マチ考

「マチ」についてちょっと考えて見ました。

「マチ」っていうのは、柄の近くの段になってる部分です。

柳刃各部名称2


柳刃包丁や薄刃包丁はマチがある物が多いです。
出刃包丁はマチがついてるのを見たことがありません。
菜切り包丁にもほとんどマチは無いですね。


これが通常の柳刃包丁。マチがある物。

通常_Col



ではマチを作らないとどうなるでしょう。

マチ無し_Col

ぶっといんですね。

何が問題なのかというと、柄の中に縦幅の隙間がほとんど無いということ。割れるかもしれない。

柄の縦幅を一回り高くしないと、本体がしっかり収まらないのです。

しかし柄を大きくすると握りにくい。



じゃあ、中子の細さに合わせて包丁全体を造ればいいんじゃないのか?

するとこうなります。

上下削りマチ無し_Col

なんか、貧相なんですね(^^;

機能的にはおそらく、一番上のとあまり変わらないと思います。切れ味も強度も大して変わらないでしょう。
重量バランスはちょっと変わると思うけど、そんなのは包丁の長さでも微妙に変わるんだから、マチを必要とする本質的な理由じゃないはずです。

だけど貧相です。


そこで、全体のバランスを保つことがマチという構造の本質的な目的じゃないだろうか。と想像します。

だとしたら、別におおっぴらに公言しにくいようなことではないと思うんですが。
なんで長さはマチから測るんだ?っていうのは大人な事情なのかもしれませんけど。
それについて文句を言うなら「アゴから測れ」であって「マチを無くせ」では無い。包丁を長めに表示するため、なんてさもしい理由でマチがあるわけじゃないでしょう。
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包丁の種類

正本総本店さんのカタログを見ていて、包丁の種類について知らないことがあったので電話で質問してみました。


Q 薄刃包丁の「東型」と「角型」はどう違うのか。

角型は先がとがっている。東型は先が丸い。
角型は鎌形のように角が尖っているそうです。私は、東型、関東型と呼ばれる方形の薄刃包丁では、先の角が丸めてある物しか見たことがありませんでした。正本総本店さんでも東型の方がよく出るそうです。


Q 出刃包丁の、相出刃と卸出刃はどう違うのか。

卸出刃はマチ付きである。相出刃はマチが無い。
正本総本店の商品では、卸出刃のほうが少し薄い。
参考までにマチは何のためにあるのかといことも聞いてみましたが、はっきりしたことはわからないそうですw


Q 洋包丁の、ガラスキと骨透きはどう違うのか。

ガラスキは、片刃。16.5と18センチがあり、骨透きより厚い。
骨透きは、両刃。13.5~15センチまでで、ガラスキより薄い。

つまりガラスキの方が大きく、厚く、片刃である。骨透きは小さくて両刃。
丸の鳥をバラスときにガラスキを使う。
ある程度解体した鳥の部分から更に骨と肉を分けるときに骨透きを使う。

そういう区別があるとは知りませんでした(^^;
ありがとうございます。



ついでに、出刃包丁の種類について書いておきます。

出刃包丁にはいろんな種類があります。

本出刃包丁
相出刃包丁(中出刃包丁)
小出刃包丁
身卸出刃包丁(卸出刃包丁)
舟行包丁
叩き出刃包丁

これらは基本的に両刃ですが、高知県で伝統的に作られている土佐型の出刃包丁は両刃です。

まず、ふつうに出刃包丁という場合は「本出刃包丁」のことを言います。
分厚くて、重たいです。
刃渡り15センチ、五寸ぐらいから本出刃と言われるようです。

“大出刃”という言葉をたまに見聞きしますが、伝統的な和包丁のメーカーでそういう名称の包丁を販売しているところは見たことがありません。

12センチ、四寸以下出刃は、「小出刃包丁」と言われます。
本出刃をそのまま小さくした感じです。


そうすると、“中出刃包丁”(相出刃包丁)は12センチを超えて15センチ未満なのか?というと、そうではありません。
そもそも“中出刃”という用語自体が伝統的なものではありませんが、正本とか有次とか堺孝行で「中出刃を見せてください」というと、「相出刃包丁」が出て来るかもしれない。

