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データ不良

撮影した写真や動画のデータが、読み込みづらくなることがある。
だいぶ前からちょくちょくあった現象なのだが、いよいよひどくなっていた。
動画作成が滞っていた主な原因のひとつである。
動画編集しようとしてもデータがフリーズして動かなくなってしまうのだ。

以前の動画は1~2万円の安いカメラで撮影していたのだが、いまは動画撮影できる一眼レフを使っている。
保存データ形式がきれいなタイプに変わったりして同じ撮影時間でもデータサイズが大きくなっている。
で、ふだんはソニーが提供しているPlayMemories Homeというソフトで画像を閲覧するのだが、これを起動するたびに

「ファイルデータのサイズが大きいとプアなPCではうまく再生できないかもしれません」

的なメッセージが表示されるので、そういう原因もあるのかもなあと思って保存データの形式をあまりきれいじゃないけど軽いものに変えてみたりしている。
それでも動画を見ようとするとたびたびフリーズして動かなくなるのである。

なお、うちのPCの記憶装置は、ローカル(C)500GB 、データ用内臓2TB、バックアップ用外付け500GB、同バックアップ用外付け2TB、という状態になっている。

カメラのSDカードは64GBだ。これだけもあれば相当余裕なつもりなのだが、だらだらと動画を撮って削除していないでいると、ときどきいっぱいになってしまうことがある。静止画しか撮れないカメラを使っていたときには考えられなかったことだ。
64GBの30回分ぐらいで2TBのHDDでもいっぱいになってしまという勘定である。
おかげで、内臓データ用HDDもバックアップ用のHDDも残りが少なくなってきていた。それも原因で読み込みが遅くなっているかもしれない。
そこでバックアップ用のHDDを買い足すことにした。HDDだけだと信用できないのでついでにブルーレイディスクでも保存しておくことにした。

そして先週、4TBの外付けHDDと外付けのBRレコーダーとBRディスクを購入したのである。
さらに、カメラのSDカードも怪しいかもしれないので、念のために最新のアクセススピードが速めのやつを買い足した。
以前の外付け2TBHDDはお役御免で箱入りにさせた。

で、ここ数日は新しいSDカードを入れて撮影したファイルを取り込んでみている。
ところがやはり動画はアクセスしづらく停止してしまうことがあるのだ。
カメラ本体がおかしいのだろうか。

そしていまも、内臓2TBHDDから新しい外付け4TBHDDにデータ移行させているところなのであるが、しょっちゅう止まってデータが移行できない。テラサイズのデータを移行しているのに「速度177KB/s」とか「残り時間2日以上」とかいう表示でフリーズしているのだ。涙がちょちょぎれる。壊れてしまっているファイルがたくさんあるのかもしれない。

いよいよパソコン自体を買い替えなければならないのだろうか。
パソコン本体を買い替えると、厄介なのはソフトもたくさん買い直さなければならないことだ。私の場合は少なくとも静止画編集ソフトと動画編集ソフトは有料のものを買わなければならないだろう。セキュリティーソフトはまだ1台分ぐらいインストールできたと思うのだが。

まあともかく、そんなこんなでここ数週間ぐらい悩まされているのである。




で、あれこれやっているところなのだが、実は、原因がおそらく判明した。

たぶん、内臓の2TBのHDDが死にかけているのだった。

新しい外付けHDDにコピーした動画データは停止せずにふつうに再生されてくれるのである。
そしていま、動画ではなく音楽ファイルを内蔵HDDから新しい外付けHDDに移行させようとしているが、これもフリーズしている。

考えてみれば書いたり消したりいちばん酷使してるHDDはこれなんだろうな。
ローカルのHDDも交換しといた方がいいのかな?
そうするとやっぱり、有料ソフトは買い直しになるの?

ともかく動画ファイルが普通に動いてくれるようになったら動画作成再開できると思います。
年末なので仕事自体が忙しくもあるのですが。

大刀剣市!

11月16日(金)~18日(日)に銀座で毎年恒例の「大刀剣市」が開催される。葉書で案内を頂いた。
http://www.zentosho.com/daitoukenichi/
16日金曜日に行くつもり。買わないけど。ご一緒していただける方がいたらご一報ください。

刀剣は好きでたまに美術館的なところに見に行くんだけど、ケースの中に入ってて近づきづらく当然触れない。
だいたい暗い。ライティングが一定方向なので見づらかったりもする。
良い刀しか並べてないので良し悪しの比較ができない。

刀剣商の店舗にはほとんど入ったことが無い。買えるお小遣いも無いし維持する自信も無く、冷やかしで入るのは心苦しいのだ。
何百振りもの刀剣が一堂に会して好き放題に見たり触ったりできる(触れないのも多いけど)、めったに無い機会。

