変わった錆

柄の交換。

割って膨張している錆を落としてみると変わった状態になっていた。

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拡大。

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虫食いのように穴が空いて、二層になっている。

これはいったい何か?

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峰側から見ると割り込み利器材であることがわかる。

つまりおそらく、これは錆びにくいステンレスに錆びやすいハガネを割り込んだ利器材だ。

中心のハガネが柄が膨張するほど腐食して、写真に写っている部分ではもはや無くなっている。

そして両側のステンレスは、ステンレス特有の孔食によって虫食いのような穴がたくさん空いているわけだ。

こういう状態のものは初めて見た。


どうしよう。

芯のハガネはボロボロだが全体としてはけっこうしっかりしているので、少し補強すればこのまま活かせそうだ。

ハンダでも流し込もうかと思ったが、ガルバニック腐食という現象で錆びやすくなってしまう危険があるのでやめた。

する私にある選択肢は金属パテかエポキシだが、浸透性が良いのでエポキシで補強を試みることにした。


現在作業中。
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スティーブン

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God Bless Steven Seagal!!
https://www.facebook.com/sseagalofficial
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ノミの研ぎ方

大工道具のノミ。
切刃と裏をまっ平らにすれば接線である刃線はまっすぐになるという理屈。
切刃がウネウネになってしまっているものをよく見かける。
ノミ用の冶具なんかも売られていて、私も買おうかなと思ったことがある。

砥石の上で前後させて研ぐとき、長い柄が遠心力でブレてしまい、安定しないのだ。

そのため以前はわざわざ柄を外して研いだりもしていた。

輪ゴムを使うと安定する。
動画で。

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吉光 玉鋼の包丁

なんということもないおばさんが、変わった包丁を持ってくることがよくある。

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九州長崎の鍛冶屋吉光さんの、玉鋼の包丁。

「九州の旅行で、刀と同じような作り方の包丁で何本かまとめて作って、残ってるのがあるから買ってくれと言われたのよ。」

とのこと。

「刀と同じ」的な包丁の宣伝文句はふだんの私の耳にはそよ風のように通り過ぎてゆくだけなのだが、刻印に「玉」の一文字が。

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そういえば九州の方で、自家製炉でたたら吹きで玉鋼を作ったという鍛冶屋さんがあったけ、と思い出した。
http://www.yosimitsu.com/tataraseitetsu.html

玉鋼というのは、砂鉄を原料にして、たたら吹きという原始的な製鉄方法で製鉄した鉄の中で、刃物を作るために特に品質の良い部分を選り分けた部分である。たたらで作った鉄がみんな玉鋼というわけではない。
手間やコストがすごくかかるので普通の刃物鋼の何十倍だか何百倍の値段になる。
鉄にとって悪性不純物であるリンや硫黄などがあまり含まれていない良い鉄だと言われている。

しかし現代の鉄より何十倍も何百倍もよく切れる包丁が作れるわけではない。
現代の鉄で作った包丁の方がモノがいい可能性もある。

日本刀は現代刀でも必ず玉鋼で作られるのだが、これは、法律で決められているからだ。
ほかの鉄で作った刀はいくらきれいでも性能が良くても登録証を発行してもらえず、ふつうの人は日本では所持できない。
また現代の鉄とちがって玉鋼は内部の成分にムラがあるため、何度も折り返し鍛錬して炭素の分布や量などをそろえてやる必要があるのだが、そのせいで、層状の鉄の肌の景色が現れる。
これは刃文と違って現代の鋼を本焼きにした包丁には現れない。
いわゆるダマスカス鋼の模様が似ているといえば似ているが、ほとんどのダマスカスが層状の模様を見せること自体を目的にして創作されているのとは違って必要的にできた文様である。

さて。

もしかするとこの包丁も日本刀と同じように本焼きなのかなと研いでみたところ、

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割り込みのようだった。
割り込みだけど、外側の軟鉄もたたらでできた軟鉄を折り返し鍛錬したものを使っているのだと思う。

この模様をきれいに目立たせるという刀の研ぎ師の技がどうにもマネできず、上の写真は画像処理でコントラストをアップして見せているのだが、実際の見た目はこんなかんじ。

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鉄の肌を見せる研ぎはむずかしい。時間がかかる。

使い勝手はお客さんによると、

「使いにくい」

そうだ(^^;;

ペティナイフのようなサイズなのに分厚いのである。
私も磨いて飾る類の道具だと思った。
なんでしたらムチャクチャ使いやすいペティナイフと交換しましょうか、と提案したが、残念ながら却下された。


同じひとがいっしょに持ってきた五郎包丁。こちらは東北の包丁。五郎丸選手とはたぶん関係ない。

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砥の粉か何かで柄埋めがしてあって好感。

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研ぐとすごく良い刃がつくのだが何か違和感が。
刃境線が無いのだ。
調べてみたところ、どうも全鋼のようである。
梨地を磨きあげるわけにもいかず、刃文があるかどうかはわからなかった。
どういうふうに焼き入れしているのかは謎である。
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刀の刃文

