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柳刃包丁 反りと裏スキの修正 大工事

2ヶ月ほど前に兵庫県の実家に帰省したとき、見慣れないヤヴァい刺身包丁を発見してしまった。
うちの実家には中古の包丁が集まるヒミツの仕組みがあって、その中の一本なのだと思うが。
実家には面直ししていないナゾの中砥石が一本あるだけなのに、これ以外に薄刃包丁も使っている。出刃包丁もあったかな。
片刃包丁使うなら裏押し用に仕上砥石と面直し砥石は必需品ですよと常々お客さんに言っているのに、自分の実家がこの体たらくなのであった。
その砥石だけではごまかしきれない何本かを東京に持ち帰って、よく使うであろう薄刃なんかはすぐに研いで送り返したのだが、この柳刃だけは見ただけでゲンナリしてほったらかしていたのだが、動画撮影のネタと考えれば良い包丁だろうと考えをあらためて、ようやく着手した。
研ぐというより修理。
工賃を時給で計算すると買う方が安かったかも。



テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

薄刃包丁の立体構造

このまえ電話で問い合わせがあった。
薄刃包丁をいろんな研屋に出したが切刃を平らにしてもらえない、ということだった。

そういえばむかし悩んだなあ。



§薄刃包丁の立体構造


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薄刃包丁はまあこんな感じの形をしている。関西型は先の峰側が丸い。

立体構造はこんな感じになる。

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(1)がボキっと折った断面。裏スキとかは模式図なので省略。

(2)が長手方向の断面。一般的には刃元の方が分厚く、先端にかけて徐々に薄くなっている。



§キリハはなぜ平らじゃないのか

(2)のように厚みが変わっていて、峰のラインとシノギのラインと刃線のラインが平行だと、ヒラとキリハと裏の全ての面を平らにすることはできないのだ。


裏とヒラが平らなままで、キリハも平らにしようとすると、

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この、どちらかの形になってしまうのだ。

だから、刃線とシノギと峰が平行に見えるようにすると、どうしてもどこかの面がネジれるのだが、その面が通常はキリハなのである。

薄刃包丁のキリハは、平らではない。

この形状の問題は、値段が高い立派な薄刃包丁ほど顕著に表れる。
安くて厚みが薄い薄刃包丁だとあまり問題にならない。


§どう研ぐか

キリハがネジれているということは先端側と刃元側で角度が違うということだ。先端側の方が角度が大きく、刃元側の方が小さい。
先端側のキリハの面が砥石にピタっと当たるようにすると、シノギは全体的に当たるが、刃元側の刃線が砥石から浮いて当たらない。
刃元側のキリハの面を当てると、刃線は全体的に当たるが、先端側のシノギが砥石に当たらない。

研ぐにあたっては刃線を砥石に当てないとはじまらないので、刃元側の面を角度の基準にした方がいい、というのが私の考え。
実際には刃元側だけでもキリハがピタっと砥石に当たるとは限らないのだが。

だから、合わせ包丁であれば、刃境線から刃線までのハガネの面が平らになれば良しという意識で研げば良い、ということに、私はしている。


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研ぐと切刃の部分に当たりムラができてしまうが、実用上では「そんなもんだと思って気にしない」がいちばんじゃないかな。
ムラをきれいにしたいときは、私は砥石の小割れ(薄くなった砥石を割って小さくしたもの)を使って磨いている。
ふつうの角型砥石だけだと、包丁をひねって当てようとしてもほとんどの包丁は当たらない部分がある。

使い込んで研ぎ込んでいっても、新品の状態と同じように三本のラインを平行にしたい場合は、研ぐたびに刃付けとは別に少しづつシノギを修正してやらないといけない。

シノギを修正せずにふつうに研ぎ込んでいって、キリハが平らになると、キリハの刃元側の面に合わせて研ぐ人は「§キリハはなぜ平らじゃないのか」の上の図のようにシノギが斜めになり、先端の面にあわせて研ぐ人は上の図のように刃線が斜めになる。


§なぜこんな形になっているのか?

先が薄くなっている理由は、バランスの問題だと思う。
厚みがあって立派な薄刃包丁ほど、刃元と先端を同じ厚みにすると、ヘッドヘビーで使いにくくなってしまうのだろうと思う。鉈みたいな叩き切る道具ならその方がいいのだが。
関西型みたいな鎌形だと多少は緩和されそうだが、研ぎ減るにつれて刃渡りが短くなるというネックもある。


ではねじれている面をキリハではなくヒラや裏にできないのか。
キリハがねじれていると研ぎにくいではないか。


ヒラをねじれさせたらどうなるだろう?