「相出刃包丁」は七寸~八寸ほどの大きな物もあります。逆に三寸なんていう短いものは見ません。
しかし厚みが本出刃包丁より薄いのです。だから軽い。取り回しがいい。
厚みが無く刃角度が浅いため、本出刃包丁と比べると刃こぼれしやすい。

しかし河岸で大量にブリの頭を落とすような職人さんでなければ、つまり自分で釣った魚を、ブリにしてもせいぜい3~4本ぐらいを、たまに捌くといった一般の釣り師には、個人的には相出刃包丁の方が使いやすいと思います。中骨を落とすときでも、注意して関節に刃を入れればそう簡単に刃こぼれしません。

相出刃と同じように刃の厚みが薄い出刃包丁の仲間が、「身卸出刃包丁(卸出刃包丁)」、「舟行包丁」です。

「身卸出刃」は骨切り以外の作業をするための包丁だから本出刃のような厚みは必要ありません。
「舟行包丁」は漁師が船に乗せて漁に持っていった包丁が由来です。出刃包丁の役割も刺身包丁の役割もするマルチな魚捌き包丁で、やはり本出刃包丁のように分厚くありません。

いずれも本出刃包丁とは区別できますが、「相出刃」「身卸」「舟行」の明確な区別はできないと思います。
同じ包丁をメーカーが「相出刃だ。」と言えば相出刃になり、「身卸だ。」と言えば身卸になり、「舟行きだ。」と言えば舟行になるのでしょう。

ユーザーの立場から考えても、これらの包丁を正確に区別できなければ何か不都合があるというわけではありません。


そこで私の頭の中で出刃包丁の分類は、ザックリと以下のみっつに区別されています。

本出刃包丁
刃渡り五寸(15センチ以上)~七寸(21センチ)程度。尺(30センチ)以上の特殊な物もある。
分厚い。

小出刃包丁
刃渡り三寸(9センチ)~四寸五分(13.5センチ)程度。
厚みがある。

相出刃包丁、身卸出刃包丁、舟行包丁
刃渡りは本出刃と同じ程度。
本出刃より厚みが薄く、軽い。
このみっつは外見では区別できない。


日本の包丁には私が確認しているだけで70以上の種類があります。
和包丁だけで何百種類もあるという話も聞きます。
現在の主だった和包丁の分類が確立されたのは江戸末期だとか。
昭和のはじめ以前に造られたと思われる用途も名称も不明な包丁を、今でもときどき見掛けます。

江戸時代以前なんか村々の端っこに何でも造る鍛冶屋さんがいて、地域の需要に応じた形状の刃物を特に名前も付けずにただ包丁として造っていたんでしょう。
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刃付け、右用左用

合わせたの

柄の右斜め下から包丁を見た図です。

左(黄色)は、左面がまっ平らで、右面が蛤ないし段刃になってると思ってください。
右(青)は逆に、右面がまっ平らで、左面が蛤ないし段刃だと思ってください。


問題です。

どちらが右利き用でしょう。


何をどう切るときに、使いやすさはどうなるかな?ということを考えてみます。

大根やニンジンを端から5ミリ厚に刻んでいく場合を考えてみましょう。キャベツの千切りでもかまいません。

以前の記事にも書きましたが、こういう切り方です。
大根薄切り_片刃2

左面が平らな黄色の方がいい。


左面が蛤だったり段刃である青の方では、包丁が斜めに入ってしまいます。
大根薄切り_片刃3


両刃包丁で右用の刃付けとして販売されているものは、黄色の刃付けになっているようです。

新品の洋包丁ではMACとブライト(片岡製作所)で片刃に刃付けした包丁を見たことがありますが、どちらも黄色の状態でした。購入後に片刃の刃付けにしている物も、黄色の刃付けになっているものばかりです。


