刃物鋼に含まれる元素の効果

 刃物鋼に含まれる元素の効果についてウェブで紹介されている内容をまとめた。

炭素(C)
色々な元素と化合物(炭化物)を作り、硬さ口強度を増す最も重要な根本元素。刃物鋼には通常0.6~1.5%含まれる。それぞれの鋼の性質によって適正な含有量が有り、必要以上に多すぎると、脆さ・錆びやすさが出る。銀座菊富士
鋼にとってなくてはならない大切な元素で、硬さや強さを増す第一線級です。これがなくては鋼になりません。C1%につき引張強さを約100kgf/?A増す能力があります。美鈴
様々な元素と化合物を作り硬さ強度を増す。オーステナイト結晶境界にクロム炭化物を析出し、粒界腐食を起こす。強力なオーステナイト化元素。藤次郎
鋼にとってなくてはならない大切な元素で、硬さや強さを増す最大要因の元素。正広
クロム(Cr)


ステンレス鋼における基本元素で、12%以上加えると耐食性(錆びにくさ)が著しく増す。また少量(0.5%未満)加えると、焼が硬く均― に入り易くなり、切味や耐磨耗性を大幅に増す。(この時、タングステンと共に加えることで、よりその効果が上がる。)デメリットとしては、5%以上添加した場合に、炭化物の組織が荒くなり、焼きが入りにくくなり、研磨はかなりし辛くなる。この為、ステンレス鋼には、下記のような様々な添加物や熱処理法が開発された。銀座菊富士
Crは多才な元素です。なかでも代表的な効能は摩耗に強くなり、サビにくくなることです。ボールベアリング鋼(SUJ)にはCr1%、ダイス鋼(SKD11)にはCr13%、ステンレス鋼にはCrが13%以上入っています。Crはまた焼が入り易くなるし、浸炭を促進する有用な元素でもあります。そのうえ、値段も安い元素ですから、まことに重宝なホルモン剤といえましょう。美鈴
ステンレス鋼における基本元素。フェライト化元素で12%以上加えると耐食性を著しく増す。また、熱間強度も向上させる。藤次郎
焼入性が良くなり、耐食性を増す。13%以上添加されると、ステンレス鋼と呼ばれる。正広
ケイ素(Si)強さや硬さを増す元素で、Si1%につき引張強さを約10kgf/?A増大します。つまり、Cの効能の約1/10というところです。美鈴
フェライト化元素であり、耐酸化性を増すが大量に加えると粘り強さが低下する。脱酸剤として使用される。藤次郎
溶鋼中の酸素を除く為の元素。また、強さや硬さを増す作用がある。(引張り強さでは、炭素の効能の約1/10程度です。)正広
マンガン(Mn)少量(1%未満)添加すると、鋼の硬さ、粘り強さを増す。イオウの悪影響を取り除いたり、焼きを入れやすくする役割も果たす。銀座菊富士
焼きがよく入るようになる元素で、値段が安い割合に効き目があるものです。また、鋼に強靱性を与える元素で、最近ハイテン(高張力鋼)と呼ばれている鋼はMnが1.2~1.5%入っている鋼です。美鈴
Mnはごくありふれた安い合金元素ですが、極めて重要な、なくてはならないものです。いわばビタミン剤のようなものです。Mnは合金鋼はもとより、炭素鋼にとっても最も基本的な元素の一つです。事実、Mnはどんな鋼にも必ず含まれているのです。Mnが1.2%以上含まれているとマンガン鋼といって、合金鋼の仲間入りをするわけでです。MnはCほどではありませんが、強さと硬さを増し、そのかわり粘さを損なわないので便利なホルモン剤です。また焼が入り易くなるので、調質用鋼には欠かせない元素です。美鈴
セレン(Se)などと化合物を作り、被削性を増すので快削材に添加される。赤熱脆性を防止する。オーステナイト化元素でニッケル(Ni)の約半分の効力がある。ステンレス鋼の窒素(N)の吸収力を向上する。藤次郎
溶鋼中の硫黄を除く為の元素。また、焼きがよく入るようになる元素で、鋼に粘り強さ、いわゆる靱性(じんせい)を与える。正広
リン(P)鋼には有害な元素で、冷間_性 、つまり寒い時に鋼を_くさせる嫌な性質があります。集団結合(これを偏析といいます)する性質が強いので、含有量は少ないことが必要なのです。そこで普通0.03%以下というように他の元素とオーダーが違っているのです。(約1/10)美鈴
熱間加工性を害し、機械的性質を劣化する。オーステナイト系鋼では適量の配合で熱間強度を増加させる。藤次郎
鋼にとって有害な元素で、冷間脆性(れいかんぜいせい)、つまり寒い時に鋼をもろくさせる性質がある。含有量が少ない事が望ましい元素。正広
硫黄(S)これもPと同じく好ましくない有害元素で、熱間脆性、つまり、赤熱状態のとき くさせる性質がありますので、これまたPと同じように極力少ないことが要望されています。普通は0.03%以下というように微量が規定されています。PとSは鋼にとっては招かざる客というところです。そこで、PとSが少ない鋼は良質鋼といわれるくらいで、PとSが少ないことが鋼の質の善し悪しを決める目安にもなっています。美鈴
熱間加工性を害し、マンガン(Mn)、テルル(Te)、モリブデン(Mo)などと化合物を作り被削性を増す。藤次郎
これも燐と同じく好ましくない有害元素。熱間脆性、つまり、赤熱状態の時に鋼をもろくさせる性質がある。含有量が少ない事が望ましい元素。正広
