包丁研ぎ、刃物研ぎの要

刃物砥ぎで大事なことは、刃物がブレないことです。

表面がきちっと平らになった砥石で、ブレないように研ぐことができれば、きれいに研げます。


ヨー(水平角)とピッチ(垂直角)がぶれないようにする。
ロール(回転角)の安定は砥石の平面が担います。

研ぐとき、刃物がぶれていないかよく見ながら研ぐことです。

手研ぎの上手下手は、これを見ればわかります。


ヨー
ヨーがぶれると小刃の幅が一定になりません。中央が狭く、先とアゴが広くなる傾向があります。
ただし反りの部分を研ぐときなど、故意に回転動作をすることもあります。それはかまいません。


ピッチ
ピッチがぶれると蛤刃になります。
小刃の幅が一定になりません。
刃先が砥石に当たったり当たらなかったりするので研ぎムラの原因になります。
ヒラに傷をつける原因になります。
ただしこちらも蛤刃にするために動かすことがありますが、やはり意図した動きであればかまいません。


大事なことは柄をしっかり握ることです。

柄の握りで研ぎを安定させます。

刃物の上に添える指はあくまで補助的な役割です。素人はこれを強く押しすぎます。

片刃の和包丁やノミやカンナは、鎬線や切刃の平面が狂っていなければ、添え指でヒラを強く押すことでピッチを安定させることができます。刃物が安定しさえすればいいので、片刃の刃物だけならそれでもかまいません。

しかし両刃包丁でヒラを強く押すと、刃物は却って不安定になります。片刃でも鎬や切刃が狂ったものは、狂いが進行するだけです。

片刃の刃物の鎬や切刃に依存した研ぎだけしかできないと、ほかの刃物の研ぎに対応できません。


持ち手を安定させるのは技術です。練習して身に付けるしかありません。野球やテニスで素振りをするのと同じことです。

ゆっくりで良いから正確に刃物を動かすことを心がけてください。


持ち手を安定させることが基本で、他の問題は各論です。
刃の角度が10円玉1枚分とか2枚分とか、直刃だとか蛤刃だとか、そういうことは自分の好きなように調整してみればいいのです。

研ぎあがりの状態に絶対的な正解はありません。
刃物の種類によっても研ぎ方のセオリーは違います。包丁とハサミでは刃角もぜんぜん違うし仕上げ砥石の番手も違います。包丁でも刺身包丁と中華包丁では違うし、ハサミでも裁ち鋏と理美容鋏では違います。
同じ形の包丁でも、使う人によっても切る対象によってもより良い研ぎ方というのは異なります。
板前さんは自分の好みに刃付けするから本刃付けは買わないという人も多いです。

ですから何よりもまず、思ったように研げるようになることが大切です。


※ 研ぎ方の How to は説明しているサイトがたくさんあって重複するのでここでは端折ります。

藤次郎さんなんか詳しく書いてて動画もあるのでわかりやすいと思います。
http://tojiro.net/jp/training/sharpen_whetstone.html

刃を確認する方法はこちらがわかりやすいです。
http://www.watanabeblade.com/hotyo/sharp1.htm
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BUCK MASTER

SEALS(米海軍特殊部隊)が採用していた、有名なサバイバルナイフです。
これは本物で、いまは生産中止になっているからプレミアがついてるのだとか。

良くも悪くもアメリカの工業製品!
ハーレーダビッドソンとか。キャデラックとか。私も乗ってるキャノンデールの自転車とか。
細かく観察すると左右非対称な部分がたくさんあります。仕様かな?と思ってネットで画像検索してみましたが、ネットの写真もそれぞれ微妙に形状に違いが。。。頑丈、大雑把(笑)


ビフォー

BUCKMASTER_before01_120.jpg


アフター

BUCKMASTER_after01_120.jpg


写真見てもほとんど違いはわからないですよね。
表面はサンドブラスト仕上げ。私はそんな機械は持ってないから迂闊に砥石を当てると直せません。実戦で使われてたサバイバルナイフに鏡面仕上げなんて恥ずかしいことできないし。
刃付け、刃線のみの修正です。