ところが、リンゴの皮を剥くことを考えると、逆じゃないと薄く剥けないのです。桂剥きもできない。

横縦

こうなるわけです。

また前に描いた画像で考えてみてください。

林檎皮剥き_片刃_矢印入り

これが青の刃付け。


林檎皮剥き_両刃_矢印入り

そしてこれは両刃の絵ですが、黄色の片刃でも同じように刃が逃げます。

即ち、右用でも皮剥きに使う包丁は青の刃付けが適している。より薄く皮を剥くことができます。


そこで頭記の設問に対する答えですが、大根を輪切りにする、キャベツを千切りにする、といった使い方をする包丁であれば黄色の刃付けが適している。しかしリンゴの皮を剥く包丁は青の刃付けが適している。ということになります。
果物の皮剥きによく使うペティナイフは青の刃付けがいいし、刻み物を良くする包丁は黄色の刃付けがいい。右利き用だから必ずしもどうとは言えないのです。


桂剥きをする薄刃包丁はどうなってるのかというと、基本的には黄色の刃付けです。
しかし刃角度がもっと鋭角です。右面も切刃がもっと広くて平面です。小刃は原則としてつけない。
だから桂剥きも問題無くできます。
しかし刃先が繊細なので樹脂製のまな板で刻み物をするとあっという間に刃先がギザギザになってしまいます。
繊細であるというデメリットがあります。


理屈をいろいろ考えてると、特に用途を決めていない包丁はふつうの両刃にしておくのが無難。という結論になってしまいますが、包丁研ぎが趣味の人はいろいろ刃付けを考えて楽しんでみてください。
同じ包丁か?と思うぐらい顕著に切れ味が変わります。
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砥石のこと。

砥石に関する質問にご回答します。


Q 使うたびに面直してますか?

いちどに10本以上研ぐことが多いので、荒砥と中砥はその都度面直しします。
仕上砥はあまり狂ってなければ面直ししないこともあります。狂いにくいので。
このほか、和包丁の薄刃や刺身包丁、ノミやカンナなど、直線や平面が大事な刃物を研ぐときは、砥石の平面が出てるか確認してから研ぎます。仕上砥も。平面が狂ってたら研ぐ前に面直しします。

牛刀とか三徳のような両刃包丁はあまり厳密な平面が必要ないのでちょっとぐらい曲がってても気にしません。

牛刀でも、特にシェフズナイフと言われる欧米のタイプは、刃線に直線部分が無いんです。

「牛刀」の検索画像
「Chef's Knife」の検索画像

シェフズナイフの方が刃線が緩やかにカーブしてる物が多いことがわかりますでしょうか。
あっちの人はスティックシャープナーでシャカシャカ研ぐから直線なんか維持できませんしね。
だから大根の桂剥きみたいな調理はありません。正確な直線が必要な料理が無い。

あと、たとえば日本刀の研ぎ師さんが使ってる砥石は真ん中が出っ張った蒲鉾型になっています。わざとそうしてるんじゃなくて、角を使って研ぐから結果的にああなるそうです。あの砥石で正確に整形なさっています。
持ち手がしっかりしていて砥石の面に依存しない研ぎが出来れば、多少歪んでいても大丈夫。

研ぎよりも面直しで砥石が減る量が多いと思いますので、あんまり面直ししたくないということもあります。

とはいえ、一見して曲がってるのがわかるような砥石はありません。
共摺りしたり面直し砥石に当てれば平面じゃないことがわかる、というレベルの歪みを、さてどうするかな。
というときに、両刃包丁なら平面じゃないまま研ぐこともあるという程度です。


Q メーカーと刃材のあいしょう

使ってみないとわかりません。
同じメーカーでも良いのと悪いのがあります。あるていどの傾向はあるかもしれませんが、どのメーカーなら優れている、とは言えないようです。
たとえばキング(松永砥石)の1000番はステンレス包丁だと滑ると聞きますが(私は使ったことがありません。)、私がよく使ってるベスター(今西製砥)も1000番だと研削力に不足を感じます。#700(#800?)ぐらいがいい感じ。キングにも#800ぐらいのがあって、それだとよく砥げると聞きます。

