柄埋め、柄の交換、謎な柄

柄の補強や修理が多い。

2月は暇だから隙間があいてるものを見ると埋めませんか?と声をかけるから、という理由もある。年末の忙しいときは見てみぬふりをしたのがたくさんあった。


これは三徳と菜切りの柄の交換。
薄刃包丁もきれいに研いでいらっしゃってかなりの上手と見受けられたので、柄の交換だけで承った。

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どちらもこれぐらい膨張してしまっていると、中子がかなり痩せてしまっていると思われる。
ヘタすると折れちゃうかもしれない。そうなるとロウ付けしないといけない。


和包丁の柄はホームセンターにもよく売っているが、5種類以上置いてるところはほとんどない。
しかし実はかなりの形の種類がある。
私がストックしている、P柄の小判型と栗型の形違いだけでも10種類以上ある。
八角や、角巻きや金巻きなどのバリエーションを含めると50種類以上ありそうだ。

自分で交換する人は包丁を持って行って幅や厚みを確認してから買った方がいい。多少狭くても焼いて入れれば広がってくれるけど、限度はある。

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謎な和洋折衷(笑)

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誰かにつけてもらったそうだが、お勝手で使うもので人様の目を気にするようなものじゃないから、使ってる人が問題なければOKでしょう。
これも他の包丁のついでで、念のために隙間をエポキシで埋めておいた。


並べて乾燥中。
冬に外で作業するときはヒーターで暖めないと、粘性が高く奥まで浸透しづらいし、硬化に時間がかかる。

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↑この5本の中の薄刃包丁の中子を別日に撮った写真。

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なぜ別日にこれだけ撮影したかというと、中子がやせすぎていたのと、柄の奥にあまりエポキシが浸透してくれなかったせいで、グラグラしていたため、やり直ししたからである。
これから10年20年と使うことを考えると、まあいっかというわけにはいかなかった。

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柄を挿げるまえにたっぷりエポキシを入れておいて、さらに柄を挿げてからも隙間をしっかり埋めた。
あらかじめ中に充填しておくのは蝋やパテでもよかったかもしれない。
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謎の出刃包丁

昨日は青山熊野神社にお邪魔して仕事をさせて頂いていたのだが、少し暖かくなってきたせいか、2月にしてはそこそこ数が出てきた。とはいっても十数本ぐらいなのだが、そのなかの4本が出刃包丁だった。

今はお店で魚を丸ごと売ってるということがほとんどないので、素人で出刃包丁なんか使うのは釣り人ぐらいじゃないかと思う。
その釣り人でも月に1~2度使えばいい方だろう。
使うたびに研ぐとしても、そういうのは中仕上げ砥石か仕上げ砥石で軽く撫ぜてやるぐらいでいいだろうから、研ぎ屋に出すような作業じゃない。年に1回も研ぎ屋に出す人がいれば多い方だと思う。

そんなわけで普段はそんなにたくさん出てくる種類の包丁ではないので、魚屋さんとも料理人とも思えない一般の、それも別々のお客さんから4本も出てくるというのは珍しい。
2月なんて1年でいちばん魚が釣れない月だし。

なんでかな、と考えてみて、気がついた。

先月この地域のミニコミ誌のようなものを作っている方に取材をしていただいて、紹介していただけるということなので、YouTubeにアップした動画に再生回数100万回を超えたやつがありますよと言っておいたら画面キャプチャして載せてくれていた。今月はそのミニコミ誌を見て来てくれた人が多いのだった。

そしてその動画が、錆まみれの出刃包丁をきれいにしたものだったので、「うちの出刃も研いでもらおう」という流れになった。そうに違いない。

そう気が付いて、最後の一本を取りにきたお客さんに動画見てもらったんですかと聞いてみたら、見てないデス、知らないデス、と言われてしまって、なんだか恥ずかしかった。


ところで、その4本のうちの1本が初めて見る不思議な出刃包丁だったのだ。
三層構造の割り込みなのだが、洋出刃や土佐型出刃とは違う。
三層なのに形は片刃の和包丁のようなのだ。
どこの包丁か聞いてみたが、はっきりしたことはわからなかった。

ご存知の方がいたら教えてください。


こうしてみると普通の出刃包丁。

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裏から見ると三徳包丁(笑)

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峰から見ると三枚構造。
しかし裏の地鉄の方が明らかに薄い。
こういう包丁を作ることをはっきり意識してハガネと地鉄を重ねたと推測される。

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もういちど裏面の写真。
完全な平面じゃなく裏スキも無く、なだらかに膨らんでいる。

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表。
ヒラは鍛造痕が多く普通の出刃以上に凹んでいる。
回転砥石による研磨や焼き入れ後の反りで平が凹んでいる出刃包丁はよくあるが、この包丁は火造りの段階ですでにこういう状態に凹んでいるのではないかと思われた。
研いだあとの写真を撮り忘れたが、切刃は平らだった。

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そして、写真が無いのだが、この状態で刃線はまっすぐなのである(笑)
だからこの包丁にとってはこの状態が正解の完全体なのだろう。


銘が切ってあったがよくわからない。
「興康」かなあ??