研ぎの勉強にもなる(かも)。


ついでに、12月1日(土)に日本鉄鋼協会「鉄の技術と歴史」研究フォーラムのフォーラム講演会がある。
https://www.isij.or.jp/mu63cqs7v
今回は日立金属の冶金研究所というところの方が来られるので、懇親会にも参加していろいろ聞jければと期待している。
こちらもご一緒していただける方がいたらご一報ください。

テーマ : 刃物
ジャンル : 趣味・実用

「玉鋼」という言葉の由来

たたら製鉄によってできる鉄の塊(鉧/けら)中で、刃物の材料に適した炭素量が多い良質な鋼を「玉鋼」と呼ぶ。主に日本刀の材料として使われる鉄だ。

玉鋼という言葉の来歴について 「技法と作品 刀工編」 という本に具体的な記述があった。
ネットで検索してもこれを記録したものが見当たらなかったので、紹介しておく。

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 長谷川熊彦博士によれば、玉鋼の名称は明治末年から大正にかかる頃の命名であるという。すなわち島根県安来製鋼が陸軍工厰及び海軍工廠に坩堝製鋼の原料として納入した鋼で、小型のものが玉鋼、大きめの物が頃鋼であった。名付けたのは同社の工藤治人氏、小塚寿吉氏らで、いずれも商品名であり科学的な意味は無かった。
 古く日本刀の材料の産地で最も有名なのは石州出羽と播州千種で、それぞれ出羽鋼、千種鋼と呼ばれた。また、出羽鋼はできた鉧を水中で冷却することから水鋼、千種鋼は自然に冷却したために火鋼とも言う。
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ついでに、同書に「包丁鉄」についても記述があったので紹介しておく。

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包丁鉄
銑に含まれる炭素量の低減を図り、鍛錬して鉄滓を除去した錬鉄を言う。市場には包丁の形に似た400~800グラムの延べ鉄として出されたため、包丁鉄の商品名で呼ばれた。
 左下場、本場とも現代の鍛錬場を大規模にしたものと考えてよく、火床も炉底も吹子もすべて大型を使用する。ここでは大がかりな銑卸しと鍛錬が行われるので、銑は炭素量1.5%以下の純良な鋼となる。
 包丁鉄は柔らかく処理が容易で、一般の鉄器や農具、建築金物などに広く用いられた。日本刀をはじめとする鋭利な刃物類には適さず、芯鉄や棟鉄の素材止まりであった。しかし今日では、これに若干吸炭させて皮鉄、刃鉄の一部として組み合わせることもある。
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なお、wikipediaの「玉鋼」の項目では次のように紹介されている。

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そのような中で海軍は明治15年(1882年)、東京築地の海軍兵器局内に建設された製鋼所における坩堝鋼の製造に際し、試験的にたたら製の錬鉄と鋼を使用したが、その約1キログラム (kg) 程度の小塊に砕かれた鋼が「玉鋼」の名称で呼ばれた

(中略)

なお、「玉鋼」の語源については諸説あり、坩堝製鋼された物が大砲の弾(玉)の製造に使用されたため、という説[10][25]が存在する一方、人間の拳大に割られた鋼を「玉」と呼称していたことから派生した、という説[26]もある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E9%8B%BC#%E6%98%8E%E6%B2%BB%E4%B8%AD%E6%9C%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A4%A7%E6%AD%A3%E6%9C%9F
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wikiの記述にも出典の記載があるが、「技法と作品 刀工編」の方が具体的で信憑性が高いように思われる。


以下はとりとめない余談。

玉鋼は現在、主に日本刀の材料として使われている。身近な刃物に使われていることはほとんど無い。刀匠が作刀に使うためのものが日刀保たたらで毎年造られているが、一般向けには販売もされていない。刀匠が購入する金額も一般の刃物に使われる白紙や青紙といった高級刃物鋼の何十倍と大変高価である。そのせいか、なにやら神秘的な存在になってしまっていて、これを使うとすごい切れ味の刃物ができるというような迷信じみた噂がつきまとっている。越後三条の剃刀鍛冶で国際市場においてドイツ製カミソリに対抗する製品を作るため東京帝大で刀剣の秘伝書の研究と金属学の研究を行った実践の碩学岩崎航介は、玉鋼で優れた刃物ができると述べている。しかし大正時代から戦後にかけて活躍された方で、まだ鉄鋼材料の品質が拙劣だった時代の話で、長足の進歩を遂げた現代鋼の中に並べても同氏がそのように評価するかは疑問だ。現代の識者の中には幻想的なイメージがつきまとう玉鋼という言葉を嫌う人もいる。

たたら製鉄は現代の高炉を用いた製鉄法と比べて製造コストが非常に高価だ。燃料を多量に消費し、作業効率が悪いのである。主な理由のひとつは、たたら製鉄は一回の操業ごとに炉を壊して出来た鉄を取り出すためである。

