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鍔屋ダマスカス包丁

鍔屋のダマスカス包丁。




ダマスカスみたいな模様が出る理屈は刃境線とか刃文なんかと同じなんだけど、基本的には隣接する異種鋼の硬度の違いのために、同じ砥石で同じように研いでも、金属表面の表面粗さに違いが出て、光の反射率に差が生まれるからだ。柔らかい方が乱反射するので曇る。


例外はエッチング。
エッチングは腐食によって金属の色自体が黒っぽく変わる。反射率が変わるのではなくて、光の吸収率が変わる。

白という色は、ものの表面が全ての波長の色を反射している状態。
ものの表面が光を正反射するほど平滑だったら白ではなく鏡面に見える(ものの表面に当たる前の光源の色が白であれば白く見えるが)。
赤は、赤の波長の光を反射している状態。黄色は赤と緑の光を反射している状態。

黒は、ものの表面が全ての波長の光を吸収して反射しない状態。
灰色は、全ての波長の光をちょっと吸収してちょっと反射している状態。

この灰色がエッチングによって得られる灰色。


ものの表面の粗さが大きくて光をハデに乱反射する場合も、目に届く光の量が少なくなるので、光の一部が吸収されるのと同じように灰色に見える。

エッチングの灰色具合は腐食反応の強さで変わるので、表面粗さとは必ずしも同じではない。
だから隣接する異種金属で硬い方が柔らかい方より色が濃くなる場合もある。
また、砥石で研いで模様が出る場合よりも色が濃く、模様がくっきりする。

だから、エッチング処理してあるダマスカス包丁を砥石で研いで、元と同じように見せるのは不可能だ。


エッチングでダマスカス模様を出しているのはヘンケルスのボブクレーマーモデル。あの包丁の造りも模様も嫌いじゃないけど、側面なんか研ぐもんじゃないと言われてるみたいで、そういう意味ではキライ。もし研ぎに出てきたら遠慮なくゴリゴリ研ぎますが。
ほかには包丁ではちょっと記憶に無い。
黒打ちがエッチングと同じ作用ではあるから、それならいっぱいあるが、ダマスカス模様を目立たせるためにエッチング処理をしている包丁はほかに記憶が無い。
ナイフはよくある。強度のため刃体が厚く小刃がくっきりしているナイフであれば側面は研がないという方針は有りだ。
エヴァンゲリオンコラボ展で刀鍛冶が作っていたロンギヌスの槍もエッチングで模様を出していた。


多くの新品のダマスカス包丁はショットブラストという方法を使っている。
たくさんの小さなビーズ玉みたいな”メディア”をスプレーみたいな機械で包丁の表面に当てて曇らせるのだ。
曇らせたくない場所にはマスキングテープを貼っておく。
この方法でも砥石で研ぐのと同じように硬い部分と柔らかい部分の表面粗さに違いが生まれてダマスカス模様が目立つようになる。
ショットブラストは表面全体にムラなくメディアを当てることができるのできれいな仕上がりになる。砥石だと力加減でムラができやすいし、表面に少しでも凹凸があると研ぎ方に関係なくムラができるのだ。
ショットブラストで綺麗に見えている刃物も砥石で研いでみるとムラムラになってしまうものがほとんどだ。
口悪く言うとムラ隠しに使えるのである。


砥石でダマスカス包丁をきれいに研ぐのはけっこうめんどくさい作業ではあるのだが、楽しい作業でもある。
今回の動画の包丁は何度か研ぎに出してもらっているので表面のエクボみたいなものは無くなっている。

ポイントは以下のような感じ。

・砥石がムラなく当たるように表面を整える → 荒砥石の作業
・下研ぎの傷が残らないように段階的に砥石の番手をあげてきれいにして行く → いろんな砥石を使う
・中砥石以降は砥泥が多い砥石の方がいい
・人造砥石は仕上砥石は番手をあげすぎない → あまり高番手になると硬軟の差が無いテカテカの鏡面になってしまう
・天然砥石は質の良し悪しが如実に出る

まだ私自身ぜんぜん上手ではないのだが、以上については間違いでは無いと思っている。

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菜切り包丁 トマトがこんなに良く切れる。



ご注意。
研ぎに出して頂いたどんな包丁でもこれと同じ状態になるわけではない。
トマトの皮が滑らず切れるようになるのは保証できるが、包丁の自重だけでどれぐらい切れ込むかは、刃角度や厚みや包丁の重さも問題になる。
動画の包丁は特によく切れる部類。

