グラインダー級

けっこう欠けてる物でも荒砥使った手研ぎでゴリゴリやるんだけど、

これぐらい気持ちよく欠けているのはグラインダーで整形します。

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だいぶ痩せたけど、あまり違和感なく仕上がりました。

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グラインダーはダメだ、手研ぎに限る、という人がいます。私も手研ぎを学んだ者ですが、これぐらい欠けが大きいものを大まかに整形するときはグラインダーか手研ぎかということに違いは無いと思います。手研ぎだと荒砥石がたくさん減って時間がかかるだけ。
必ずしもグラインダーが悪いわけではありません。そもそも新品の包丁はほぼ例外なくグラインダーで整形しています。

グラインダーは焼き戻りにも注意しなければいけないし、荒い段階までしか研げないから手仕上げは必要です。
手研ぎで仕上砥をかけたレベルの細かさは、グラインダーでは無理だと思います。ごく低速のグラインダーならできるかもしれないけど、それなら手研ぎの方が手っ取り早い。

グラインダーでしか研げない研ぎ屋に残念ながらヘタクソな店があります。手研ぎのヘタクソな店なら切れないだけですが、グラインダーで失敗すると刃物を壊してしまいます。
同業者の悪口は言いたくないのですが、残念な状態になった刃物が私のところに回ってくることが少なくありません。和包丁の研ぎが500円だとか1000円だとかで、悲惨なグラインダーの研ぎ傷がギトギトについて変形しているもの。


上手下手をどうやって見分けたらいいのか。

私はプロだからわかるけど、一般の方は、うーん。難しいかもしれないなー。
国の認定資格とか作ってくれると嬉しいんですけどね。
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FX取引で儲けるために必要なこと

包丁とは何の関係もない話題で恐縮です(笑)

「儲けるために必要なこと」とは「こうすれば儲かる方法」ではない。誤解されないよう初めに断っておく。


● FX取引に限らずレバレッジドトレード、いわゆる証拠金取引を始める前に、必ず決めておかなければならないことがみっつある。

「最大損失許容額」と「1回の取引で許容できる損失額」と「取引計画」だ。


● 「最大損失許容額」は自分で決めなければならない。
FX取引で損する危険性があるということなど誰でも知っている。しかし一方で儲かる可能性もあるという期待もある。
この期待とリスクが同程度だと、おそらく、リスク投資をしたことが無い人が取引をはじめてみようとは思わないだろう。何らかの理由で期待の方が大きい人が実際に取引をするはずなのだ。
すると、実際に取引をはじめるときには、損失が出るということに対してあまり具体的な想像をしていない人が多い。

1億円の余剰資金があっても、1円も損をしたくない人は、リスク投資をしてはいけない。

「他の人は一般的にいくらぐらいでしょうか?」などと聞かれることがあるが、そんなことは知らない。私はAFPの資格も取ったことがあるので(更新して無いので失効しているが)、相談されればわかる範囲でこれぐらいでどうですかと提案することもあるが、同じ預貯金がある家庭でも世帯収入や子供の数や家賃やローンなどによって当然違いがある。

そしてこれは、本人が覚悟しなければいけないことだ。
貯金が1000万円ある人が最大で200万円まで無くなることを覚悟する、といったようなこと。200万円無くなったら、とりあえずスッパリ諦める。
その200万円はいつか帰ってくるかもしれないお金じゃなくて、死ぬまで永遠に負けっぱなしになる。そういう意味での最大損失許容額を自分で決める。
これがスタート。
損失額が、含み損であっても最大損失許容額に達したら必ず取引をやめる。
取り返したければもう一度お金を貯めて、何が間違っていたのか見直して、計画を練り直してから出直す。


● つぎに「1回の取引で許容できる損失額」
例えば、利益が出る確率が80%の取引方法があるとする。
その取引は10回行うと2回は損するのだ。
その2回が10回のうちいつ発生するかはわからない。
一気に200万円儲かる可能性があるけど一発で200万円損するかもしれない、というような額で取引をすると、はじめの取引で損が出るとオシマイだ。
大数の法則で100回も試行すると結果はだいたい80%の近似値に収束する。
確率80%という非常に期待値の高い取引方法でより確実に儲けるためには、取引回数を増やすべきなのだ。
期待値80%の取引が10回連敗する確率は20%の10乗だから0.00001%、つまり1000万回に1度しかない。毎日10回取引するデイトレーダーが1年に250日トレードしても、4000年に1回しか発生しないという確率だ。
最大損失額を10分割すれば一度も勝てずに撤退する羽目になることは少ない。


