包丁の刃先形状と食材に対する適否

包丁の刃先付近の断面形状は、大まかに、「両刃」「片刃」「蛤刃」に分類される。
蛤刃には、両刃の蛤刃もあるし片刃の蛤刃もある。

 両刃 両刃(直刃)
 片刃 片刃
 蛤刃
(両刃) 
両刃(蛤刃)


一般に、両刃より片刃の方が鋭角である。切れ味が鋭く、他方、強さに欠ける。


果物の皮を剥くときには片刃が使いやすい。
林檎皮剥き_片刃_矢印入り 

刃がまっすぐ、ないしやや内向きに入る。薄く剥くことができる。

ところが両刃だと、
林檎皮剥き_両刃_矢印入り 

薄く切ることが難しく、また、食材から面抵抗を受けて刃が外に逃げようとする。

これを解決するためにはかなり角度をつけて刃を入れなければいけないが、角度を付けると食材を持つのが難しくなり、剥きにくい。
林檎ベース 


一方、食材を両断する場合は両刃が適している。
とくに、果物やカボチャや硬い餅などの固形物は薄い両刃が良い。

林檎両断_両刃02 

蛤刃にすると、同じ刃角度でも直刃より抵抗が小さくなる。

林檎両断_両刃_蛤刃02 


片刃をまっすぐ入れようとしても斜めの圧力を受けるので刃は斜め下に進む。

林檎両断_片刃02 

この問題を解決するためにははじめから斜めに刃を入れなければいけない。
しかし厚みのある物を切るときにはどんどん抵抗が大きくなるのでやはり不向きである。
林檎両断_片刃_斜め02 

ただし分厚い物を切る場合でも、端からスライスする場合には、切り離れていく側からは圧力を受けないので片刃でも斜めに入るということはない。
この場合にかかる抵抗は皮を剥く場合と同じだから、片刃の方が薄くまっすぐ切りやすいと言える。


大根薄切り_片刃

 
蛤刃は、片刃でも両刃でも直刃より抵抗が小さくなるのがメリット。蛤刃にしてもあまり意味が無い場合もあるし、効果が高い場合もある。
蛤刃にすることで直刃より強度が著しく落ちるというようなデメリットは無いと思うので、洋包丁は蛤刃気味にしていいと思う。
片刃の和包丁は、小刃をつけて(二段刃にして)そのエッジをなだらかにするという蛤刃ならいいけれど、鎬を丸めてしまうのはいろんな意味で良くないと思う。
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ジャンル : 趣味・実用

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Re: ややこしかったです

まゆみさんコメントありがとうございます!

ややこしく思われてしまったのは残念です。
ただ、そもそもこの記事は、右利き用とか左利き用とかいうこととは関係ないです。記事の中にも記載はありません。

刃先の、特に小刃の部分の刃付けが、どういうふうに偏っていると、包丁の入り方の特性がどう変わるのか、ということを述べています。
まえもいろいろ考えたんですけど、この、いちばん上の図で、片刃和包丁の例を出してきてしまうと、ぎゃくにこの記事の目的がブレて、説明がややこしくなってしまうと思われました。

趣旨がボケてしまわないようにしながら、うまいこと加筆修正することが、私の能力ではできなかった、ということです。

ややこしかったです

過去の記事にコメントさせていただきます。

こちらのコメント欄まで読み、とても専門的で高度な記事を書いて下さっているのは理解いたしました。
ありがとうございます!

なのですが…

この度、包丁を新調し、
左利きのため、左利き用の片刃を購入いたしました。
はじめての片刃で、
ネットで注文したため、本当に左利き用が届いているのかがわからず、
色々調べておりました。

左利き用片刃の絵はなかなかなく、
また柄の方から見るのか、先端から見るのかなど、
なかなかややこしくて、
頭がこんがらがっていたところに、
こちらの桂むきの絵を参照させていただき、
尚更刃の向きが合っているのか間違っているのかがわからなくなってしまった次第です。