シャプトンは#1000のオレンジでも掛かりが良くステンレスとも相性がいいです。
しかしシャプトンの#1000とベスターの#800でシャプトンの方が研ぎ傷が細かいとか鋭く砥げるとは感じません。質が違うけど完成形に大差は無い。
仕上砥をかける前提であれば#700~#1200ぐらいの中砥は何番だとかどこのメーカーだとかよりも、研削力が強く作業がはかどる物がエライ。と、職人の立場では評価することになります。
いつどこで買ったのか或いは貰ったのか、思い出せない砥石も何本かあって、よく活用しています。


Q 天然砥石も使ったことがないので非常に興味があります、どうでしょう

天然砥石については詳しくありません。
天然砥石が趣味の人達に聞いていただいた方がよろしいかと思います。

京都で今でも天然砥石を採掘している砥取屋さんの掲示板
天然砥石 初心者向け掲示板
天然砥石 何でも雑談室

京都産の合砥なんかは、刃付けじゃなくて刀の表面を磨くのに適した砥石なんです。刀研ぎは表面を美しく磨くことが主の研ぎで、我々のような実用刃物の研ぎは刃付けが主である研ぎです。かなり質が違います。
磨くのに適した何十万円もする天然仕上砥石を使うと恐ろしく良く切れる刃付けができるわけではありません。
実用刃物を研ぐのに使いやすい天然砥石もありますが、同じどこそこ山の何某という同じ石でも、品質のばらつきが大きいです。大きくて質が安定してる物は値段が高く、仕事で使うには費用対効果が問題になります。刀のように一寸五千円なんてお金を頂くわけにはいかないですしね。
私も天然砥石は幾つか持ってますが、評価ができるほど知識がありません。

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刃物の長さ

営業案内に書いてある刃物の長さの測り方について説明しておきます。
統一感がなくややこしいですが、慣習的にこのような計り方になっています。


包丁は「刃渡り」です。柄を除く刃の部分の長さ。
一般的な包丁はアゴから切っ先までの長さです。

牛刀長さ

ただしマチのある和包丁はマチから切っ先までの長さを計ります。和包丁でもマチのないものはアゴから切っ先までの長さです。
柳刃長さ


ハサミは全体の長さです。理美容シザーの指掛け部分の長さは除きます。
シザー長さ
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裏スキをつくる。

ヒデさん、裏スキの作り方、ご質問ありがとうございます。

めんどくさいけど前振りからさせてもらいます。


前振りここから***

マストで裏スキがなければならないのは、ハサミです。安いハサミは無いのが多いんですけどね。植木系のハサミも高くても無いのが多いですが。
布用の裁ち鋏、理美容用のカット鋏。すごく薄かったり細い物で、且つ、柔らかい物を切る鋏は、裏スキが無いと役に立ちません。紙は薄くても布より張りがあるから切りやすいのです。柳のようにフニャフニャしてるものをしっかり掴んで切るのが難しいです。

大工道具も裏スキはかなり大事です。
和包丁は薄刃包丁以外はアバウトでもそこそこ使えます。薄刃包丁も大根の桂剥き以外の用途なら、つまり菜切りと同じように切れればいいだけなら、そこそこ使えます。

裏スキについてはこちらに書きましたが、まっ平らな状態をきっちり維持するために便利な構造なのです。まっ平らな面とまっ平らな面の接点は正確な直線になります。

カンナは刃線が0.1ミリ狂うと50センチの材木で数センチの狂いになり、それを寄せ集めて組み立てた建築物もまた狂う、という塩梅なので、まっすぐであるということは鬼のように大事なことなのです。数寄屋造りの茶室なんかもうタイヘン。

