切れ味に関するちょっとした疑問(2)

● 包丁をスライドさせて切る場合と、まっすぐ押し付けて切る場合の、切れ味の違いは一体何によってもたらされるのか。

少なくとも巷間説明されているような理論上の刃角度の違いが主因だとは考えられない。ここまで前回書いた。
実はそれにフと気付いたのが記事を書く動因だったので、ではなぜ切れ味に違いがあるのか、ということについて、結論はない。

そこで思いつくことをまとまりなく列挙してみるにとどめることにする。

なお、先の記事で「押し付け切り」という概念を創作したが、いわゆる押し切りや引き切りはどちらも包丁をスライドさせながら切るので、方向はどうあれスライドさせながら切る方法を「スライド切り」という言葉で括ることにする。


・まな板の上に置いたトマトや刺身のような食材を、押し付け切りすることとスライド切りすることを比較してみると、食材にかかる圧力の様子から、スライド切りでは下向きに強い力を加えていないことは明らかだ。力は切断面に平行な方向、おそらく斜め下に加えられているだろう。

・包丁の刃先は微細な鋸刃になるよう仕上げるが、これがまさに鋸のように食材の表面を掻き切っている可能性はあると思う。物証は無く論証も難しいけど。

・刃先がギザギザになっているという仮定から、刃先を針の集合だと考えてみる。そして被切断物を硬い木片と考えてみる。
押し付け切りは、全ての針を一斉に木片に深く突き刺そうとしているようなものだ。一方、スライド切りは針を前後にスライドさせて木片の表面を少しずつ削りながら掘り進めようとしているようなものだと考えられる。

・そう考えると、地面に穴を掘るときスコップを垂直に地面に刺し入れるのではなく斜め下に刺し入れるが、その動きも同じ理屈かもしれない。要するに、斜め下に向かって掬い取るようにスコップを入れる方が抵抗が小さいわけだ。


物理の得意な方、ぜひ定量的に(ただし数式を使わずw)説明してみてください。

刃物で物を切るときの、力の大きさと力の掛かる範囲と力の掛かる方向を計測できる実験装置があったら、イッパツで解決するんだけど。
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Re: No title

アキさんこんにちわ。

切れ味についてはまつじょんさんのブログの説明でだいたい納得しました。
ためしてガッテンで包丁の切れ味についてやってたのを見て記事を書いたんですが、そこで考えをまとめました。力の合成ベクトルは切れ味に対して重要な問題を持たないと思います。
http://hamonotogiya.blog75.fc2.com/blog-entry-171.html



> 始めましてアキと申します。
> 受け売りですが物が切れるには、鉈の様な上から下への力(垂直)が100%に近い物と鋸のような引く(水平)勿論垂直の力も加わるが、刀や包丁の様に垂直.水平2種類の力による合成ベクトルで斜め下に働く力により切れる物が有る。その力加減でどのように切るか決まると思います、が刺身を引くと表現するように刺身は水平の力が垂直より大きい(そのためのスピードと包丁の長さ)のではないでしょうか?
> 垂直で切ると鈍い切れ水平に重点置くとシャープに切れると思うのですが如何でしょうか?

No title

始めましてアキと申します。
受け売りですが物が切れるには、鉈の様な上から下への力(垂直)が100%に近い物と鋸のような引く(水平)勿論垂直の力も加わるが、刀や包丁の様に垂直.水平2種類の力による合成ベクトルで斜め下に働く力により切れる物が有る。その力加減でどのように切るか決まると思います、が刺身を引くと表現するように刺身は水平の力が垂直より大きい(そのためのスピードと包丁の長さ)のではないでしょうか?
垂直で切ると鈍い切れ水平に重点置くとシャープに切れると思うのですが如何でしょうか?

Re: タイトルなし

ヒデさん興味深いコメントありがとうございます。

押し切りと引き切りの違いは、私も下方向(まな板に食材を置いて切るとして)にかける力の大きさだと思います。押し切りでソリを食材に当てると斜め下に強く力を加えることができる。
刺身のような柔らかい食材は強い力を加えると細胞を圧壊させてしまうから、下向きの力をなるべく加えてはいけないんじゃないか。

回すような動きというのは刃線の形状にも関係するかもしれませんね。
包丁入門という本には、薄刃包丁による刻みはまな板と包丁が平行でなければならないと書かれていますが、刃線がまっすぐではない洋包丁だと切り残しが出てしまうと思うんです。
マツジョンさんのサイトで紹介されていたように、腕は肩を軸にして円弧を描くように動くから、刃線に反りがあって少し回すような動きの方が人にとっては自然だと思います。
そういえば蛸引きでも回すような動かし方をするんでしょうかね。

摩擦で切るということがミクロレベルではどういう現象なのかがよくわからないです。

一般的ではあらますが、コックさんは、引く方向に包丁を回します、この時かなり手首は柔軟な動きを必要とします、同時にスピードも要求されます、ですのでまな板の上を滑らすかんじです、まな板に対して平行的な動きではないという感じです、刃の摩擦で切っているかんじです、片刃ではやらない切り方です、、押す方向で切るやり方は一般的には板前さんに多いです、たとえば葱を切るとは言わないで葱をうつと言います、切り口に鮮やかさを求めるほどに前にだすスライドが長くなります、同時にスピードもあげます、どちらかと言えばまな板に対して平行的な動きです、しかし柳で刺身を切るときには、引きます、まな板に対しても平行的ではなく振り下ろす感じに回します、長い包丁ほどに引き、短い包丁ほどに押します、押すときは圧力かけますが、引きのときは圧力はかけません、そっと撫でる用に切ります、これを腕の動きからして長く軽く押すのは難しいです、というかやりずらいです



切れ味には関係ない話しですが、関係あるような気もしたので書いて見ました、読みずらくてすみません

Re: No title

マツジョンさんのコメントは算数の苦手な私には非常に有難いです。

ただ、力の入れやすさという点については異論があります。
「押し付け切り」「真下切り」を実際に行うのは、カボチャやスイカや鏡餅を力を入れて切るような場合ですが、柄を利き手でにぎりつつ峰に逆の手を添えて、真上から体重を乗せて切ります。アニメーションのような切り方はしません。

その余については示唆に富むご指摘だと思います。
どうにかして検証してみたいです。

No title

 こんばんは。以前から、こちらのブログを、たびたび拝見させて頂いています。
 押し切りで軽く切れる理由については、私も不思議に思っていました。刃先角度のほかに、次の2つがあるのではないか、と考えています。

(1)刃先と食材の摩擦。
 床に引いたじゅうたんを、手で奥に押すことをイメージします。奥側のじゅうたんは押されますが、手前側のじゅうたんは引かれます。力を思い切り入れると、引かれた手前側の部分が切れると想像できます。このとき、手を床に押す力よりも、奥に押す力のほうが、重要です。これと同じことが、包丁の刃先でも起こっているのではないか、と考えています。つまり、刃先と食材の摩擦によって、食材の一部が引っ張られて、破壊されるのでは。

(2)力の入れやすさ。
 押し切りだと、肩の回転も含めた腕全体を使えるので、軽く切れるように感じる。こちらは、単純に力の大小でなく、人間の感覚の問題だと思います。

 包丁に関しては素人ですので、あまり自信がもてませんが、いかがでしょうか。

 詳しくは、以下をご覧下さい。
http://lglink.blog81.fc2.com/blog-entry-440.html
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