裏とキリハが平らで三つのラインが平行だとすると、シノギの高さは刃元から先端まで同じでなければならない。
ヒラをねじれさせて峰の厚みの帳尻を合わせようとすると、先端側でシノギが峰より高いという変な形になってしまう。

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これでも別にいいんじゃないのか?という気がしないでもないのだが、先があまり軽くなってくれないかもしれない。


裏をねじれさせるとどうなるだろう?

裏押しの面が平らというのが片刃和包丁の基本なのでそれは難しいだろう。
と思ったのだが、実際に平らでなければならないのは刃線際の面だけで、裏スキ部分は凹んでいるのだし、もしかすると何かやりようがあるのかもしれない。
頭が悪いので想像だけでは具体的にどんな曲面になるのかイメージできないが。


長年この形が定着していて、どこの包丁もみんな同じような構造のようだから、私がちょっと考えて革新的なアイデアにたどり着く可能性は極めて低いとは思うが。
いつかクレイモデルとか作ってもうちょっと具体的に考えてみようかな。


§追記。裏がねじれた形について。

厚紙で何パターンかモデルを作って考えてみた。

裏が平らじゃなくても良いなら、

(1)厚みが刃元から先端にかけて薄くなっている、

且つ、

(2)峰とシノギと刃線が平行で、キリハが平らである、

という形にすることはできる。

それでけっきょく、

「裏は平らじゃなくてもいいのか?」

という問題について熟慮してみたんだけど、新品のときはいいとして、使い込んで刃線に歪みが出てきたときに、まっすぐに修正するのがものすごく難しくなるケースがありそうだ。キリハは平らということが条件ならば裏を研ぎ減らして修正する必要があるから。
徒にハガネを減らしすぎてしまう危険がある。
そして裏には裏スキがあるので、ついていてほしい肉が初めから無いという危険もあり得る。
製造時に裏スキの曲率まで厳密に計算して正確に作らないとダメで、合わせだと研削加工で裏を削りすぎるわけにはいかないから鍛造の段階でおおむね目的に合った曲面を作っておく必要がありそう。
そして使う人も裏をどう当てるか理解していないと、ほかの刃物と同じようにベタに当てようとするとダメにしてしまう。

といったことをいろいろ考えると、やはり、

「裏を歪めるというのは難しい」

という結論になった。

とすると、厚みが変わりつつ三本の線が平行という条件で、キリハをまっ平らにするのも、無理だ。
程度の問題で歪みをなるべく小さくすることはできるけど。

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裏押しはダイジ

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刃元が少し凹んでいる。

ふつうに見ても、かなりよく見ないとわからないが、


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こういうふうに見ると刃元のあたりが凹んでいることがわかると思う。

この歪みの原因を考えるとき、まず前提として裏押しがきちんと平らに出来ているかどうかが問題になるのだ。

裏が平らであるとわかっていれば、原因は切刃が凹んでいるからだとわかる。


実際のところ、刺身包丁は刃元にこれぐらいの歪みがあっても何の問題も無いだろう。
カンナの刃がこんなふうに曲がっていたら使い物にならないが。

仮に刃の真ん中あたりが凹んでいたとすると、使用に支障が出るので、修正しないといけない。
そういうとき、もし裏が凹んでいることに気付かないでいると、切刃をどれだけ研ぎ込んでも刃道はまっすぐにならない。
包丁も砥石も時間もムダにしてしまう。



出刃包丁。

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切っ先のハガネがすごく薄くなっている。

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裏を返してみると、

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やはり、

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先の方をかなり研ぎ込んでいる。
中砥石あたりで研いでいるのだろうと思う。

このまま使い続けるとこうなる。
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-316.html

裏を研ぎすぎている包丁は私が見たかぎり全て先端の方が多く減っている。全体が平均的に減っているとか、刃元側が多く減っているという包丁は、見たことがない。考えられる原因はいくつかあるが、決定的にこれだというものは思いつかない。


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両刃を片刃

両刃の包丁が片刃気味に研いであるのって全然珍しくはなくて、それをいちいち両刃に直そうとすると、刃を余計に減らすし、作業料が多くてしんどいし、そういうのはだいたいお客さんが自分で砥石を使って研いでいるので片刃気味の方が研ぎやすいんだろうし、両刃に直したところでまた片刃になってしまうだろうから、私は片刃気味になっているものは元がどうであろうとその形なりに研いでお返ししている。
片刃と両刃ではものを切った時の刃の進み方が違うが、どっちが良いという問題ではなく好みの問題だと思うし。

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またでっぷりとした片刃に仕上げられたものであるが、、、
少し厚みを抜くぐらいにしておこう。忙しいし。


ありゃま!

