割れちゃった!

愛用していた2000番の砥石が割れちゃった!

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落としたわけではない。
研ぎ桶から取り出そうとして持ち上げたらボロっと崩れるように割れたのだ。

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以前から細かいヒビが入っていたのだが、当たる筋じゃないし表面だけだろうと高を括っていたが、内部まで亀裂が入っていたようだ。

4~5年前に買って水を張ったコンテナボックスで保管していた。
マグネシアと天然砥石以外の使う砥石は同じように保管しているが、他にひびが入っている物は無い。

ピンク色の2000番なのでずっとベスターだと思い込んでいたが、ベスターの製造メーカーである京都の今西製砥さんに問い合わせたところどうやら違う物のようだった。


手研ぎに使われる人造砥石はビトリファイド製法とレジノイド製法とマグネシア製法に大別される。

ビトリファイド製法の砥石は焼き固められて造られた陶器のようなもので、化学的に安定している。
マグネシア製法とレジノイド製法は樹脂で固められた砥石だ。
この砥石も樹脂系ではないかと今西製砥さんにご指摘を受けた。

シャプトンは水に長い事漬けていると柔らかくなる。4~5年とかいうスパンではなく、#220の経験では数時間で柔らかくなりはじめるので、こんな風にはならないはず。
樹脂の種類などによっていろんな影響があるそうだ。

砥石としては目が細かく研削力が強く気に入っていたので残念だ。
ブログなんかのベスター2000番のレビューを読むと、粗めの粒子が混じっているとか研ぎだしが遅いとか、なんか違うなあと思っていたのだが。こいつはいったい何者なんだろう?

替わりの2000番を探さねば。
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包丁研ぎのコツ

包丁研ぎのコツって何ですかといったことをよく質問される。

いろいろあるが、

ひとつ思うのは、

切れなくなる前に研ぐ

ということだ。


私がお客さんの包丁を研ぐときはほとんど荒砥石から研ぎ始める。

しかし自分の包丁を荒砥石で研ぐことはほとんど無い。

普段から砥石で包丁を研いでいる知人の家や実家にはたいがい中砥石しか置いていないが、そこで使われている包丁を研いでみるとすぐに刃がつく。


簡易シャープナーでもいいから、切れ味が悪いと感じる前にコマメに研ぐべきだ。

そうすれば短時間で簡単に切れ味が最高の状態になる。

そしていつも切れ味の良い包丁で気持ちよく料理ができる。


そして、

コマメに研いでるけど切れ味が良くならないなー、とか、欠けたとか刃線が歪んだとかいう状態になってしまったら、

研ぎ屋に出せばいいと思う。
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革包丁

革の刃物ケースをつくってみようと思っている。

ダンボールで造った開閉式が便利なのだが、布を貼ってもチープ感が消えないので、ちゃんとしたものを造ってみたくなったのだ。
木工は難しそうだが革の手縫いならなんとかなりそうだと思ったのである。

革包丁は預かり物を研ぐことがよくあるので他の道具よりも馴染みがある。
インターネットであれこれ検索していると、三木の鑿の鍛冶屋さんが造っているものをブログで紹介されていた。
ちなみに三木というのは兵庫県の三木市だ。神戸より西側の南部一帯で、昔の播磨の国。ちなみに私も兵庫県出身だが伊丹市なので摂津の国。三木や小野には学生のころにブラックバスを釣りに通った。
鑿や鉋などの大工道具で良い物が多い。隣の小野市には良い植木鋏を造っている鍛冶屋さんがある。ノコギリの鍛冶屋さんが発祥だそうだ。
この革包丁、ブログで製造の様子を紹介しているがホームページにも製品紹介がなかったので、メールで問い合わせてみた。
すると、半ば予想していた通り一般的な革包丁よりかなり高かったが、いろいろと丁寧に説明して頂けたので、面白そうなので買ってみた。


その革包丁!

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なるほど鑿屋さんが造っただけあって鑿っぽい(笑)

柄は黒檀。硬い。太い。そして重い(笑)
鑿の柄と同じ桂が嵌めてあるが、叩けば抜けるのかな?中子の形は違うから抜けないよね?

刃は分厚い。普通の革包丁や丸包丁と比べると相当ガッチリしている。

なんでも、「力を入れると刃がしなって怖い」というひとがわりといたそうで、
刃元から刃先にかけてテーパーにして剛性アップしたのだそうだ。


そして、その恩恵で裏スキだ!
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さすが鑿屋さん(笑)
裏スキの良い刃物に凡作は無い。

ちなみに革包丁や丸包丁はベタ裏が多い。つまりまっ平ら。
裏スキとは写真のように裏を窪ませた状態、その窪んだ部分のこと。
裏が窪んでいることのメリットは、平面を出しやすいこと。
平面にする理由は、切刃と裏が平面であれば切刃がまっすぐになるため。
ふたつの平面と平面の接線は直線になるのだ。