たたら製鉄は直接製鉄法という、鉄を固体の状態で製造する製鉄法である。現代の高炉を用いた製鉄法は間接製鉄法といって、鉄を溶けた状態で製造する。
直接製鉄法は固形の鉄を作るので、できた鉄を取り出すために炉を壊さなければならない。このため次の操業のために新しく炉を作り直し、炉の温度を常温から鉄が溶ける1500度以上まで加熱しなければならず、作業効率も燃料効率も悪いのである。これに対して間接製鉄法では溶けた状態の鉄を作るので、炉を操業し続けながら完成した(精錬された/還元された)鉄を下部から流し出して取り出す連続操業ができ、製鉄コストが格段に安く済むのだ。ただし、溶けるほど高温になった鉄は炭素を多く吸収して、硬くてもろい銑鉄(せんてつ)になってしまうので、そのままでは鉄素材としてまったく使い物にならない。卸鉄法、錬鉄法、転炉などで脱炭する必要があるのだ。

日本刀の作刀でいまだに非効率なたたらで作られた高価な和鋼が使われているのは、美術品として鑑賞に堪える美しい鉄肌を作るためである。現代鋼は品質は優れているのだが伝統的な日本刀に見られるような妙味のある鉄肌を作ることはできないのだそうだ。そして現代の日本刀は日本刀剣の伝統的価値観にもとづく美術的価値が認められるものでなければ美術刀剣類として登録してもらえず所持できないことになっているので、法律の問題でたたらによる和鋼を使わざるを得ないとも言える。しかしこれは切れ味などの性能とは必ずしも関係が無い。
銃刀法は敗戦時にGHQが命じた武装解除の一環として作られた法律で、現代の社会情勢に照らすと不合理な面が多々ある。日本刀は現代の進化した製鋼技術を用いて武器としての性能を高めることが認められていない。しかし反面、伝統的な製法が法律によって強いられているおかげでたたら製鉄や伝統的な鍛刀法が伝承され続けているとも言える。
戦時中につくられていた軍刀は伝統的な製法によらないため美術刀剣類として登録が認められず蔵の奥から発見しても廃棄しなければならないものがあるが、この時代の軍刀は横にして上から錘を落とすといった耐久試験が行われていたので武器としての実用性では優れているとも言われる。現代の日本では日本刀の実用的な機能試験が組織的に行われることなど考えられない。

玉鋼という名前はさておくとして、研ぎ好きな者としては、折り返し鍛錬された鉄や錬鉄を研いだときに現れる不均質な鉄肌はとても面白く好ましい。鉄の作られた痕跡やその材料で製品を作った痕跡が刻まれているのである。
均質で折り返し鍛錬の必要が無い現代鋼を切削加工した刃物は研いでものっぺりとしていて無機質的だ。

テーマ : 刃物
ジャンル : 趣味・実用

ジャンパー

ここ数年、東京の多国籍化が甚だしい。
ここ数年でグっと増えた感がある。
中国人観光客ばかり話題になっていたが、アベノミクスで為替を円安に振って以降、何人といわず金持ちっぽくない若者の観光客などが大変増えている気がする。逆に金儲け目的で違法滞在する外国人労働者のニュースは見なくなった。

うちの前の家が建て替えられて、どうも女性専用のシェアハウスのようになっているらしいのだが、そこにヒジャブをまとった女性がたくさん出入りしている。東南アジア風の顔立ちに思えるが、どこの国の方達なのかはわからない。

中板橋商店街では出店場所の近くに「板橋宿」という3000円代ぐらいで泊まれる安宿ができて、利用者はほとんど外国人のようだ。アジア人も白人も黒人もいる。このあたりはお茶屋の小宮園さんの奥にある剣道場でドレッドヘアーの黒人が練習していたり、近くのふつうの公立小学校に中国の子が通っていたり、庶民的密着型多国籍化が進んでいる。

青山熊野神社の周辺はモデル事務所がいくつかあるそうで、9頭身のバービー人形みたいな白人女性が集団で闊歩していたり、そういうモデルさんらしき人が仕事場所のすぐ脇のビルの壁を背景に何やら撮影していたり、外国人向けの保育園があるらしく白人黒人の保育士さんが白人黒人アジア人の子供の集団を散歩させていたり、ハイソ系多国籍化が進んでいる。

お客さんも外国の方がけっこういる。
火曜日は「急いでやって。今日やって。」と中国人の女性が電話をかけてきて、うちまで中華包丁を4本持ってきた。
昨日の木曜日は青山熊野神社で仕事だったが、ジャンパーを着た中肉中背のすごくふつうな白人の、まるで「青山の外人」っぽくないおじさんがペティナイフを持ってきた。ファッション用語は変遷がめまぐるしいので「ジャンパー」という言葉が死後になっていないか念のため検索で調べてみたら、ちゃんと「ジャンパー」というカテゴリーは残っているようで安心した。Wikipediaによると「ブルゾン」と同義らしい。ちなみにいま「ブルゾン」で画像検索するとおかっぱ女性の顔のアップがいっぱい出て来てめんどくさい。