桂むき(皮むき)の、
一般的な片刃の向きの絵を、
「本来片刃だとこうなるのだが」のように、
参照として入れておいていただけると、
今後包丁初心者が探すときにわかりやすくてありがたいなと思いました。
皮むきや桂むきで検索に引っかかる絵が、
こちらの絵のみなのです。
初心者や素人は、自分の包丁が間違っているのかどうかすら、
わからなくなってしまうと思うのです。

話は戻り、
果物ナイフを購入する際は、
左利きなら、右利き用に研がれたナイフを買うといいのですね。
勉強になりました!
ありがとうございました😊

Re: No title

よしさんご指摘ありがとうございます。

下のコメントで居酒屋さんからも指摘があるとおり、上の果物の皮を剥く場合の説明図は、アゴから見た場合、左利き用の片刃を右手で使うことになっています。
おかしいですね。

牛刀や三徳のような洋包丁でもはじめから片刃に刃付けされたものがありますが、右利き用では果物の皮を薄く剥きにくく、“左利き用”の方が薄く剥けるというおかしな問題もあります。
しかしまな板に置いた食材を端から刻むなら右利き用の方が薄くまっすぐ刻める。
私は右利きですがペティナイフだけ“左利き用”に刃付けしています。

薄刃では桂向きでも果物の皮剥きでもなぜか問題ありません。
切刃をガイドにしているからではないかと思っていますが。
両刃では小刃に充分な幅がないので表の平をガイドにする。すると刃が上を向いてしまいます。

No title

久し振りに覗いてみましたが、私のコメントの意味が伝わっていない
ようですね?
刃の形状の違いの説明で、皮むきに片刃の使用例を揚げております
が、前の方でも何方かの指摘が有る様に図が左用の片刃包丁(右手使いで)に成っていると言う単純な質問です、最後の端をスライスする時はその図で宜しいでしょう。

Re: No title

よしさんこんにちわ。

> この片刃の皮剥きでの使い方は可笑しいですね、左用を右で使用するんですか?

薄刃包丁と考えればおかしいですね。

刃角度が浅く小刃をつけていない和包丁では

「かなり角度をつけて刃を入れなければいけない」

という問題が無いので支障ありません。

指摘箇所は「薄刃包丁に小刃をつけて二段刃にすると桂剥きに使いにくい」ということと同義になります。

一般に両刃洋包丁は薄いのであまり刃角度を浅くすると強度を損じます。
そこで一般的に和包丁より鈍角な小刃がついています。
これをたとえば片刃に加工するとき、どちら側に角度をつけるとどういう影響があるのかということを検討したものです。

No title

この片刃の皮剥きでの使い方は可笑しいですね、左用を右で使用するんですか?

Re: No title

居酒屋さん

何が正解ということは無いと思いますが、私より料理人さんの方が使い勝手について拘ることは多いと思いますので、実際に試してみて何か思うところがあったら、またご意見頂けると有りがたいです。

コメントありがとうございました。

No title

お疲れ様です
なるほど納得です。解説ありがとうございます。

Re: No title

居酒屋さんこんにちわ。

そうですね。右利き用でアゴ側から見ると逆ですね。

片刃で刃角度が浅いから包丁をあまり傾けなくても良く、切刃が広いからガイドになってくれているのかなと思います。
両刃の包丁で小刃を片寄らせる場合の問題だと思ってください。

ブライトとマックの洋包丁で出荷状態で片刃になってるものを見たことがあります。
柄を手前、刃を下に向けた状態で、どちらの包丁も右面に角度がついていて、左面が平らです。この記事の図とは逆で薄刃などの和包丁と同じです。おそらく、刻み物では薄くまっすぐ切れて、リンゴの皮は剥きにくいと思います。メーカーは「右利き用の刃付け」と言ってます。

うちにある厚めのペティナイフと牛刀や三徳は逆の刃付けにしています。

No title

はじめまして
お疲れ様です。いつもひそかに楽しみに拝見させております。
用途にあった刃付けに思考錯誤してまして、参考にさせていただいております。1番上のイラストって実際薄刃で桂剥いたら逆じゃないですか?ペティを皮剥き用に刃先の処理しようと思っての質問です。過去記事へのコメント失礼しました。
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