い」は見極められなければならない。
このふたつと刃線の損耗で、ほとんどの切れない鋏の切れない原因はカバーできると思うので、まずはこれらの三つについて理解できている必要がある。
しかしこのほかにも、触点が摩耗していたり要ネジが変形していたり要ネジのネジ穴が広がっていたりと、通常考えられない部分に問題があるものもある。
やはり鋏の全体的な構造を理解している必要がある。
簡単には説明できない。
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【10月14日(日)】 包丁研ぎ講習会のご案内

【10月度】 包丁研ぎ講習会のご案内 
研いでもらうより自分で研ごう!
技術は身につければ一生の宝もの!!
 


お申込みはこちらから
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=a116c701ba53a59f


場所 青山熊野神社
日時 2018年 10月14日(日) 13時~16時ごろ 【雨天中止】

定員 4名

講師 研ぎやTOGITOGI 代表研ぎ師 坂田浩志

費用 6,000円

持ち物
講義/筆記用具
実習/ エプロン

実習で使用する包丁や砥石などは、主催者側でご用意します。
ご自分の包丁は持ってきても持って来なくてもかまいません。
荒砥石も使うため、大きく減ったり深い傷がついたりする可能性があり、包丁を持ってきて頂いても練習用の包丁しか使わない場合があります。

概要
今回は、家庭用の「両刃包丁」が対象です。
包丁を研いだことがない初心者でも参加していただける内容にします。
ただし、理屈っぽいです。
「サルでもできる!すぐできる!」という内容ではなく、「正しい方法」をご教示します。
プロの方などで、どうも研ぎ方がうまくいかないという方にも、お役に立てる内容だと思います。

お申込みはこちらから
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=a116c701ba53a59f

アクセス
東京都渋谷区神宮前2丁目2−22
最寄り駅 東京メトロ銀座線「外苑前駅」 徒歩5分


<注意事項>
・雨天中止です(屋外開催のため)。
・蚊が多いと思です。
・車の駐車スペースは敷地内にはありません。

<禁止事項>
・飲酒・酒気帯び状態での参加は禁止します。
・当日体調のすぐれない方の参加も、ご遠慮いただく場合があります。
・このほか、危険防止や円滑な会の進行のための主催者による指示に従わない方は、主催者の判断で退出を命じる場合があります。

<免責事項>(いずれも主催者に重大な過失があった場合を除きます。)
・刃物によるケガや器物の損壊について、主催者は責任を負いません。第三者との関係で負傷や器物の損壊が生じた場合、当事者同士で解決していただきます。
・主催者の責によらない事由によって講習会に参加できなかった場合、または主催者の判断で参加者が退出を命じられた場合、既にお支払いいただいている金銭は返金いたしません。


お申込みはこちらから
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=a116c701ba53a59f
メールフォームに問題がある方は fe26cr24@gmail.com
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鋏正宗の裁ち鋏 B-A

裁ち鋏研ぎのビフォーアフター。

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実際の感じは、下の刃体の錆はそれほど赤く見えなかった。
バエ狙いでコントラストと彩度を調整したのでひどく見えている。

いずれにしても、表面はどれほど錆びていても見栄え以外は大した問題ではないのだ。
問題なのは裏である。

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裏は表ほど錆がひどくない。
上下の刃体とも、下側の側辺が刃線である。
問題は刃線にかかる錆の深さだ。
刃線の部分の錆が、一箇所でも深いと、布切り鋏の場合はそこだけ糸が切れなくなってしまう。
すると布の繊維の一本だけが切れずにつながたままという事態になる。
理美容鋏でも髪の毛が一本半分だけ切れて残ってしまうといった事態になる。
紙は、一本一本の繊維が弱く、糊で緩やかに固められているだけなので、繊維が2~3本切れ残っても気づかないうちに千切れてしまうので、刃線にちょっとぐらい傷があっても支障は無いのだ。
布切り鋏や理美容鋏の修理がシビアなのはそういう理由である。