で、このおじさんは日本語がほとんど話せなかったので、たどたどしい英語で
「ユアネーム、アンド、テレフォンナンバー、プリーズ。」
と言ったら、名刺をくれた。

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特命全権大使って・・・(^^;

三省堂 大辞林
とく めいぜんけんたいし [9] 【特命全権大使】
外交使節の第一階級。外国に駐在し,自国元首の名誉と威厳を代表し,駐在大使館の長として外交交渉および自国民の保護にあたる。全権大使。大使。

大使館は東京の都心部に100個以上も密集しているのでぜんぜん珍しくもなんともないのだが、大使本人と話をしたのは初めてだ。

棒みたいなペティナイフだったのでいつものように容赦なくゴリゴリ研ぎ卸して、磨いている暇も無かったのでいつものようにバリバリの研ぎ傷まみれでお返しした。

しかし、大使ってあんな感じでいいのかなあ・・・?

テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

強風!

月曜日、台風一過。晴れたので府中出張に行って来た。

店員が増えていた。
ゴンベーくん。


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茨城のモトクロスコースの、コーナーに、バイクが突っ込んできたときにケガしないように設置してある、スポンジの中から、ヒョコヒョコと出てきたのだそうだ。
捨て犬かもしれないが、近くに太陽光発電施設ができていて大規模に森林が切り開かれていたから、野犬の親がいなくなってしまったのかもしれない。まだ小さいうちでよかった。だいぶ人馴れしたそうだが、それでもそうとう臆病だ。地べたに寝そべって目線を合わせてやると寄ってくるが、頭を少しあげて見下ろすと逃げてしまう。
ゴンベーに仲良くしてもらいたいひとは、地べたに寝そべっていいようにツナギか何かを着て行こう。


海でもないのに台風余波で風がすごかった。
看板を強力ガムテで地面に張り付けておいたのに3回も倒れたので、壊れると困るので片づけてしまった。
のぼりはポールに巻き付いて見えなかった。
三脚なんかぶっ飛ばされるのは火を見るより明らかだったので動画は撮れなかった。
静止画もゆっくり撮ってる状況じゃなかったので、スナップショット的に。

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木屋の、古い、ダマスカス模様の菜切包丁。
なんか変なダマスカス模様。
模様が刃線際まできているのが、良く見るとわかると思う。しかし片面研ぎして地金が前に出てしまっているのではない。刃鉄はちゃんと刃線に出ている。刃角度がゴッツいのだ。またまたナンギな研ぎおろしである。


途中経過。

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先端のほうが、しっかりハガネが出てくれないので更に薄く研ぎおろす。

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やっちゃった!!
薄くすればいいってもんじゃありません。薄くしすぎてペラペラ剥離してしまった。お客様、ゴメンナサイ。


完成、ビフォーアフター。
ビフォーが適当に撮った写真なのでわかりにくいが、研ぎおろしてあげたらふつうのダマスカス模様になった。

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先が・・・・スミマセン。。

テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

「なぜ日本の刃物は良く切れるのか」というフォーラムに参加。

先月のことだが、熊野神社で仕事をしているときによく立ち寄ってくれるおじさんが、「こういう会があるのでどうか」と誘ってくれた。


日本鉄鋼協会 鉄鋼プレゼンス研究調査研究委員会
「鉄の技術と歴史研究フォーラム」第34回フォーラム講演会
「日本の刃物―なぜ日本の刃物は良く切れるのか―」 第4回
切るだけじゃない!切っても切れない・・・砥石・研磨・刃物(日本刀)


私は偏屈な性格なので、科学の最先端では宇宙論とか素粒子とか量子論とかやってる時代にいまさら刃物が良く切れる理由とか天然砥石なんて研究してるひといるの?日本人が自画自賛して喜ぶ自己啓発セミナーみたいな会合じゃないの?などと口には出さないけれども勘ぐってしまうのであるが、ネットなどで調べてみるとしっかりした会合のようで、刀の研ぎ師さんの講演などもあり興味をそそられたので、参加してみることにした。

それが、このあいだの土曜日のことだった。
雨の中、来場者は70名弱あった。このフォーラムではかなり多いという。
いまさら、という私の不遜な勘繰りは杞憂だった。学生のころは教室で寝てばかりいた私であるが、4時間あまりとても興味深くお話を聞くことができた。