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堺屋直助じゃん!!

これって割込みだよな・・・ヤヴァイ・・・・

刃元拡大

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切っ先拡大

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すっかり皮かぶっちゃっています。重篤な真性包茎です。切っ先に軟鉄が出てしまっているのでこれでは切れ味が出ない。

両刃の割込み包丁も片刃に研いでいいのだが、その場合、まずは裏を平らに研いでハガネを十分に出しておいてあげる必要があるのだ。
両刃を片刃に改造するときは裏から研ぎはじめること。
割込みではない、全鋼の包丁でも、両刃になっているものを片刃にするなら裏を平らにすることから始めなければならない。

こういうふうになっている包丁も今まで何本も研いで来たから知っているのだが、どれぐらい裏を研ぎ込んだらハガネが出て来てくれるのかは、見てもわからない。いつかは出るのはわかっているが、荒砥で10分研げばいいのか、30分研いでも出て来ないのか、研いでみないとわからないのだ。
わかっているのは力仕事になるということだ。

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今回はぎりぎりハガネが出るとこまでしかやらなかった。
時間が無かったから。
むちゃくちゃしんどいし。
ニッパチとかの暇なときならもっとしっかり削ってあげるんだけど。


今日はこれとおなじような状態のがもう一本来た。
「新見♡松永」印の武田刃物さんの青紙スーパーの割込み包丁だ。
しんどかった。

なんか、府中市におかしな研ぎ方をする研ぎ屋がいるかもしれない恐怖。


来月は23日24日のイブ絡みの連休に行きます。
白糸台の馬力屋というバイク屋さんです。
去年もクリスマスだったけどお客さんが一人も来なくて寂しかったなあ・・・

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「高さ」の件

多くの人にとって家庭で包丁を研ぐ際に問題になっているのは、高さではないかと思う。

ときどきよそのお宅のキッチンで包丁を研ぐことがあるのだが、そういうとき、私はコンテナボックスで作った研ぎ桶を持参する。その分高くなるのでたいてい問題は無い。
しかしときどき、その家にあるものだけを使って研がなければならないことがあるのだが、キッチンカウンターに直接砥石を置いたり、キッチンシンクに渡した研ぎ台を使ったりすると、たいてい高さが低く、大股開きの体勢で研がなければならなくなってしまう。
私の身長は170センチで日本の成人男性の標準的な背丈であるが、キッチンの高さは女性向けに作られている場合が多いからだろう。

高さが問題になる理由は、高すぎても低すぎても、研ぐときの手首の角度に無理が生じるからだ。

刃物をうまく研ぐためには刃物の角度を一定にしなければならないと言われている(私は一定ではないが。)。
刃物の角度を一定に保つために、手首はどうあらねばならないのだろうか。
手首の角度も一定にしなければならない、という人がいるが、それは間違い。砥石と包丁の角度を一定に保ったままで研ぐとき、手首は、その角度を維持するために常に立体的に動いているのである。

主観的には手首を動かそうという意識は無いだろう。また、うまく研げるようになると視覚的には包丁とそれを握っている手は平行移動しているだけで動いていないように見えるので「動いていない」と錯覚するのかもしれない。しかし実際には手首がスムーズ且つ精密に動くから包丁と砥石の角度を一定に保つことができるのだ。

そこで刃物を研ぐときには、まず、手首の可動域に無理が生じない高さと距離で研ぐということが大切になってくるのである。
砥石の位置が高すぎても低すぎてもいけないし、体と砥石との距離が遠すぎても近すぎてもいけない。距離はたいてい調整できるのだが、高さは手近にあるものではうまく調整できないことが多いのだ。

キッチンの高さは刃物研ぎだけではなく料理をする際にも問題になるはずだ。
しかし料理をするときよりも刃物を研ぐときの方が、高さによる問題は大きいと感じる。
料理の場合でも何十分も続けてキャベツの千切りをするようなことがあればキッチンの高さが問題になってくるかもしれないが、家庭料理ではそのような反復作業を連続することは少ないので、あまり問題にはならないのだろうと思う。