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裏錆がきれいになるかどうかは、研いでみないとわからない。
幸い、このハサミはきれいになった。
布を切る関係の仕事で実際に使われていたようなので、見かけはともかく切れ味はそうひどく無かったのだろう。
鋏で錆が深いものはたいがい、錆びたからどうしていいかわからず長いあいだ放置していた、という類のものだ。

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けっこう良いハサミじゃない、と思いながら赤錆を落としてみたら、鋏正宗だった。

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鋏正宗は兵庫県小野市にある吉岡刃物さんの銘である。
鋏正宗は植木関係の鋏をよく研ぐことがあるが、裁ち鋏はおそらく初めてだ。関東は今でも東鋏系が多く、播州の鋏は美鈴の製品ぐらいしか見かけない。
いずれにしても、しっかりした高品質の鋏を作っていらっしゃる会社だ。

どこで買ったんですか? と、お客さんに尋ねてみたが、先輩から頂いたものだということで、よくわからなかった。

裏の錆だけは気を付けてください。

錆が落としづらければ、錆び落としだけでも対応するので早めに持ってきてください。
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そば包丁の研ぎ台

研ぎ桶を変えたので、それに合わせたサイズでそば包丁用の台を作った。


① 材料はこんな感じ
(1)ソバ包丁より少し広めの杉板
(2)下駄の歯用の細木
(3)薄いベニヤ板

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②杉板を適当な大きさに切る
尺二まで対応できるよう今回は37センチ。

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③研ぎ桶にあわせて下駄の歯になる横木を取りつける。
接着剤+ステンレス釘を使用。
横木は細いので釘より少し細いドリルで下穴を開けておこう。直接釘を打って割れてしまった。

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こんな感じで桶に取り付けられればOK。
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④ ベニヤをこんな感じにカットして、

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台に取り付ける。
やはり釘と接着剤使用。
釘は頭が出っ張ってると刃物に傷がつくので釘締めで叩き込んだ。ラバーとかを張り付けても良いと思う。

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⑤ こんな感じ。

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峰側をミニクランプで固定する。
砥石を手にもって切刃を滑らせて、切刃の厚みをしっかり抜いてあげると、切れ味が良くなる。

刃先がベニヤから少し出て、ベースの台より引っ込んでる、という状態で研ぎたいわけ。
ベースの台より刃先が出た状態で研ぐとスプラッターな状態になる(何度もなった)。


動画はこんな感じ。


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硬度の違いによる損耗状態の特徴

薄く研いだ両刃包丁がこんなふうになるという典型例。

上は濃州兼守という刻印の全鋼量産三徳包丁。
下は實光の割込み包丁。
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兼守の拡大

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鋼材が柔らかいのでぐにゃぐにゃ塑性変形している。


實光の割込み包丁。

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曲がらずに欠けている。

なお、この状態での使用感をお聞きしたところ、大根やニンジンは十分切れるのだが、トマトが切れなくなった、とのことであった。

薄く研がなければこういった欠けやヨレは生じにくい。
欠けやヨレが生じないままで刃先が押しつぶされる乃至すり潰され、分厚く鈍角になっていき、欠けてはいないけどこの包丁より切れ味は悪いくなる。

トマトの切れ味を回復させるためなら、欠けが無くなるまで研ぎ減らす必要は無い。
包丁はハサミやカミソリやカンナとは違うので欠けがあっても支障無く切れる。
しかし商売上の体裁の問題により欠けたまま返すのは憚られるので、欠けが無くなるまで研ぐ。
すると包丁の寿命はけっこう短くなる。
これは薄く研ぐことの重大な問題点だ。しかし解決策は思いつかない。

ちなみに自分の包丁は研ぎ減らすのがもったいないので欠けたまま使っているものもある。

「欠けを残したままでも切れますよ、無くなるまで研ぐと寿命短くなりますよ」

と、お客さんにもお話しすることがあるが、「残したままで」と言ったお客さんは片手で数えるほどしかいない。

「もっと鈍角にすれば切れ味は落ちるけど欠けないようになりますよ」

ともお話しすることがあるが、いまのところほぼ全員に「(欠けても)前の研ぎ方でいい」と言われている。
不服がある人はもう来てくれていないのかもしれないが。
しかしそもそも刃を薄く研ぐようになってきたのはその方がお客さんのレスポンスなりリピート率が良いためである。