*現実には期待利損幅が対等で勝率の期待値が80%などという取引手法は存在しないか、数年~数十年に一度しか出現しない。


取引の回数を増やせば損失が発生しにくいわけではないが、累積損失が最大損失額に達して一連の取引が失敗に終わった場合でも、間違いを事後検証するためのデータを得ることができる。
数回の取引で資金が底をついてしまったら、運が悪かったのか計画が悪かったのか計画を実行できなかったのが悪かったのかといった分析ができない。


● 「取引計画」には初めにも書いたとおり、最大損失許容額と1回の取引で許容できる損失額という要素を包含しなければならない。
私は損切りはしない。米ドルを買ってアメリカがデフォルトを起こして紙切れにならない限り永遠に持っておく。という人は、最大損失許容額が200万円でドル円のレートが80円なら、2万5千ドル買って放置すればいい。最大損失許容額も1回の取引で許容できる損失額もともに200万円ということだ。本人が納得するならそれはそれでいいと思う。
実際、現物株の取引をしている人にはそういう人が多い。(ただしこれは、儲けるための方法ではなく損切りして実損を出さないための方法でしかない。)


たとえば長期移動平均と短期移動平均のゴールデンクロスとデッドクロスでドテン売買をしたらどうなるか、ということを、いろんな通貨の過去のデータ(バックデータ)で検証してみるわけだ。

たくさんのロジックを考えてバックデータを検証してみたが、試行回数が数百回以上になると、ほぼ全部は「損をする」わけでも「儲かる」わけでもなく、確率的には±0に近づくのである。
そして取引コスト分だけ損をする。

ウォール街のランダムウォークという有名な投資の世界の古典本がある。
マーケットはランダムウォークしており一時的に勝ち負けはあるが最終的にはイーブンに収束する。取引コスト分だけ負ける。投資しても勝てない(胴元は儲かる)。
40年も前にそう喝破してみせたある意味気持ちの良い本だ。
私個人は、マーケットは概ねそのように動いているけれど、ときどき違うと思う。ときどき特徴的でランダムとは言えない動きをすることがあり、ときどきマーケットの動きを予測することができると思う。

それは、マーケットの参加者が全てマーケットに参加することで何らかの得をしようと考えているはずだからだ。
もしマーケットの参加者が全て実需を背景とするヘッジャーで、マーケット自体から利益が上がるかどうかはどうでもいいという立場なら、マーケットはランダムウォークするかもしれない。

マーケットで得をしたいという同じ目的を持った感情のある人が参加しているから、ときどき何らかのアノマリーが生じる。儲かる取引方法を考えるということは、そのアノマリーを発見しようとすることだと思う。
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切れ味に関するちょっとした疑問(2)

● 包丁をスライドさせて切る場合と、まっすぐ押し付けて切る場合の、切れ味の違いは一体何によってもたらされるのか。

少なくとも巷間説明されているような理論上の刃角度の違いが主因だとは考えられない。ここまで前回書いた。
実はそれにフと気付いたのが記事を書く動因だったので、ではなぜ切れ味に違いがあるのか、ということについて、結論はない。

そこで思いつくことをまとまりなく列挙してみるにとどめることにする。

なお、先の記事で「押し付け切り」という概念を創作したが、いわゆる押し切りや引き切りはどちらも包丁をスライドさせながら切るので、方向はどうあれスライドさせながら切る方法を「スライド切り」という言葉で括ることにする。


・まな板の上に置いたトマトや刺身のような食材を、押し付け切りすることとスライド切りすることを比較してみると、食材にかかる圧力の様子から、スライド切りでは下向きに強い力を加えていないことは明らかだ。力は切断面に平行な方向、おそらく斜め下に加えられているだろう。

・包丁の刃先は微細な鋸刃になるよう仕上げるが、これがまさに鋸のように食材の表面を掻き切っている可能性はあると思う。物証は無く論証も難しいけど。

・刃先がギザギザになっているという仮定から、刃先を針の集合だと考えてみる。そして被切断物を硬い木片と考えてみる。
押し付け切りは、全ての針を一斉に木片に深く突き刺そうとしているようなものだ。一方、スライド切りは針を前後にスライドさせて木片の表面を少しずつ削りながら掘り進めようとしているようなものだと考えられる。

・そう考えると、地面に穴を掘るときスコップを垂直に地面に刺し入れるのではなく斜め下に刺し入れるが、その動きも同じ理屈かもしれない。要するに、斜め下に向かって掬い取るようにスコップを入れる方が抵抗が小さいわけだ。


物理の得意な方、ぜひ定量的に(ただし数式を使わずw)説明してみてください。

刃物で物を切るときの、力の大きさと力の掛かる範囲と力の掛かる方向を計測できる実験装置があったら、イッパツで解決するんだけど。
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切れ味に関するちょっとした疑問