ところで、キッチンの高さはどれぐらいのが適正なのだろうか?
インターネットでキッチンの高さを調べてみた。

すると優和プランニングという会社のホームぺージで

身長(㎝)÷2+5㎝

https://yuuwa-planning.jp/blog/2016/12/25/a-kitchen-the-height/#i-3

と書かれていた。

私の身長はおよそ170センチなので、この計算によると90センチが適正ということになる。試しに私の普段の仕事場で砥石を置く位置の高さを測ってみたら、ちょうど90センチぐらいだった。研ぎ台の高さがおよそ75センチで、その上に高さ15センチの研ぎ桶を置いているのである。研ぎ台はパイプを組みつけて作ったもので、ネジを緩めれば高さ調整ができるようになっている。

特に男性の場合、家庭の台所で刃物を研ごうとすると高さが低すぎる場合が多いと思うので、研ぎ桶を作ったりして適正な高さに調整した方が良いだろう。
研ぎ桶があると、研ぎ汁が垂れ流しにならないのでキッチンがあまり汚れないし、使ったあとの砥石も収納しておくことができる。

逆にキッチンシンクが高すぎるという方がいるとしたら、足元にスノコのような台を置いて研がれると良いと思う。
ふだんの台所仕事もしやすくなるのではないだろうか。

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【10月14日(日)】 包丁研ぎ講習会のご案内

【10月度】 包丁研ぎ講習会のご案内 
研いでもらうより自分で研ごう!
技術は身につければ一生の宝もの!!
 


お申込みはこちらから
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場所 青山熊野神社
日時 2018年 10月14日(日) 13時~16時ごろ 【雨天中止】

定員 4名

講師 研ぎやTOGITOGI 代表研ぎ師 坂田浩志

費用 6,000円

持ち物
講義/筆記用具
実習/ エプロン

実習で使用する包丁や砥石などは、主催者側でご用意します。
ご自分の包丁は持ってきても持って来なくてもかまいません。
荒砥石も使うため、大きく減ったり深い傷がついたりする可能性があり、包丁を持ってきて頂いても練習用の包丁しか使わない場合があります。

概要
今回は、家庭用の「両刃包丁」が対象です。
包丁を研いだことがない初心者でも参加していただける内容にします。
ただし、理屈っぽいです。
「サルでもできる!すぐできる!」という内容ではなく、「正しい方法」をご教示します。
プロの方などで、どうも研ぎ方がうまくいかないという方にも、お役に立てる内容だと思います。

お申込みはこちらから
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アクセス
東京都渋谷区神宮前2丁目2−22
最寄り駅 東京メトロ銀座線「外苑前駅」 徒歩5分


<注意事項>
・雨天中止です(屋外開催のため)。
・蚊が多いと思です。
・車の駐車スペースは敷地内にはありません。

<禁止事項>
・飲酒・酒気帯び状態での参加は禁止します。
・当日体調のすぐれない方の参加も、ご遠慮いただく場合があります。
・このほか、危険防止や円滑な会の進行のための主催者による指示に従わない方は、主催者の判断で退出を命じる場合があります。

<免責事項>(いずれも主催者に重大な過失があった場合を除きます。)
・刃物によるケガや器物の損壊について、主催者は責任を負いません。第三者との関係で負傷や器物の損壊が生じた場合、当事者同士で解決していただきます。
・主催者の責によらない事由によって講習会に参加できなかった場合、または主催者の判断で参加者が退出を命じられた場合、既にお支払いいただいている金銭は返金いたしません。


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メールフォームに問題がある方は fe26cr24@gmail.com

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そば包丁の研ぎ台

研ぎ桶を変えたので、それに合わせたサイズでそば包丁用の台を作った。


① 材料はこんな感じ
(1)ソバ包丁より少し広めの杉板
(2)下駄の歯用の細木
(3)薄いベニヤ板

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②杉板を適当な大きさに切る
尺二まで対応できるよう今回は37センチ。

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③研ぎ桶にあわせて下駄の歯になる横木を取りつける。
接着剤+ステンレス釘を使用。
横木は細いので釘より少し細いドリルで下穴を開けておこう。直接釘を打って割れてしまった。

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こんな感じで桶に取り付けられればOK。
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④ ベニヤをこんな感じにカットして、

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台に取り付ける。
やはり釘と接着剤使用。
釘は頭が出っ張ってると刃物に傷がつくので釘締めで叩き込んだ。ラバーとかを張り付けても良いと思う。