なお、この包丁は昨年の暮れに研いだということなので8ヶ月ぶりぐらいの研ぎ。
欠けの原因は「桃の種かなあ?」とおっしゃっていた。
乱暴に使わなければこんなふうにはならない(私の包丁が欠けたのは落としたため)。
寿命が短くなるといっても2~3年で半分の大きさになるわけではない。一般家庭なら10年ぐらいは持つだろう。
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可愛い包丁ケース

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お客さんの包丁ケース。

以前紹介した記事を参考にして頂いたのではないかと思うが、

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藤原照康と築地正本の印象がずいぶん可愛くなった(笑)

私も過去記事のとき作ったケースをまだ使っている。
特にハガネの刃物のケースは全開きになる方がいい。うっかり中が濡れてしまってもしっかり乾かせる。刀の白鞘は続飯(ごはん粒を練って作ったのり)で貼り合わせてあって簡単に分解できるようになっているそうだ。
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「玉鋼」という言葉の由来

たたら製鉄によってできる鉄の塊(鉧/けら)中で、刃物の材料に適した炭素量が多い良質な鋼を「玉鋼」と呼ぶ。主に日本刀の材料として使われる鉄だ。

玉鋼という言葉の来歴について 「技法と作品 刀工編」 という本に具体的な記述があった。
ネットで検索してもこれを記録したものが見当たらなかったので、紹介しておく。

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 長谷川熊彦博士によれば、玉鋼の名称は明治末年から大正にかかる頃の命名であるという。すなわち島根県安来製鋼が陸軍工厰及び海軍工廠に坩堝製鋼の原料として納入した鋼で、小型のものが玉鋼、大きめの物が頃鋼であった。名付けたのは同社の工藤治人氏、小塚寿吉氏らで、いずれも商品名であり科学的な意味は無かった。
 古く日本刀の材料の産地で最も有名なのは石州出羽と播州千種で、それぞれ出羽鋼、千種鋼と呼ばれた。また、出羽鋼はできた鉧を水中で冷却することから水鋼、千種鋼は自然に冷却したために火鋼とも言う。
**********

ついでに、同書に「包丁鉄」についても記述があったので紹介しておく。

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包丁鉄
銑に含まれる炭素量の低減を図り、鍛錬して鉄滓を除去した錬鉄を言う。市場には包丁の形に似た400~800グラムの延べ鉄として出されたため、包丁鉄の商品名で呼ばれた。
 左下場、本場とも現代の鍛錬場を大規模にしたものと考えてよく、火床も炉底も吹子もすべて大型を使用する。ここでは大がかりな銑卸しと鍛錬が行われるので、銑は炭素量1.5%以下の純良な鋼となる。
 包丁鉄は柔らかく処理が容易で、一般の鉄器や農具、建築金物などに広く用いられた。日本刀をはじめとする鋭利な刃物類には適さず、芯鉄や棟鉄の素材止まりであった。しかし今日では、これに若干吸炭させて皮鉄、刃鉄の一部として組み合わせることもある。
**********


なお、wikipediaの「玉鋼」の項目では次のように紹介されている。

**********
そのような中で海軍は明治15年(1882年)、東京築地の海軍兵器局内に建設された製鋼所における坩堝鋼の製造に際し、試験的にたたら製の錬鉄と鋼を使用したが、その約1キログラム (kg) 程度の小塊に砕かれた鋼が「玉鋼」の名称で呼ばれた

(中略)