● 刃渡りを活かして引き切りすると切れ味が良いことの理由として、理論上の刃角度が浅くなるため、と説明されているのを、インターネットのみならず少し専門的な書物でもよく見かける。

切れ味については以前記事を書いたとおりだが、刃角度が浅いということは、切り進むときに面にかかる抵抗を低減することに役立つだけだ。最初に物の結合を分離するときには刃先Rの大きさが問題になる。


すると、カッターナイフのように薄い刃物なら引いても押し付けても切れ味はほとんど変わらないということになってしまうのではないだろうか。柔らかい食材を薄くスライスするときなどにも、面の抵抗は非常に小さいはずだ。
理論上の刃角度が25度か20度かという違いで、実際に食材を切ったときに体感するような切れ味の違いが生まれるとは到底考えられないのである。


● 刃をスライドさせず食材に対してまっすぐに下ろして、圧力だけで切る方法を「押し付け切り」という言葉で定義する。
包丁で押し付け切りするのは、鏡餅やカボチャやスイカだ。つまり硬い物である。刺身やトマトを押し付け切りすると潰れてしまう。

先の「刃物の切れ味」という記事で「接触面積と単位面積あたりに加わる力は反比例します。刃先が鋭いほど接触面積は狭くなります。」と書いたが、これが刃物で物を切ることができる本質的な理由だ。

仮に刃先の厚みが5ミクロンで切断対象に接する刃線の長さが5cmであるとき、この刃物を1キロの力で押すと、刃先にかかる力は1平方センチメートルあたり400キロになる。同じ条件で刃先の厚みが1ミクロンだとその5倍だから1平方センチメートルあたり2トンの力が加わる。
この力が物質の結合力を上回れば物質の結合が切れる。

刃物というのはつまり、テコの原理で力を大きくする倍力装置のようなものなのだ。

ところが、柔らかいフニャフニャした物は、刃先を押し付けて力を集中しても、変形することによってその集中させた力を分散してしまうのである。柳のようなのである。太極拳の達人のようなのである。

硬いものはしっかり踏ん張るからかけた力が分散しない。包丁の方が硬いか被切断物の方が硬いか、真っ向勝負だ。ボクシングでいうと足を止めて打ち合いするようなものだ。


● そこで頭記の疑問に立ち返ってみると、被切断物が何であるのかということを考慮せず、押し付け切りによる刃角度と引き切りないし押し切りによる理論上の刃角度の違いだけで、切れ味の違いを説明しようとすることが、間違いであろうことだけは確かだと思う。

では切れ味の差は一体何によってもたらされるのだろうか。

(つづく)
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キッチンバサミ

キッチンバサミは薄いビニール袋が引っ掛かりなく切れなければいけない。
高いものは少ないからあまり研ぎの注文はないんだけど。


ヘンケルスツヴィリングの Kitchen Shares
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UNCHANGED IN FORM AND FUNCTION FOR MORE THAN 70 YEARS!(七十年以上変わらない形と機能)

日本代理店であるヘンケルスジャパンでは Twin Classicという名称に変更されてるけど、なんでだろう?

70年前というと昭和18年だから第二次世界大戦中。けっこうな歴史だ。


研ぎ屋は反りを見る。育ちが推測できる。

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キッチンバサミなのにこんなにしっかり反りがあるとはびっくり。値段も相応だけど。

ハサミを閉じて横から隙間を見てもいい。
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ヘンケルスには悪い印象も無いけどいい印象も無かった。
包丁は主に家庭用。シングルドールも含めておかしな物は造ってないから品質に一定の信頼はできるけど、ツヴィリングは割高。ゾーリンゲンだとか舶来といったものに信仰心が無ければ、国産で同程度のしっかりした物が割安で販売されている。日本の刃物は優秀だ。ツヴィリングの包丁だってほとんど日本で作ってるし。

しかしこのハサミはいいと思う。
よく考えてマジメに作ったキッチンバサミだと思う。

このハサミと外見がそっくりなキッチンバサミを、たとえば藤次郎が割安で販売している。東鋏の庄三郎や増太郎が作ってるキッチンバサミもかなり似ている。

中国や韓国が日本や欧米の製品の割安なコピー品を造って著作権侵害だって批判してるけど、日本だって同じようなことをして発展してきたという事実を再認識。

ハサミという道具を理解した先人が知恵をひねって造った良い製品。
手をかけながら大切に長い間使ってあげる価値があるハサミだと思う。
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こういう物は、必要以上に研ぎすぎないようにします。
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