誘っていただいたおじさん以外にも知った人が何人かいらっしゃっていた。休憩時間に、私が刃物研ぎを教わった研ぎ陣の先輩卒業生で、天然砥石収集家?の高野さんが声をかけて下さった。砥取屋の土橋さんが、京都からわざわざ来られていた。面識はなかったが本で見知っていた月山義高刃物店の藤原将志さんも三重県から来られていた。
フォーラムのあと懇親会に出席した。
藤原さんの向かいに座らせていただいたので、研ぎ傷を消してきれいにする方法についてお聞きしてみた。人造砥石はいくら高番手の仕上砥石でも研ぎ傷は残るそうだ。下研ぎの処理が重要で、逆に1000番か2000番ぐらいから天然砥石に行っても研ぎ傷を無くすることはできる、と。
思うに、人造砥石は研削力が重視されるので使われている砥粒が硬いからではないだろうか。天然砥石に含まれる成分で砥粒の役割をするのは石英などであるが、人造砥石に使われるどんな砥粒と比べてもかなり柔らかいはずだ。砥粒が柔らかく適度に破砕されながら研磨すれば深い条痕は残りにくい。あるいは、砥粒の硬さが同じであっても結合剤が柔らかければ砥粒が砥石の側にいくらか押し込まれるから、刃物に残る条痕は深くなりにくい。おなじ砥粒と結合材を使った人造砥石でも仕上がりが曇るものとテカテカになるものがあるが、そういうことなのではないかと想像している。耐水ペーパーもペーパー側に弾力があるから結合材の硬い砥石より条痕は目立ちにくいのかもしれない。
また、おなじ砥石でも強く研ぐと条痕は深くなり力を抜くと浅くなる。砥糞を流しながら研ぐと深くなり溜めて研ぐと浅くなる。私はもう少し力を抜き加減にして研いだ方がいいのかもしれない。
示唆に富んだ話を聞かせていただけたのだが、話だけではわからないことが多いので痒いところが一層痒くなってしまった。

隣席した方が、「刀剣界」という新聞の編集委員で刀剣ジャーナリストという肩書の方だった。そこで、持参していた「-技法と作品- 研磨彫刻編 」という本を出してみせた。
この本は私にとって大変重要なものである。刀工編と二冊のセットで昭和56年に発刊されたもので、それほど古いものではないのだが、明治大正期から昭和初期にかけて人間国宝に指定されたような多くの刀匠や研ぎ師、宮入行平、月山貞一、隅谷正峯、天田昭次、小野光敬、平井松葉、永山光幹、藤代松雄、といった故人や、現在最高峰で活躍されているお歴々からの、貴重な録取が収められている。研磨偏については刀剣研磨について最も詳細に書かれた書籍ではないかと思う。発行部数が少なかったようで、古書市場では2万円以上が相場になっている。
その本を見て、
「それ私が出したんだよ。」
とおっしゃった。著者は大野正という別の方なのだが、巻末をめくってみると確かにいただいた名刺と同じ名前が 「発行人 土子民夫」 と書かれていた。いまはもうやめてしまったそうだが、この本を発行した青雲社という出版社を
「私がやっていた」
のだそうだ。
また後半、長くお話しをさせていただいた「越後三条打刃物 伝統工芸士産地委員」というよくわからない肩書の女性は、妙に刃物に詳しい方であったのだが、香月節子さんといって鍛冶屋に関する本を数冊書かれている方だということがあとでわかった。

私はふだん、刃物について深いレベルで話ができる人が身近にいないので人からあたらしいことを教えてもらう機会が少ないのだが、おおいに蒙を啓かれた一日だった。
私が知らないだけで、こういう濃い人達が集まる会合が日本のどこかで折々開催されているのだろうか。或いは、めったに無いから濃い人がたくさん集まったのだろうか。
ともかく楽しい一日だった。

中華包丁

「中華包丁はいくら(研ぎ代)ですか?」

通りかかったのカップルの男性が、看板をしばらく眺めたあと尋ねてきた。
そういえば看板に中華包丁の値段は書いていない。

「大きさによるんで、、どれぐらいのサイズですか?」

「これぐらい。」

男性が手を広げてみせた。思ったより小さいようだった。

「それぐらいのサイズで、欠けてたりサビサビとかじゃないんだったら、まあ、普通の包丁と同じ値段でいいですよ。」

じゃあこんど持ってきます、ニコっと笑ってそう言った。

それから一週間ほどして、持ってきていただいた。

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中華包丁はごくたまに研ぐぐらいで、使ったことは無く、実はどんなふうに研ぐのがいいのかよくわからない。
包丁なので研いで刃付けすればいいのだが、中華包丁にも厚口と薄口があるということを仄聞している。刃物の自重が重いため強めにまな板に打ち付けることが多いと思われるので、少なくとも普段研いでいる包丁のように刃肉を抜いて浅い刃角度にすると欠けやすいだろう。
どれぐらいが適当なのか加減がわからないのだ。
お客さんに尋ねてみると、料理人さんだと思っていたのだが、そうではなく、普通に家庭で使うのだという。
しかも、これまでずっと使っていたわけではなく長い間使わずにしまわれていたものをさいきん使い始めたところのようだった。
つまり持ち主もどれぐらいが適当なのかわからないのだ。