なお、「玉鋼」の語源については諸説あり、坩堝製鋼された物が大砲の弾(玉)の製造に使用されたため、という説[10][25]が存在する一方、人間の拳大に割られた鋼を「玉」と呼称していたことから派生した、という説[26]もある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E9%8B%BC#%E6%98%8E%E6%B2%BB%E4%B8%AD%E6%9C%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A4%A7%E6%AD%A3%E6%9C%9F
**********

wikiの記述にも出典の記載があるが、「技法と作品 刀工編」の方が具体的で信憑性が高いように思われる。


以下はとりとめない余談。

玉鋼は現在、主に日本刀の材料として使われている。身近な刃物に使われていることはほとんど無い。刀匠が作刀に使うためのものが日刀保たたらで毎年造られているが、一般向けには販売もされていない。刀匠が購入する金額も一般の刃物に使われる白紙や青紙といった高級刃物鋼の何十倍と大変高価である。そのせいか、なにやら神秘的な存在になってしまっていて、これを使うとすごい切れ味の刃物ができるというような迷信じみた噂がつきまとっている。越後三条の剃刀鍛冶で国際市場においてドイツ製カミソリに対抗する製品を作るため東京帝大で刀剣の秘伝書の研究と金属学の研究を行った実践の碩学岩崎航介は、玉鋼で優れた刃物ができると述べている。しかし大正時代から戦後にかけて活躍された方で、まだ鉄鋼材料の品質が拙劣だった時代の話で、長足の進歩を遂げた現代鋼の中に並べても同氏がそのように評価するかは疑問だ。現代の識者の中には幻想的なイメージがつきまとう玉鋼という言葉を嫌う人もいる。

たたら製鉄は現代の高炉を用いた製鉄法と比べて製造コストが非常に高価だ。燃料を多量に消費し、作業効率が悪いのである。主な理由のひとつは、たたら製鉄は一回の操業ごとに炉を壊して出来た鉄を取り出すためである。

たたら製鉄は直接製鉄法という、鉄を固体の状態で製造する製鉄法である。現代の高炉を用いた製鉄法は間接製鉄法といって、鉄を溶けた状態で製造する。
直接製鉄法は固形の鉄を作るので、できた鉄を取り出すために炉を壊さなければならない。このため次の操業のために新しく炉を作り直し、炉の温度を常温から鉄が溶ける1500度以上まで加熱しなければならず、作業効率も燃料効率も悪いのである。これに対して間接製鉄法では溶けた状態の鉄を作るので、炉を操業し続けながら完成した(精錬された/還元された)鉄を下部から流し出して取り出す連続操業ができ、製鉄コストが格段に安く済むのだ。ただし、溶けるほど高温になった鉄は炭素を多く吸収して、硬くてもろい銑鉄(せんてつ)になってしまうので、そのままでは鉄素材としてまったく使い物にならない。卸鉄法、錬鉄法、転炉などで脱炭する必要があるのだ。

日本刀の作刀でいまだに非効率なたたらで作られた高価な和鋼が使われているのは、美術品として鑑賞に堪える美しい鉄肌を作るためである。現代鋼は品質は優れているのだが伝統的な日本刀に見られるような妙味のある鉄肌を作ることはできないのだそうだ。そして現代の日本刀は日本刀剣の伝統的価値観にもとづく美術的価値が認められるものでなければ美術刀剣類として登録してもらえず所持できないことになっているので、法律の問題でたたらによる和鋼を使わざるを得ないとも言える。しかしこれは切れ味などの性能とは必ずしも関係が無い。
銃刀法は敗戦時にGHQが命じた武装解除の一環として作られた法律で、現代の社会情勢に照らすと不合理な面が多々ある。日本刀は現代の進化した製鋼技術を用いて武器としての性能を高めることが認められていない。しかし反面、伝統的な製法が法律によって強いられているおかげでたたら製鉄や伝統的な鍛刀法が伝承され続けているとも言える。
戦時中につくられていた軍刀は伝統的な製法によらないため美術刀剣類として登録が認められず蔵の奥から発見しても廃棄しなければならないものがあるが、この時代の軍刀は横にして上から錘を落とすといった耐久試験が行われていたので武器としての実用性では優れているとも言われる。現代の日本では日本刀の実用的な機能試験が組織的に行われることなど考えられない。

玉鋼という名前はさておくとして、研ぎ好きな者としては、折り返し鍛錬された鉄や錬鉄を研いだときに現れる不均質な鉄肌はとても面白く好ましい。鉄の作られた痕跡やその材料で製品を作った痕跡が刻まれているのである。
均質で折り返し鍛錬の必要が無い現代鋼を切削加工した刃物は研いでものっぺりとしていて無機質的だ。
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