そば切り包丁

そば切り包丁はこんな感じで。
手に持って研ぐこともできるけど、時間がかかるのをムリして研ぎ続けると腱鞘炎になる。



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築地正本九寸柳刃

ナンギした柳刃包丁の修理です。
これは貰い物なので自分のもの。数日かけてボチボチ仕上ました。

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裁ち鋏研ぎの動画

鋏研ぎ。

素人の方は、この動画だけを見てマネして研ぐのはお勧めしない。
ハサミはいけない研ぎ方をすると修復不能になる。

プロの方は、気になる点があれば遠慮なくご指摘下さい。

テーマ : ハサミ
ジャンル : 趣味・実用

丸包丁(本惣)

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丸包丁や皮包丁は、刃が薄いので荒砥に当てると簡単に欠けてしまう。
縦研ぎならまだいいが、横研ぎすると欠けやすい。
しかし型崩れしたものの整形は横研ぎがやりやすい。
これを中砥でやっていたら時間がかかって仕方ない。

そこで、荒砥で刃先が当たらないギリギリまでおおまかに整形をして、
刃付けの段階から中砥に切り替えてカエリを出す。

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↓↓↓

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小さい刃物だが普通の包丁よりずっと時間がかかってナンギである。


楽しい出刃包丁

いい感じで丸錆びになった出刃包丁。



実は表面が赤錆のうちはまだ深刻じゃない。
赤錆はまだ不安定で、最終的に黒錆に変わる。
盛り上がった黒錆になってると表面的な錆だけじゃなくなってる可能性が高い。
中には錆が刃金を貫通してるような大変なものもある。そうなるとどうしようもない。


追記 *****

このお客さんも結局また錆びさせてしまうとザンネンなので、黒染めになった。
光ってるのは一瞬で、マメに使って磨く習慣がなければ、たとえ鏡面に磨いてもそのうち曇る。
錆びないようにする方法や、うっかりついてしまった錆を落とすことはそれほど難しくないが、習慣を変えるのは難しい。

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テーマ : 包丁研ぎ
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TOP'S STEEL EAGLE 107E

また、ナイフ研ぎの動画。
動画はナイフばっかり。


動画の作成はけっこう大変。
全編で1時間ほどあるデータを、何度か見返すだけでも、数時間。
編集した動画のエンコーディングに、数時間(PCがプアなので)。
アップロードにも、20分程度の動画で数時間(上り回線がプアなので)。

はじめにシナリオを作って、シナリオに従って必要な動画を作成して組み立てて行く、という作業が必要なのだな、と、最近ようやく気づいた。

今回の動画はトップスナイフのスチールイーグル107eというナイフ。
http://www.topsknives.com/product_info.php?products_id=138

平は「トラクションコーティング」とかいうコーティングが施されている。
強固で分厚いコーティングで、ザラザラしている。ザラザラ具合が”トラクション”なのだろうか。
軍用のナイフは、ピカピカしてると反射光で敵に見つかる危険があるので、ベトナム戦争あたりから反射しにくいマット加工されるのが常である。しかし戦場で使わないのなら光っててかまわない。
鋼材はどうも錆びやすい炭素鋼系のようなので、錆びにくくするという意味で、黒打ち的な表面処理はアリだ。
しかしそれにしても、かなり強固なコーティングである。

もとの刃の状態が、かなりdullだったので、荒砥でカエリが出るまで刃付けするだけで30分以上かかってしまった。
小刃だけ研ぐのに蛤刃なんて考えなくていい。小刃の面をビシっと平らに研ぎ出してあげればいい。
角度を大きくして刃先を砥石に当てようとするのではなく、元の角度を維持したまま、きちんと面を当てて、刃がつくまで時間がかかっても研ぐ。


以前からやってみたいと思っていた英語の字幕を入れてみた。
英語はほぼまったく喋れない。適当に翻訳サイトで作成しただけ。おかしなところがあれば指摘して頂きたい。
これで外国からのアクセスが増えるとうれしいのだが。
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BROさん

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東京都練馬区の研ぎ師です。
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