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何でもいいので情報 WANTED!
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敢えての柄埋め

木屋義久の東型菜切り包丁。

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巷では牛刀や三徳の方がたくさん売られているようだが、長年台所に立っているご婦人には「こっちの方が良い」という方がかなり多い。

私も菜切り包丁や薄刃包丁を使うことが多い。
菜切り包丁の利点は身幅の広さだと思う。峰から刃線までの幅。これが狭い包丁だと野菜が刻みにくいのだ。
先っぽの形が四角いというだけではないのである。

量産品の菜切り包丁は菜切り包丁といいながら身幅が牛刀や三徳と変わらないものがある。
おそらく同じ規格の鉄板から打ち抜いて作っているのだろう。菜切り包丁だけ幅の広い鋼材を注文すると非効率なのだと思う。パッケージの形が変わると運搬や保管にも不便だし。
手造りの包丁では、職人さんが鉄の塊を包丁の用途に合うように叩き伸ばして整形するのでちゃんと広い包丁ができるのだ。

さてこの包丁。

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中子が相当錆びてヤバい状態になっていることは間違い無い。
これぐらい膨らんでしまっていると、錆を落とすと中子が折れてしまう可能性もある。
折れると溶接しなくちゃいけないので修理代も高くなる。

そこで、お客さんと相談した結果、このまま隙間をエポキシで埋めてしまうことにした。

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寒い季節に屋外で作業するときは、ヒーターや白熱灯で温めないと接着剤が固まらない。

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完成形

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ニッパチはご多分に漏れず当職も暇になるのだが、最近なぜか柄埋めの作業が多い。
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天然砥石について考えてみる

人造砥石はある領域でなかなか天然砥石に取って代わることができないと言われている。
荒砥石や中砥石では品質が安定している人造砥石の方が優秀なのだが、仕上げ砥石では優秀な天然砥石に比肩するものが人造砥石には無いと言うのだ。

なぜだろう。

砥石というのは刃物などを研磨することがその役割である。

人造砥石は結合材といわれる粘土のようなものの中に、砥粒と言われる研磨粒子を入れて、固めて作られている。

結合材には、ビトリファイドボンド、レジンボンド、マグネシアボンドなどがある。
砥粒には、カーボランダム、グリーンカーボランダム、アルミナ、ホワイトアルミナ、ピンクアルミナ、といったものがある。

砥石の上で刃物をゴシゴシこすると、結合材は刃物より柔らかいので表面が少しづつ削れていくのだが、その削りカスの中から砥粒が出てきて、刃物を少しづつ研磨するという仕組みだ。

人造砥石は概して天然砥石より研削力が強い。
研いだあとの状態は、表面が比較的ツルツルピカピカしていて、細かい擦過痕がくっきりと残る。

天然砥石で研いだあとの状態は、曇りガラスのようになり、条痕はあまり目立たない。

なぜ曇る、霞む、といった状態に見えるのと、テカテカと光って見えるという違いが生じるのか。

それは、光がどのように反射されているのかということに原因がある。
光り輝いて見える物の表面では光が正反射しているが、曇る霞むといった見え方をする物の表面では光が乱反射しているのだ。

光っていて条痕がくっきりしている物の表面をミクロレベルで想像すると、全体的に平らな大地に深い渓谷が幾筋も走っているといった状態ではないかと思われる。グランドキャニオンみたいなイメージである。
霞んでいて条痕が目立たないものの表面は、全体がなだらかな起伏の丘のようになっているのだろうと思う。

天然砥石で研ぐとなぜそのような表面状態になるのかを想像してみるに、

・砥粒の役割をする粒子に、様々な大きさのものが混在している。
・様々な硬さの粒子が混在している。
・粒子が比較的柔らかく、研いでいるうちに破砕されて丸く小さくなる。

といったようなことがあるのでは無いかと思われるのだ。

すると、人造砥石でもいろんな硬さや大きさの砥粒をブレンドすれば、天然砥石のようになるのではないだろうか。
或いは、専門家には同じようなことを考える人がいるだろうからそういう人造砥石が既にあるかもしれない。
天然砥石を砕いた粉末を入れた砥石というものも中砥石あたりにはあると仄聞しているが、仕上げ砥石でもあるのだろうか。
人造の天然砥石で霞み仕上げになるものを知っている人がいたら、教えてください。
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