それと比べると包丁は、扱う食材がそもそもまっすぐじゃないですから。
刺身引くにはまっすぐな方がいいけど、しょせん最終形は10センチ弱ぐらいのもんです。1ミリぐらい狂ってもお客さんはほとんど気になりません。もともとぐにゃぐにゃしてますしね。
そういうわけで、直線でなければぜったいダメというのは桂剥きをする薄刃包丁ぐらいなのです。
もちろん他の包丁もまっすぐな方がいいですよ。
だけどちょっとぐらい曲がってても腕でカバーできるんです。
そして和包丁は経年で反ってしまうものがけっこうよくある。お値段の高い本焼き包丁でもS字にグニャグニャ曲がっちゃうようなのがあるそうです。中には治せる物もあるけど、残念ながら治せないものはいっぱいある。治せません。
すると、反りがごっつい包丁のは裏スキなんかに拘っても意味が無いのです。
だから、反ってる包丁の裏スキはわざわざ作らない物も多いです。

あとはステンレス系の和包丁。
和包丁の形をしてるんだけど、裏スキを作ろうという努力は垣間見えるんだけど、裏押ししてみると全面がベタっと当たって裏スキが無い。
こういう包丁は裏をベタに当てても刃先が浮いちゃってる場合、つまり事実上両刃みたいになっちゃってる場合は、平面になるまで研ぎますけど、裏スキを作るということまではしません。だってタイヘンだから。
裏が平面で、裏押ししてカエリが取れれば、とりあえず用は足りるはずです。
タイヘンというと「ガンバレヨ」と思うかもしれませんが、こっちも商売です。タイヘンということは「時間ガカカリマスヨ」ということで、それだけお代を頂戴できるなら喜んでやらせて頂きますが、2時間以上かかるから」6千円頂きますというご提案は現実的じゃないのです。10万円の本焼きならそれでもやりましょうかと言いますけどもね。

堺の包丁研ぎ屋さんでおっきなグラインダーを使ってるところ、そういうとこが、短時間でもっとリーズナブルにやってくれると言うなら、手作業でやる私よりもそちらにお願いされるのが吉です。しかし中途半端に機械を使う研ぎ屋に和包丁の裏なんか弄らせてはいけません。壊されます。上手な人とヘタクソとを簡単に区別する方法は、私は残念ながら知りません。

ハガネの和包丁でも安いのとか小さいのは裏スキが浅かったりベタに近いのがあります。
有名なとこの高い和包丁は裏スキをはじめ構造・形状がしっかりしてます。写真で見てもわからない。手で触っただけでもはっきりしないけど、砥石に当てると違いは歴然。


前振りここまで*****


さて本題は裏スキの作り方です。

私は完全に手作業です。

こちらの記事と、こちらの記事のハサミは裏スキを作りました。画像にある砥石の小割れで、ゴリゴリ削るのです。

和包丁では、先日の記事の一竿子忠綱の薄刃も同じようにゴリゴリ削りました。
これは裏スキを作る目的じゃないけど、やってることは裏スキを作る作業と同じです。とにかく削って凹ませるのです。荒砥の欠片でゴリゴリ整形する。そして中砥、仕上砥と細かい砥石に変えて研ぎ目を細かくしていく。そういう作業です。
残念ながら、良い砥石の欠片というのが売ってません。100均で売ってる荒砥石なんかもそこそこ使えますけど、研削力なんか比較して総合的にイイナーというのはなかなか無いです。私はいっぱい砥石を使うので薄くなった研削力が高い荒砥石を割って使えるんだけど。
リューターはぼくには無理でした。ガタガタになります。刃物をがっちり固定して手もブレないように工夫できれば機械も使えるかもしれません。グラインダーでもできるかもしれません。ぼくはヘタなのでできません。
そもそも和包丁の製造段階ではでっかい回転水砥石を使ってるわけですが、あれだってグラインダーの一種です。

機械を使うことの問題は、リューターやグラインダーの場合熱を持たせすぎると焼き戻りで軟化するということ。使えないレベルのなまくらになるのはよほどデタラメな作業ですが、200度を超えるぐらいで硬度は落ちはじめるようなので、使えないわけじゃないけど実はもとの切れ味より落ちるという可能性はあります。