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⑤ こんな感じ。

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峰側をミニクランプで固定する。
砥石を手にもって切刃を滑らせて、切刃の厚みをしっかり抜いてあげると、切れ味が良くなる。

刃先がベニヤから少し出て、ベースの台より引っ込んでる、という状態で研ぎたいわけ。
ベースの台より刃先が出た状態で研ぐとスプラッターな状態になる(何度もなった)。


動画はこんな感じ。


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硬度の違いによる損耗状態の特徴

薄く研いだ両刃包丁がこんなふうになるという典型例。

上は濃州兼守という刻印の全鋼量産三徳包丁。
下は實光の割込み包丁。
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兼守の拡大

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鋼材が柔らかいのでぐにゃぐにゃ塑性変形している。


實光の割込み包丁。

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曲がらずに欠けている。

なお、この状態での使用感をお聞きしたところ、大根やニンジンは十分切れるのだが、トマトが切れなくなった、とのことであった。

薄く研がなければこういった欠けやヨレは生じにくい。
欠けやヨレが生じないままで刃先が押しつぶされる乃至すり潰され、分厚く鈍角になっていき、欠けてはいないけどこの包丁より切れ味は悪いくなる。

トマトの切れ味を回復させるためなら、欠けが無くなるまで研ぎ減らす必要は無い。
包丁はハサミやカミソリやカンナとは違うので欠けがあっても支障無く切れる。
しかし商売上の体裁の問題により欠けたまま返すのは憚られるので、欠けが無くなるまで研ぐ。
すると包丁の寿命はけっこう短くなる。
これは薄く研ぐことの重大な問題点だ。しかし解決策は思いつかない。

ちなみに自分の包丁は研ぎ減らすのがもったいないので欠けたまま使っているものもある。

「欠けを残したままでも切れますよ、無くなるまで研ぐと寿命短くなりますよ」

と、お客さんにもお話しすることがあるが、「残したままで」と言ったお客さんは片手で数えるほどしかいない。

「もっと鈍角にすれば切れ味は落ちるけど欠けないようになりますよ」

ともお話しすることがあるが、いまのところほぼ全員に「(欠けても)前の研ぎ方でいい」と言われている。
不服がある人はもう来てくれていないのかもしれないが。
しかしそもそも刃を薄く研ぐようになってきたのはその方がお客さんのレスポンスなりリピート率が良いためである。


なお、この包丁は昨年の暮れに研いだということなので8ヶ月ぶりぐらいの研ぎ。
欠けの原因は「桃の種かなあ?」とおっしゃっていた。
乱暴に使わなければこんなふうにはならない(私の包丁が欠けたのは落としたため)。
寿命が短くなるといっても2~3年で半分の大きさになるわけではない。一般家庭なら10年ぐらいは持つだろう。

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変わったダマスカス包丁。変わった剪定鋏。

積層鋼、いわゆるダマスカスの包丁は、側面の模様を傷つけると新品の時と同じような状態に戻すことが困難で、ムラになってしまう。
そのため昔はキライだった。
しかし、

・側面も研がないと切れ味は良くならない
・美観のために切れ味を妥協するのは本末転倒
・研ぐたびに時間やコストをかけて磨き倒すのは非現実的

といったことから、いちおうお客さんにはムラになりますよとお断りした上で、気にせずガンガン砥石を当てるようになった。
いまは少なくともキライではない。

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きれいに磨けるようになったというわけでは無いのだが、気にせずに研ぐようにしてみると、わりと好きでさえある。

積層鋼自体は何度も書いているかもしれないが、硬い刃鉄を両側から挟み込む軟鉄で、切れ味には直接関係無い。しかしダマスカス模様の様子で、刃体の厚みの具合がわかったりする。
積層鋼じゃなくても割り込み包丁なら刃境線である程度わかるが、積層鋼だと峰側に至るまで全体的な立体構造が把握できたりするのである。ブレード全体の厚みを調整するときにはけっこう便利なのである。

それから、包丁がどのようにつくられたのかという素性も推測できる。
こちらの記事にも書いたが、
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-372.html