「そこらへんは適当に、プロなんでおまかせします。」

きたな。ナイフでよくあるやつ。
ピカピカであまり使われた形跡がないけれど、新品のときから刃付けがものすごく甘いナイフを持ってきて、研いでほしいという、よくある依頼。
何に使いますか?と聞くと、魚とか捌きたいし、藪漕ぎをしたり木の枝を薪にするのにも使いたい。という。使いたい、であって、使っている、ではない。
それは、魚を捌くにはイマイチ使いにくく、藪漕ぎや木の枝を切るときはけっこう慎重に扱わなければいけない、中途半端な刃付けにしてほしいという意味であることを、わかって言ってるのだろうか。そうであればいいのだが。と、思いつつ、プロの感覚ってやつで適当に研いでお返しするのだが、イマイチ達成感が無い。

しかし、ナイフと違って実際に使う刃物なので、あとからいろいろ言ってもらえる可能性はある。
元の状態はかなりだるだるだったので、「適当」に刃縁の肉を抜いて(しかしふつうの包丁よりはかなりモッコリした状態で)「適当」な刃角度に研いでみた。
ちなみに元の写真は撮るひまがなかったので上の写真も研いだあとの状態だ。



で、研いでいて気付いたのだが、

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中国製の包丁だった。

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カネ編にカラスってなんだ??(^^;

外国の包丁には良いイメージが無い。
全鋼丸焼き非鍛造で、鋼材が柔らかくねばりが無いので、刃を薄く鋭くすると簡単に曲がったり欠けたりしてしまうもんだから、現地では高価で販売されているであろうお品物でも、分厚くて重くて刃角度が鈍角で斧か鉈みたいなものが多いのだ。刃物産業で有名なドイツ・ゾーリンゲンのウストフとかドイツ製ヘンケルスでさえ私にとってはそんな印象なのである(日本製ヘンケルスは普通)。パンやチーズやハムなどのスライス包丁をはじめ、薄い包丁もあるが、ぐにゃんぐにゃんで、デキの良い日本の包丁のように、薄いけれどもシャンとしていて、かといって硬く割れやすいのではなくバネのようなしなりがある、といったものは、見たことがない。鍛造という製法や複合鋼の技術が無いとそういう刃物にはならないようだ。

ただ、中華包丁は重さがあってその重さが切りやすさに貢献してくれるので、多少分厚くて刃角度が大きくても、手に伝わる感触であるところの切れ味はけっこういいのだろう。

で、この包丁なのだが、なんと割り込み包丁だった。

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たしか、俵国一さんという明治から昭和初期にかけて活躍された冶金学の学者さんの著書に、どこだったか南の島国に割り込みタイプの刃物が見られるという記述があったと思う。それ以外で、硬さの違う金属を接合した古い外国製の刃物に関する情報は見たことがない。
現在は欧米の刃物メーカーも日本の刃物に倣って複合鋼の包丁やナイフを作って販売しているが、私の知る限り、日本の鋼材メーカーから複合鋼の材料を輸入して製造しているか、外国メーカーの日本工場で製造しているか、日本の刃物メーカーが日本で下請け製造しているものばかりである。

しかしこの包丁は日本で割り込み加工された鋼材のような印象を受けない。
65年2月というのは、1965年だろうか?あちらの元号のようなものなのだろうか。

引き取りにきたお客さんに確認してみたところ、台湾の製品ということだった。
30~40年ぐらい昔のものと思う。日本にきたときおばあちゃんが持ってきた。65年は西暦ではなく台湾の年号と思われる。中華人民共和国ではなく中華民国建国からの年号。「士林」はお客さんが子供のころに住んでいた地域の名前。「カネ偏にカラス」の漢字は、お客さんは6歳のときから日本にいるので中国の漢字はまったくわからない、ということだった。
ちなみにお客さんの会話は日本語ネイティブのものなので、このお話を伺うまで台湾のご出身とは気づかなかった。

日本にきてからおばあちゃんが使わずにずっとしまっていたものを、最近自分が使うようになって、研ぎに出してみた、ということであった。
してみると、持って来られた状態から推察するに、錆はなかったのでステンレス系なのだろう。それほど古いものではなさそうだ。
台湾は日本に占領されていた時代が長かったので、いまでも80歳ぐらいのお年寄りは日本語が話せるそうだ。その時代に日本から割り込み刃物の製造の技術が伝わって、現地でも作られているということなのだろうか。しかし朝鮮半島や満州も占領していたし、東南アジアやミクロネシアやポリネシアも占領していたわけだが、そういった地域で割り込み包丁の話は聞いたことがない。まあ台湾の割り込み包丁も初めて見たのだから私が知らないだけという可能性も高そうであるのだが。
台湾の包丁というと中国が金門島に撃ち込んだ大量の砲弾で作った金門包丁というものを思い出す。しかし、うちの庭にもなぜか砲弾が転がっているのだが(笑)、おそらく鋳鉄なのでこのまま整形してもロクな刃物はできないと思う。たぶん溶解して脱炭とかしないとダメじゃないのかな。なので、金門包丁もたいした包丁ではないだろうと高を括っているのだが。