それから、研削力が強いため削りすぎてしまうことのリスク。裏から削ってハガネを貫通してしまったら片刃包丁はオシマイです。これは裏の深い錆を落とすとき特に神経質になることですが。たぶん1ミリ以下じゃないだろか、という薄さまで責める物もあります。そういうレベルだと手作業じゃないとムリです。
製造段階では回転水砥石を、と書きましたが、裏スキは火造りの段階ですでに造ってます。
鍛冶屋さんが、焼き入れする前に形状としてすでに裏が凹んだ状態にしています。新品の研ぎの段階では磨くというべき作業です。焼き入れ後に裏スキを造るという作業自体はイレギュラーなことだという前提は念頭に置いててください。

ともかく熟練が必要です。
熟練するためには練習するしかないわけで、練習段階では熟練じゃないわけですが。
練習用にオークションで捨て値で売られてる錆だらけの片刃合わせ包丁を買ってみるとか、してもいいんじゃないでしょうか。ぼくもそういうとか廃棄予定の貰い物みたいなので試してみましたが、「ボクニハムリ」と今のところ思ってる口です(笑)
作業時間はかかるけど、熟練してなくても危機的な失敗をしにくいのは手作業です。
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質問、ネタ募集

刃物研ぎに関する質問とか、こういうネタについて調べて書いてほしいとか、そういうご希望がありましたら、どしどし書いてください。メッセージ投げてもらってもコメントで書いてもらってもけっこうです。


1月のユニークアクセス数が3000件を超えました。
ありがとうございます。
アクセスログを週に1回は見てるんですけど、少しづつでも、訪問者が増えてきてるようです。

ユニークアクセスと言ったって同日中しか区別してないから、同じ人が何回も来てくれてるかもしれませんが。
また最も熱心な訪問者はグーグルボットであることもわかっていますが。


それにしても、毎日何十人かは見に来て頂いてるようです。
それは一個人のマニアックでニッチなブログとしては非常にうれしいことなのです。

英語と中国語に対応したいなーという希望があるんですけど、かなり挫折中です。

ちなみに検索キーワードで人気なのは、ZDP189、スウェーデン鋼。牛刀と三徳、あたりです。わかってるから膨らませたいんだけど、ZDPの包丁って少ないんですよねー。買うには高いし。スウェーデン鋼はチョコチョコありますけどね。三徳と牛刀は今のところ追加ネタがありません。


「おまえのゆってることは間違ってる」とか「ナマイキ言うな」とか、そんなんでもかまいませんから、ご意見ご感想など、お手数ですけど、いろいろ書いて送ってもらえるとうれしいです。
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和包丁は裏が命

錆びた片刃の和包丁。

裏さえきれいになれば使えるようになります。


001_20120201112852.jpg

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深くない錆は研磨剤で軽くこすって落とせばいい。

大雑把に表面の錆を落とすとこんな状態になります。

006_20120201112849.jpg

005_20120201112850.jpg

上が表。
虫食いのように小さな点錆があります。これが深い錆。
裏は表よりマシ。

図示するとこんな感じ。

(表)
表2_Color

(裏)
裏_Color



さて、片刃包丁はどう研ぐか。

基本的には表だけ研ぎますよね。

たとえば赤い破線の部分を研ぐわけです。

表2_波線_Color

表は見た目に多少点錆が残っていても、刃線には出ません。研ぎあがりはまっすぐ。
刃線がガタガタになってしまうのは錆がハガネを貫通している場合だけ。

裏はどうか。

裏_波線_Color

裏は少しでも凸凹が残っているとそのまま刃線に出ます。刃線がガタガタになる。
理屈がわかるかな?

だから、裏の錆だけはしっかり除去しないといけません。

ちなみにこの作業、素人がうかつにグラインダーやリューターを使って削ると、焼きが戻ったりハガネの層を貫通してしまうキケンがあります。
私は砥石の小割れ(欠片)で磨きなさいと教わりました。時間がかかるけど刃物を壊す危険は少ないです。


錆を削った状態。

010_20120201124720.jpg

011_20120201124720.jpg

中砥までしか磨いてない状態なので粗いですが。
あと、皮一枚削り落とすのが勿体無いからアゴはちょっと欠けたままですが。(こういうところは、修理品の場合お客さんと相談してどうするか決めます。)


これでいちおう使える状態になります。使い続けることができる状態。
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