ニッケル(Ni)少量(0.5%未満)加えることで、焼が硬く均―に入り易くなり、粘り強さを増す。また、組織を微細化し、刃の欠けを防ぐ。多すぎると焼き狂いが出やすくなる。ステンレス系の地金に加えることで、光沢感を増し、耐食性(錆易さ)を改善する。銀座菊富士
Niは鋼の粘さ、つまり耐ショック性を増す有力な元素です。またNiは鋼を熱処理し易くさせるし、耐食性も向上させます。昔は合金元素のトップクラスでしたが、近年は資源的にも少なく、そのうえ値段も高いので首位の座をCrやMoに譲っています。美鈴
オーステナイトステンレスの基本元素であり耐食性、熱間強度を増す。藤次郎
モリブデン(Mo)焼が入り易くなり、粘り強く刃こばれが起きにくくなる。切味や耐磨耗性が上がる。研ぎ上がりが良い。炭素と結合し、複合炭化物を作る。銀座菊富士
Moはいろいろな合金鋼に使われて非常に信頼性のある働きをします。その効能も優秀なので、数ある合金元素のなかで最も尊重されている元素の一つです。MoはCr、Mn、Ni、Co、W、Vなどと一緒に使われることが多いのです。Moは鋼の焼入れ性、つまり焼の入る深さを増す第一戦級の元素です。また高温に加熱されたとき、結晶粒の粗大化を防ぎ、高温引張強さを増大します。更にステンレス鋼の耐食性を向上させる能力をもっています。ただMoは国産でなく、値段が高いところが欠点です。美鈴
被炭化物を作り焼き戻し抵抗性を増す。熱間強度、耐クリープ性をを増す。硝酸イオンに対し耐食性を改善する。藤次郎
炭化物を作り耐摩耗性が良くなる。ステンレス鋼では、耐食性も良くなる。焼戻し後のねばさも強力になる。高温状態でも硬く、耐摩耗性が良い。正広
バナジウム(V)焼戻し抵抗性を増し、二次便化作用があり、靭性(ねばり)・強度を増す。粘り強く刃こぼれを起きにくくする。高炭素鋼においては、複合炭化物を多く作り、組織を微細化し、刃の欠けを防ぐ。銀座菊富士
Vは鋼の結晶粒を細かくし、強靭性を発揮させる効果をもっています。また非常に硬い炭化物をつくるので、鋼の耐摩耗性を向上させます。したがって、強力な切削工具鋼には欠かせない元素です。美鈴
強力なフェライト化元素。焼き戻し抵抗性を増す。二次硬化を示し、粘り・強度を増す。高炭素ステンレス鋼においては結晶粒度を微細化する。炭化物を作り耐クリープ性を改善する。藤次郎
非常に硬い炭化物を作り、耐摩耗性が良くなる。結晶粒を微細にする働きがある。脱炭防止効果がある。正広
タングステン(W)粒子を微密にし、耐磨耗性を上げ、焼きが入り易くする。強力な複合炭化物を作り、焼き戻し抵抗性、強度、熱間強度を増す。安来鋼青紙などに含有する。銀座菊富士
Wは温度が上がってもなかなか軟らかくならない性質、つまり耐熱性を発揮させるし、また硬くて減らない特性を付与します。Moと作用が同じで、Mo1%とW2%が同じ効能です。工具鋼、特に高速度鋼には絶対に必要な元素で、タングステン系高速度鋼とモリブデン系高速度鋼の二つのタイプがあるわけです。美鈴
強力な炭化物を作り、焼き戻し抵抗性、強度、熱間硬度を増す。高速度鋼などに用いられる。藤次郎
炭化物を作り易く、耐摩耗性が良くなる。高温度に耐える性質がある。焼入れ性が良くなる。正広
コバルト(Co)刃の欠けを防ぎ、素地を強化し、炭化物の脱落を防ぐ。高炭素鋼に添加することで、高硬度と強靭性を両立させる。V金10号鋼に含有する。銀座菊富士
鋼が赤熱されたときでも軟らかくならない性質、つまり、赤熱硬性を増す有力な元素です。しかし、値段の高いことが欠点です。高級工具鋼や磁石鋼には不可欠の元素です。美鈴
著しく耐クリープ性を増す。素地を硬化し炭化物の脱落防止に寄与する。藤次郎
焼入れ組織(マルテンサイト)を強くし、炭化物の脱落を防ぐ。高温状態でも硬く、耐摩耗性が良い。正広
銅(Cu)Cuはあまり多く添加されると鋼が割れ易くなりますが、0.4%くらいまでは空気中でさびにくい性質、つまり耐候性を発揮するようになります。美鈴
オーステナイト化元素。硫酸イオンに対し耐食性を改善する。析出硬化を示し強度を増す。ただし熱間加工性を害する。藤次郎
元々は不純物であるが、抗菌性を示す為、少量添加される事がある。正広
ボロン(B)Bはごく微量(0.003%以下)添加しただけで、鋼の焼入れ性を増大し、焼が入り易くなります。この点、非常に能率的な元素といえます。現在、合金鋼の焼入れ性を増すために必ず添加されますし、これをB(ビー)鋼といって鋼種記号にBを付記することになっています。美鈴
粒界に析出し熱間強度を増す。添加量が微量で過時効を抑制し耐クリープ性を増す。酸素(O)と窒素(N)との親和力が強く、安定した添加が難しい。結晶粒微細化、熱間硬化性を向上させる。藤次郎
チタニウム(Ti)Tiは鋼の焼を入り易くする元素ですが、ステンレス鋼に添加すると耐食性を増す効能をもっています。美鈴
強力なフェライト元素で安定した炭化物を作り、オーステナイトステンレス鋼の粒界腐食を防止する。炭化物、金属間化合物を作り耐クリープ性強度を増す。析出硬化して強度を増す。結晶粒を微細化する。酸素(O)、窒素(N)と化合しやすく清浄度を害しやすい。藤次郎


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