合わせ刃物は時間が経つと残留応力の解放なんかでちょっと曲がってしまう物がよくある。
そういうとき、ベタ裏だと裏全体を平面に修正しないといけないので大変な作業になる。
しかし裏スキがあれば周囲の砥石に当たる部分だけを削れば修正できるので、簡単に平面が出るのだ。要は簡単に良い研ぎができるのである。

裏スキのある革包丁は他にもあるが、こんなにしっかりした物は見た事がない。

刻印。
「宗家大内 登録」とあって、その下に葉っぱが二枚交差した図柄。
実物を見てもルーペを使わないとよく見えない。
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硬度チェック。
HRC60以上、65未満(※計測器具自体の精度と計測方法の精度が信頼できないので誤差の可能性はあります。)
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カミソリレベルまで研いでみた。
カミソリレベルというのは刃先が毛髪のキューティクルに引っ掛かるぐらいのレベルだ。
さすがにこれぐらいの域の切れ味は刃持ちが悪い。ちょっと試し切りしただけで鈍る。
鈍るといっても、髪に当てて滑らせようとすると引っ掛かって削げるぐらいの切れ味が、滑る程度になるというという程度なので、革を切るのに必要な切れ味がすぐになくなるわけでは無い。

そこで現実的な問題は、実用で気持ち良いレベルの切れ味がどれぐらい持つかということである。

しかし実に残念なことに、私はまだレザークラフトをしたことがない未経験者である。
もしはじめても、他の革包丁と比較しなければ相対評価はできない。

今言えるのは、早く何か切ってみたくてワクワクしている♪ということだけである。
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第三回 ツボサン硬度チェック大会 片刃和包丁の部

第三回は片刃和包丁。
白二三徳が異様に硬かったので平均して硬めではないかと予想するが、果たして結果は?

なお、くどいようですが数値には誤差があると考えられます。
硬度チェック用のヤスリの精度を計測していませんし、押し当てる力加減や位置などによって傷がついたりつかなかったりする可能性があるからです。
同じタイミングで同じ人間がチェックしているので、調べた刃物の相対的な硬度の違いについては、ある程度信頼できると思います。


● 有光 相出刃? 5.5寸 炭素鋼 鋼材不明 HRC55以上 60未満
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意外に柔らかかった。
有名じゃない店の製品だが水牛角巻きなのでそこそこ高い物ではないかと思っていたので、も少し硬度は出していると思っていた。
相出刃?と書いたのは他の出刃より薄いため。数本持っている中でこの出刃はよく使うほう。
出刃は骨を切ったり叩いたりするので靱性を重視してこれぐらいの硬度でも充分かもしれない。少なくとも我が家で不満を感じたことは一度も無い。


● 堺刀司 出刃 五寸 岩国作 炭素鋼 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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これぐらいが予想していた硬度。
平を平面に削ったので切銘がほとんど消えて花押だけしかわからなくなってしまった。


● 国助 出刃 五寸 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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どこで入手したか覚えていない来歴不明の出刃包丁。
P柄だが刃はしっかりしていてお気に入り。


● 木屋 小出刃 いづつき 五寸 青紙二号? HRC60以上 65未満
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買ったときは「青二」と聞いた覚えがあるが、現在のホームページでは白鋼となっている。
ホームページなど世の中に存在しなかった時代に買った物なので鋼材が変わっている可能性もある。


● 堺一文字光秀 柳刃(元) 元のサイズ不明 炭素鋼 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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予想の範囲の硬度。
料理人だった知り合いが先輩にもらったという包丁を貰ったもの。貰い物の貰い物。小魚の刺身に使っている。


● 築地正本 ふぐ引き 尺 青二 HRC65以上
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二号で65以上だともっと硬そうな鋼材を調べることができないので困るのだが、先の白二の三徳でも65以上という結果だったので妥当なところだろうか。
両刃は刃先の少しだけ露出したハガネに当てるので力を入れにくいが、片刃は裏全体がハガネなのでしっかり押し付けて調べることができる。それでも削れなかった。ツボサンの黒テスターの実硬度は64~66との表示。


● 堺刀司 薄刃(東型) 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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研ぐ前の薄刃。まだ試用していないので切れ味などはわからない。
これも平を平面にする予定。


● 一竿子忠綱 薄刃(東型) 鋼材不明 HRC65以上
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これも硬かった。
硬い包丁は研いだあとの刃先に指先で触れた感触がカリカリ。柔らかい包丁はふにゃふにゃだったりそもそも鋭くならなかったり。


● 堺菊虎 薄刃(東型) 鋼材不明 HRC55以上 60未満
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おそらくいちばん多用している包丁。
菜切り包丁と見紛うほど薄いので切刃をまっ平らにすると刃角度が10度未満になってしまいたいへん刃持ちが悪い。邪道かもしれないが少し蛤気味に研いでいる。それでも刃持ちは悪いので最も頻繁に研いでいる包丁だと思う。樹脂まな板ではすぐ切れ味が落ちるので木のまな板が必須。
薄い・浅いが刃持ちの悪さの原因と思っていたが硬度も低かった。プロの料理人が使うと切れ味は半日持たないだろう。
しかし私はこの包丁をいちばん多用している。
高価な包丁、硬い包丁が必ずしも使いやすい包丁ではないという一例。