刀の刃文はどうやってできるのか。

刀の刃文は合わせ包丁のように物理的に異なる種類の鉄を接合した境目の線では無い。
刀も異なる鉄を組み合わせて作られているのだが、主な刀の複合構造は、中心に柔らかい芯鉄(しんがね)が仕込まれていて周囲を硬い刃鉄(はがね)が覆うという形になっている。つまり表面は一枚の同じ質の鉄でできているわけだ。
だから単純に熱処理すると表面全体は同じ硬さになってしまう。
合わせ包丁の刃境線と同じ理由で文様ができるわけではないのだ。

刀は、焼き入れの工夫によって硬い部分と柔らかい部分に分けられている。

細かい説明は端折るが、刀の表面の硬さの違いは、「土置き」という工夫によって硬度の違いを生み出しているのだ。
刃物は加熱してから急冷する「焼き入れ」によってはじめて硬くなるのだが、このとき、峰側に分厚めに土を盛った状態で行うと、峰側には焼きが入らず硬くならないのである。

土置きに使う土を“焼き刃土”という。
刃文の形は基本的に焼き刃土をどう置くかで決める。合わせ包丁の刃境線のように鍛造の結果よって自ずと現れるものではなく、刀匠がどのような刃文にするかを決めて描くものなのだ。

刃文の種類はまっすぐな直刃(すぐは)と乱れ刃に大別されるが、刃元が乱れ刃で先に行くに従って直刃になっているものがあったりするし、乱れ刃には湾れ刃(のたれば)や互の目(ぐのめ)や濤瀾刃(とうらんば)、皆焼(ひたつら)などさまざまな種類がある。

刃文を描き出す焼き刃土の調合方法や土置きの方法はそれぞれの刀工の流派に営々と伝えられてきた秘伝で、同じようにやれば必ず再現できるわけではないし、他人が簡単に真似できるものでもない。

何百年もの歴史の中で培われ、刀工が数ヶ月の時間をかけて作刀し、いまや世界中でその芸術性が認められていて貴重なものは何億円もの価値になる日本の刀剣の、その芸術性の重要な部分を担うのが刃文である。

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これをあまり安直に合わせ包丁の刃境線と混同するのは、刀工の“思い”を想像してみてもやはり憚られるのである。
わかりやすいから別にいいじゃない、という一般の人の混用にいちいち訂正を加えるのは愚かしいと思うが、包丁屋などが宣伝文句に刃文という言葉を使っているのは軽薄に見える。刀工由来の包丁屋にあってはなおのことだ。

だから私は、合わせ刃物や割り込み刃物に現れる文様のことを特に刃境線と呼び分けているのである。
もちろん、包丁でも本焼き包丁にあらわれる文様は刃文で間違い無い。
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ハロウィーンは終わったけれど、カボチャ包丁対決!

ドンキホーテあたりで見かける、かぼちゃ切り用と思われる「かぼーちょう」
お客さんが研ぎに出してくれたので、カボチャの試し切りをさせてもらった。
ついでにほかの包丁と切り比べ。


・かぼーちょう
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なるほど確かに力は入れやすかった。
ほかの用途には使いにくいかもしれないが、カボチャを切るという用途では、同価格帯の一般的な包丁と比べるといいんじゃないかと思う。
鋼材はモリブデンバナジウム鋼と書かれていた。硬度は高くないのでたくさん切るにはツライかもしれない。


・有光牛刀
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ハガネ全鋼の八寸牛刀。
とても切り良かった。
八寸の牛刀を4~5本持っているのだが、これは薄くて気に入りの一本。築地正本の牛刀より薄いので好み。
薄いけど粘りがあって強い包丁が好き。
難点は研ぎ減るのが早いこと。


・スイカ包丁
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近く八百屋さんに借してもらって試したスイカ包丁。カボチャもこれで切っているとのこと。
丸のカボチャを切るにはこの大きさがいい。


・用途不明の古い包丁
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いつも新聞の裁断などに使っている、何用かよくわからない包丁。
これもカボチャ切りには良かった。
おそらくものすごく古い、昭和初期あたりの包丁で、鋼材の硬さが場所によって違う。たたらの鉄かもしれない。
すごく良い包丁とは言えない。


・出刃包丁
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五寸の出刃包丁
切りにくいことはわかっていたけど参考のために試し切り。
カボチャにはやはりぜんぜんダメ。
ちなみに薄刃包丁も用意していたのだが、刃が欠けるといやなので試すのはやめた。


・菜切り包丁
照康
藤原照康の五寸五分の菜切り包丁。
菜切りの中でも刃が硬く、薄く研げるので、非常に鋭い切れ味に仕上られる。薄くしてもカボチャでメゲない。
切れ味では今回試した中で最高。


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