たとえば関の孫六の旬はアメリカで大人気になって売れてるらしいが、模様がのたれ刃のようにゆったり曲がっていてあまりしっかり鍛造されていないことが見て取れる。
材料の積層鋼はバームクーヘンのように単に層状になっているだけなのでこれをハンマーで叩いたりして歪ませることによって模様が表れるのだが、この記事の旬のようにあまりしっかり叩いていないものはウネウネが少ないばかりでなく両側面を平行に研ぐとそもそも模様自体が刃先の斜面部分にしか出ないということになりかねない。
そこで、しっかり叩かなくても側面全体に模様を見せるために旬が選択した手段は、刃体を分厚くして刃先にかけて側面全体の傾斜を大きくするという方法だ。日本のふつうの三徳包丁や牛刀は八寸24cmぐらいのものでも鋼材の厚みは2.5mmが主流だが、旬は3mmとかなり分厚いのである。
分厚いと頑丈ではあるが「抜け」が悪く切れ味も鈍重になりがちだ。
だから、ヒーコラ言って厚みを削いでやらないと、私的に許せる切れ味にはならないのである。厚みを削いでやればふつうの包丁なみの切れ味になる。

しっかり鍛造した方が鉄の組織が緻密になって靭性(じんせい/=粘さ)が向上するらしいが、鍛造品と非鍛造品を研ぎ比べて顕著な違いを感じることは無いので、包丁という刃物にとっては実用の上であまり差は出ないんじゃないかと思う。

で、昨日ちょっと面白い包丁が。

龍泉の包丁なのだが、積層鋼で非鍛造、普通の厚み、という包丁。

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こんな感じになってしまう。
以前にも研がせてもらったことのある包丁なのだが、たぶんそのときは積層鋼ということに気づいていなかったと思う。

こうなると、何の目的でわざわざ地鉄に積層鋼を使っているのかよくわからない。
新品のときはもっと模様が目立っていたのだろうか。
そうだとしても、ナンダカナーという印象が拭えない。





別件。
昨日はもうひとつ変な刃物を研いだ。
写真は無いのだが、剪定鋏だ。

なんと、要ネジが逆ネジになっていたのだ。

逆ネジになっているのは、たとえば自転車の、足で踏むペダルの根元部分の「クランクロッド」と「クランクアーム」の左側の接続部分だ。これが、ふつうと同じ方向にネジが切ってあると、ペダルを漕ぐたびにネジが緩む方向に力が働いてしまうのである。
だから、ネジを切る方向が逆になっていて、ふつうのネジだと緩む方向に回すとネジが締まるようになっている。右側はふつうのネジの方向でいい。
両頭グラインダーも同じ理屈で片方は逆ネジになっている。

剪定鋏の要ネジが逆ネジになっているものは初めて見た。
剪定鋏は刃体自体に雌ネジの山が切られていて、ボルトで締めて固定するのだが、そもそもガッチリと締め込むものではない。少し緩めに締めないとハサミが開閉できないのである。開閉に支障が無くガタが無いほど良い塩梅に締めて、反対側に飛び出したボルトの頭を受けのナットでしっかり締め込んで固定するという仕組みになっているのだ。
だから剪定鋏に限っては使っているうちにネジが緩んでしまったようなものを見たことが無い。もちろん逆ネジなんかじゃないふつうのネジ山のものでだ。
ほかの多くのハサミは本体に雌ネジの山が切られていないので、ナットを強く締め込むことができず(強く締めるとハサミのかみ合わせがきつくなってしまう。)、緩んでしまう場合がある。おそらく逆ネジにしても緩むものは緩むだろう。緩み防止のためにボルトがテーパー状になっているものもあるが、修理のために開け閉めを繰り返すと緩みやすくなってしまう。新しいネジの入手が難しいので、そういうものは弱強度のネジ止め剤で固定を計っている。

それでこの剪定鋏、お預かりした段階でなぜ研ぎに出したのかわからないぐらいキレイで、ネジも錆やヤニで固着している様子もなかったのに、TB1801を吹いて万力で固定してネジ山が切れそうになるほど力を入れてもウンともスンとも言わないので、もしかすると自分の頭がボケて締める方向を間違えてるんじゃないだろうかと疑って逆向きにちょっと力を入れてみたら、あっさり緩んでくれたという次第であった。
壊さなくて本当に良かった。

剪定鋏のネジが外れなくて困っている人がいたら、いちど、逆ネジになっていないか試してみてください。

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解説つき動画

寒い中にもかかわらず大阪からのお客さんが見物に来てくれた。
動画を撮っているとき一人でカメラに向かってしゃべるのは苦手なので、人がいてくれると説明しながら撮影できるので助かる。



日本語と英語の字幕を作った。
いっぱいしゃべってるので英語の字幕作成が大変だった。
間違ってないかわからないのだが、英語で「役に立った」的なコメントをいただいているので、まあまあ通用しているようだ。

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