※ まとめて硬度チェックするのは今回が最終回です。
今後も自分や知人の刃物で傷つけてかまわない刃物があれば、都度調べてご報告したいと思います。
お持ちの刃物で「ちょっとぐらい傷ついてもいいから試してみてくれ」というものがあればお調べしますので、送って頂くなりしてみてください。
素性のはっきりした方であれば硬度チェックヤスリをお貸ししてもいいです。

第一回 ツボサン硬度チェック大会 牛刀三徳の部
第二回 ツボサン硬度チェック大会 カミソリとハサミ
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第二回 ツボサン硬度チェック大会 カミソリとハサミ

ツボサン硬度チェック大会、第二回はカミソリと理美容シザー。

引き続き数字の信憑性はあまり無いことを前提にお読み頂きたい。


● 日本剃刀 井上藤助 金文字 炭素鋼 鋼材不明 HRC65以上 
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さすがの硬度。
と思ったけど、白二割込三徳でもHRC65以上だったのでウルトラ硬いというわけでも無いかもしれない。


● 日本剃刀 山サ 炭素鋼 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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刃持ちなどからなんとなくこっちの方が井上藤助より柔らかいのでは、と感じていたが、やはり。
切れ味が甘いわけではない。
どちらでもキレキレに研いだ直後の切れ味は1~2回の使用で甘くなるので革砥でタッチアップが必要。


● 菊井シザー コバルト60 コバルト基合金(ステライト?) HRC55以上 60未満
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意外!
刃物に使えそうなコバルト基合金なのでステライトかと思っていたが、ステライトだと硬度はHRC50以下のようだし。
お高いシザーなので思い切って力を入れられていなかったりして。理美容シザーの硬度は高いめに出ている可能性があると眉に唾塗ってお読み頂きたい。


● 柳生 REOX HRC55以上 60未満
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菊井シザーのコバルトと同程度。
カットシザーとしては標準的だと思う。さほど硬いものはない。
昔のハガネのシザーには硬いのがあったみたいだけど。


● ZACC カットシザー&セニングシザー HRC55以上 60未満
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こちらも妥当な数字。


● 剪定鋏 銘柄不明 HRC60以上 65未満
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おつぎは剪定鋏。
剪定鋏は裏からも研いでやや両刃にするという特殊なハサミ。
これぐらい硬度があって硬い枝を切る用途では必要的なのかもしれない。


● ミツビシマテリアル エヌシキ テスキーS 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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ダンボールのカットに愛用している。薄いスチール板も切れる金属用ハサミ。
用途からしてこんなところか。
鋳鉄かと思ったが違った。そういえば研げるしね。


● 貝印 キッチン鋏 鋼材不明 HRC50以上 55未満
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ほぼ予想通りの硬さ。
キッチンばさみは錆びにくくて分解洗浄しやすい物が良いと思う。


● メーカー不明文具用ハサミ 鋼材不明 HRC50以上 55未満
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どこから入手したかわからない、たぶん新品でも数百円で売ってるようなハサミだと思う。
安物はこんなものかな、という目安に。


● 裁ち鋏 庄三郎 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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中古入手なのでどのグレードかわからないが、炭素鋼系の裁ち鋏。
総裏でしっかり造ってある裁ち鋏はこんなもんじゃないだろうか。SLDの硬刃は65以上あるのか確認してみたいが、残念ながら持っていない。


● 裁ち鋏 与三郎 鋼材不明 HRC60以上 65未満
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おそらく大正から昭和の初め頃までに作られたと思しき総火造りの裁ち鋏。
鋼材も白紙とか青紙が無かった時代のものかもしれない。



昔のハガネの理美容鋏があれば硬度を調べてみたいところだが、きっと現在の理美容シザーより硬いはずだ。
値段が高いので硬いと思い込んでいる人がときどきいるが、裁ち鋏の方が硬い物が多い。
現在の理美容シザーは総じてあまり硬くない。それよりもパーマ液の2液が酸性のため腐食しやすいので、耐食性が高いことの方が重要だ。
コバルト基合金は耐磨耗性が高いということもメリットだが腐食しないという特性の方が重要なのではないだろうか。ステンレスは錆びにくいだけで絶対に錆びないというわけではないから。

裁ち鋏は耐食性を重視しなくて良いので比較的硬い。
どちらかといえば当然硬いほうが刃持ちもいいはずだ。
庄三郎や増太郎がステンレス系で金型などに使われるSLDという鋼材のハサミを出している。庄三郎では「硬刃」と名づけているように、かなり硬い鋼材だ。
これが理美容鋏で使われていないのは何故かと思って調べてみたら、どうも耐食性があまり良く無いようだ。数種類あるのだが、ステンレスとまでは言えないセミステンレスの物もあった。それが理由だろうか。


第一回 ツボサン硬度チェック大会 牛刀三徳の部
第三回 ツボサン硬度チェック大会 片刃和包丁の部
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