ビフォー アゴ部分拡大
小刃が少しうねうねしているのがわかるでしょうか。

BACK_BEFORE_AGO02.jpg


アフター アゴ部分拡大
それをきちっと真っ直ぐにします。

BUCK_AFTER_AGO.jpg

作業は単純です。砥石の平面をきっちり平らにして、刃角をきっちり固定して、ナイフがブレないように注視しながら、腕を動かすんじゃなくて体全体を動かしてゆっくり研ぐ。です。平面が大事なノミやカンナと同じ研ぎ方。
ホローグラインドで、サバイバルナイフだから鈍角でかまわないから、難しくはありません。
蛤刃のダマスカスなんてのは触りたくありません。そういうナイフ持っていますが。
砥石はあらと君(#220)、ベスター#800、仕上げは試みに戸前色物を使ってみました。だからどうだってことにはなりませんでしたが(^^;
鋼材は440Cという記述がどこかにありました。特に問題無く素直に下りてくれました。


ビフォー 切っ先部分拡大
妙な尖がりかたになってるのがわかるでしょうか。

BACK_BEFORE_SAKI02.jpg



アフター 切っ先部分
削りすぎないように注意しながら少しだけ詰めて、刃線の違和感を修正しました。

BUCK_AFTER_SAKI.jpg


写真ではわかりませんが小刃がかなりテカテカになったので、刀のように霞ませられないかと試行錯誤してみましたが、残念ながら満足な仕上がりにはなりませんでした。


このてのナイフは飾り物になることが多いんで、実際にフィールドで使ってらっしゃるのは好感です。
ヒラに傷をつけたら私にはなおせませんけど、気にせず実用品としてごんごん使い倒していただきたいものです。
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反りとヒネリ

反り。
刃の真ん中あたりに隙間があります。刃先と触点が接触しています。
隙間が無いと切点で厳密な点接触を維持できません。広すぎると刃元付近で浮きすぎてやはり点接触しません。

sori01.jpg

先は酷使されるし閉じたときかかる力も強いので、いちばん変形しやすいです。擦れて磨耗する場合もあるし力がかかって反りが無くなる場合もあります。切れなくなったからといってネジを締めすぎると傷めます。
閉じた状態で先だけが点接触している状態が適正。

sori2_saki.jpg


要ネジの部分は浮いてます。接触しているのは触点。
但しナルトなどのハイネッタには触点がありません。要ネジ部分にベアリングが仕込んであります。

sori3_syokuten.jpg



ヒネリ。
触点の面を金盤に当てています。峰側の方が刃線側より浮いています。加工時にヒネっているのか峰側を多めに削っているのかはわかりません。裏すきと同様に、既に閉じられた刃線部分が刃裏に接触して切点が浮かないための配慮だと思います。

hineri01.jpg


反りもヒネリも刃線上の「切点」を接触させるための構造です。
文房具のハサミやキッチンバサミなどはまっ平らな物が多いです。

切る対象物が比較的硬めの物や厚めの物ならあまり問題になりませんが、薄い物や柔らかいもの、対象物自身が抵抗してくれない物の場合は、こういった構造が無いと噛み込んだり滑ったりしてしまいます。髪や薄布は難物なのです。
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鋏修正メモ

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理美容鋏各部名称

sissor001s_20101213105300.jpg



刃線:刃が付いている部分

裏すき:刃の裏側。少し窪んでいる。

峰:刃体の背側。刃の付いていない部分。

要ネジ:2枚の刃体を結合するネジ。

触点: 刃体の柄側の接触点。

ハンドル: 要ネジから指環に到る、鋏を操作する部分。

アーム: ハンドルのうち指環を除く部分。

指環: 指を差し入れる環。

ヒットポイント: ハンドル側の接触点。

指掛け: 小指をかける部分。
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