さて、この記事を書きながら調べたところ、
「カネ偏にカラス」の文字は、ウーという発音で、タングステンという意味だった。タングステンが配合されたステンレス系の合金鋼なのだろう。
65年は、中華民国の民国紀元というものの65年のようだ。西暦1912年が元年ということなので、1976年製ということか。41年前だから、お客さんの話とも符合する。その時代であればステンレスの鋼材はまともなものが開発されていただろう。
ただ中国本土は人民服に人民帽で自転車に乗った人民が大量に町にあふれていたころ。数百万人が殺戮されたともいわれる悪名高き文化大革命の真っただ中。韓国は漢江の奇跡で道路や鉄道などのインフラ整備が進められて最貧国から抜け出しつつある途上の時代だ。
台湾はよくわからないが、やはりそんなに発展していなかったのではないかと思う。いやしかし、朝鮮半島のように戦禍に見舞われなかったし中国のように共産党の失政で荒廃してもいなかったから、案外、平和裏に順調に発展しつつあったのかもしれない。
シャープを買収したホンハイグループの創設も1974年ということなのでこの時期のようだ。台湾企業といえば私は電子機器より自転車製造で世界一のジャイアントというメーカーの印象の方が強いのだが、そのジャイアントも1972年創設ということである。自転車産業はもともと金属パイプをつなげて作る金属加工業だから、金属加工産業の素地はその当時からあったのだろう。

ともあれ、台湾の割り込み包丁の歴史についてはまったく分からないままである。

なにかご存知の方や、金門包丁を持ってるよという方がいらっしゃったら、情報ください。

テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

新品包丁

中板橋商店街で、いつも通りかかりに挨拶をする、背の低い江戸っ子口調のおじいちゃん。

「先が四角い包丁は、売ってないのかい?」

と、聞いてきた。

「ああ、菜切包丁ですか。だけど、ざんねんながら先が尖ったやつしか持ってないですねぇ。」

「四角いやつがいいんだよ。あっちの方が野菜が切りやすいんだ。」

「そうですよねぇ、ぼくも家では四角いの使ってます。だけどいま売り物には持って無いです。探しましょうか?」

菜切包丁はどちらかというと不人気なのだが、使い慣れると野菜を刻むのには勝手がいい。
私が使っているのは菜切ではなく片刃の薄刃包丁で、切るものによって三徳包丁と使い分けているのだが、野菜を刻むことが多いので使う頻度は三徳より薄刃包丁の方が多い。

「こないださ、1万円ぐらいの買ったんだけどよ、すぐ切れなくなっちゃって。ダメだな。もっと高くていいやつ無いのかい?」

「エ~。でもそりゃ研がないと。10万円の買ったって使えば切れなくなるし、3000円のと比べて10倍も長持ちするわけじゃないですよ。」

「まあそうなんだろうけどよ、もちっといいヤツ無いのかい?」

実売価格1万円ぐらいで「すぐ切れなくなる」という不満だと、たぶんそう大きく改善できるものはないと思う。


「錆びにくいステンレスの方がいいですよね?」

「いいや、ハガネの方が切れ味いいだろ。ステンは切れなくてダメだ。」

「ハガネですか・・・それで高くていいやつ・・・」

ハガネの菜切包丁で、高いヤツ。
しかし手打ちでハガネの菜切包丁だと、1万円ぐらいが相場なんだけどなあ。
薄刃なら3万円でも5万円でもあるだろうけれど、菜切包丁ってか。

「まあちょっと、探してみますよ。」

というと、

「よろしくなっ!」

と片手をあげて、自転車をこいでひょうひょうと去っていった。

2~3万円もする菜切包丁か。

そういえば、アレはいくらぐらいするもんなんだろう。
お店にネットショップが無く値段がわからないので、電話で問い合わせてみた。
すると、ちょうどいい感じの値段だったので、送ってもらうことに即決した。



これが、その、アレ。

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うーん、イイなあ。


有次は築地にもあるが、これは築地の有次ではなく京都有次の菜切包丁。
築地有次と京都有次は別会社で、築地の方にこれは売ってない。

以前にブログで紹介したものである。
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-239.html
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-335.html


菜切包丁の中で私がいちばん好きなのが、コレ。
峰厚が4㎜もある(笑)
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じいちゃん、ちょっと重いかもしれないけど、もう仕入れちゃったから。
私に頼んだのが運の尽きだと思って、あきらめて。


電話で聞いたところによると、京都有次には「特製」と「上作」という二種類の菜切包丁があるそうだ。「特製」は黒打ちで薄い、一般的な菜切包丁。そして「上作」がコレ。
「特性」がいま品切れで、たまたまほんの最近この「上作」が入荷したところなのだという。
人気で売れてモノが無いのかと思ったら、「“ふつううの包丁”を優先的に作ってるんで・・・」というような発言があったので、菜切包丁はやはり今となっては事実上“ふつうの包丁”ではないのだろう。
そして、入荷した分がなくなるとまた半年とか1年待ちになりそうだ、とのことであった。

