包丁 名前の由来

“包丁”という言葉は中国の故事に由来する。

中国でも包丁のことを庖丁と言うのだと思っていたが、調べたところ「菜刀」というらしい。庖丁といっても通じないそうだ。
韓国語でも부엌칼(台所のナイフ)とか식칼(食のナイフ)とか言うらしい。
英語ではKitchen knifeだし、フランス語ではcouteau de cuisine(台所の刃物)という。

他の国もいくつか調べてみたが、日本のように料理用の刃物にだけ特別な名前をつけている国は他になかった。

なぜ日本では包丁だけ特別な呼び方になっているのだろう?

日本の包丁は種類が非常に多く、インターネットの検索で確認できた物だけでも70種類ほどある。それも理由のひとつかもしれない。
しかし日本で多様な包丁の形や呼び名が定まったのは江戸時代後期とされている。
もっと前は地域の野鍛冶がそれぞれに伝わる方法や個別の客の注文に応じた形状で作っていただろうから、形は千差万別だったとしても固有の名前はつけられていなかったかもしれない。

包丁という言葉が使われはじめたのがいつ頃か調べてみると、平安時代に遡るらしい。
その時代は「庖丁刀」と呼ばれていたそうだ。

なーんだそういうことか。

故事に由来する庖丁という言葉を使ったのは知性的だが、“庖丁が使う刀”という意味の庖丁刀でも“台所で使う刀”という意味の庖刀でも良かったわけだ。“野菜を切る刀”という意味で菜刀でもかまわなかったろう。
台所刀=庖刀なら英語のKitchenknifeや韓国語の부엌칼やフランス語のcouteau de cuisineと同じである。

「庖丁」が他に使わない特殊な言葉だったために、庖丁刀が短縮されて単に「庖丁」となり、略字が使われるようになって「包丁」になった。

というだけのことのようだ。



参考までに。

「包丁」という言葉の由来は人の名前だとか職人の名前だといわれている。

荘子という本の養生主篇の中に

 庖丁為文惠君解牛

という件がある。

 庖丁が文惠のために牛を解体した。

という意味。

「庖丁」の「庖」はキッチンのこと。「丁」は丁さんという個人名だという説明と、職人という意味だという説明が見られる。

 丁:③使用人の男。「園丁・馬丁・包丁(庖丁)・白丁・丁稚」新潮日本語漢字辞典より)

ともあるから、個人名というよりキッチンで働く職人、使用人、と解するのが妥当だと思う。
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