もしかすると沖芝さんが打ったものだろうか、と思って聞いてみたが、菜切包丁は昔から沖芝さんの製品ではないそうだ。そして沖芝さんの包丁はもう在庫限りだそうである。
まあ、時間がかかっても菜切包丁の再入荷はあるということなのだから、いいことではある。


ところで、写真で見てもわかるはずは無いのだが、新品なのでぜんぜん刃はついていない。

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予想以上にぜんぜんついていない。
ふだん扱っている洋包丁なら、モノによって程度に違いはあるにせよ刃付けされた状態で出荷されているので、それに慣れていたのだが、
「新品だから当然刃付けなんかしてませんが、なにか?」
とでも言うような状態だ。

まあ、新品の和包丁は販売店が刃付けするものなんだろう。

それはいいのだが、ショットブラストがナンギなのである。
大きめの角度をつけて先っちょだけ刃をつければいいのだろうけど、この包丁は、できるだけビシっと切れ味を出した状態でお渡ししたい。

慎重に砥石に当ててみたが、やはりちょっとショットブラストが剥げてしまった。

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地艶もどきで曇らせてみたが、ムラは目立つなあ。
気にしないでいてくれるとは思うんだけど。

テーマ : 刃物
ジャンル : 趣味・実用

この前のお客さんが。

こないだの、「すんごいホローグラインドでウスウスの刃にされた菜切」を持ってきたお客さん。

交代で使っていたという、もう一本を持ってきた。

こんなかんじ。

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ホローグラインドというのは、ナイフでよくみられる刃の形。
二段刃とホローグラインド

上が、ホローグラインド。下がふつうの二段刃。
斜面の側面がくぼんでいる。
これによって、側面が被切断物と接触するときの抵抗が小さくなり、”抜け”がよくなると期待できる。

ただ、こういう加工をしたほうがいいのは、タクティカルナイフみたいな分厚い刃物だけだとおもう。
カミソリも、両側面がくぼんだホローグラインドになっている。しかし、ヒゲを剃るのに「被切断物と接触するときの抵抗」は関係ない。研ぎやすいための工夫としてホローグラインドになっているのだと考えられる。
片刃の和包丁も、裏面をわざとくぼませているが、やはり、主には研ぎやすいための工夫だろうと考えられる。

包丁はもともと薄いので、あまり意味は無いのではなかろうか、と思うが、リブ加工のように張り付き低減の効果はあるかもしれない。
そもそも、手打ちの菜切包丁なんて、ハンマーで叩いた痕跡がそのまま残っていて、砥石に当てて正確に確認してみると、デコボコしているものがほとんどである。
だから、多少側面がくぼんでいてもべつにかまわないとおもう。

この包丁が問題なのは、

ウスウス

こんなことになっちゃっているという点だ。
刃がもう少し柔らかい鋼材だったら、研ぎ終わった時点でグニャグニャ曲がっちゃうかもしれない。
この包丁に使われているのは粉末冶金鋼で、けっこう硬いとおもうので、グニャグニャはしないんだろうけど、使うと、簡単に、写真のごとく欠けてしまう。

あと、もうすこし気に入らない点をいうと、先を減らしすぎ。刃元も不必要に下がっていて、おなかがポコっと出ている。
東型の菜切はもともとそんな形だが、コズミック團十郎はもともと西型で、アゴはシャンと出ている。大した問題ではないかもしれないが、売ってるお店が形を変えてしまうのは如何なものかと思うのだ。
でもやっぱり、いちばん気に入らないのはホローグラインドだなあ。100均の包丁みたい。

なお、お客さんにお聞きしたところ、いつも必ずこういうふうになるわけではないらしい。
店頭に研ぎ職人が来て研いでいるときは、2~3日で研ぎ直しが完了し、もっと普通な状態で渡してもらえるという。
そうでないときには1か月ぐらいもかかるうえに、こんな仕上がりになってしまうそうだ。


個人的には、
蛤刃3

こんな感じがいいんじゃないかなあと思っている。家庭用の両刃包丁は。
デフォルメで極端になっているが、側面はゆるやかな曲面である程度上の方まで肉を削いであげる。
刃先までキンキンにすると刃がメゲるので、刃先ギリギリのところは、画像ほどじゃないけどちょっと角度をつけて、いわゆる糸刃をつけてあげる。糸刃の幅は、硬い鋼材で繊細な作業をする包丁なら、無しかごく小さいものでよく、全鋼の洋包丁のような柔らかめの包丁は、中仕上の2000番ぐらいからはじめて、すこし大き目にする。
というような、イメージ。

BEFORE・AFTER

お言葉に甘えて、好きなように研いでみた。

ビフォー
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アフター
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ビフォー
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アフター
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とにかく刃角度がすごく大きかった。
ウスウスにしたので、切れ味は鋭くなったが、カミソリとしてはだいぶ物足りない。
刃持ちはどうかなあ。。
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