ハサミいろいろ

シルクフラワーという乾繭でつくる造花を教えている先生。
それを造るハサミにはこれがいいとのこと。

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鋼板を打ち抜いてプレスして作った量産品なので品質は手造りのこんなのの方が
http://www.masutaro.com/jkm580.htm

いいはずだが、

「軽い」「長さがちょうどいい」

といった理由でこれがいいそうだ。
開閉が重いものや引っかかるものがあるので、軽くならないだろうかというご相談。

要がハメ殺しなので難しいがネジに交換すればなんとかなるかもしれない。
最悪分解して壊れてもいいという了解を得て2本あずかってみる。


一本は切っ先あたりに引っかかる感触があったが、えぐれていた。
鋼材が比較的やわらかいのだと思う。

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これは研ぐだけでまあまあいい感じになった。

もう一本は開閉が重く、個体差によるものと思われた。
そこでネジ式に改造。

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感触はかなり良くなったと思う。調整もできるようになった。
しかし改造と研ぎ代で新しいハサミ2本分ぐらいに・・・

価値があったかどうかは実際に暫く使ってみて判断して頂くしかない。


裁ち鋏。
切っ先あたりの裏に錆があって切り残しが出ていた。

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これぐらいで極薄の裏地や芯地でもスカっと切れる。

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ところがこの鋏、刃元あたりから活用して4枚重ねのサラシを切るのに使うとのこと。
噛み込まないよう反りをなるべく小さく戻す方向に調整してみたが、残念ながら満足な完成度にはならなかった。


別の裁ち鋏。増太郎のSLD。厚物を切るのでわざと寸を詰めたもの。

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SLDは日立金属製のダイス鋼。金型などに使われるステンレス系の鋼材。
鋏というのは包丁やナイフとは違って、刃先をまな板のような硬いものにぶつけて凹ませることは少ない。二枚の刃体がこすれ合うことによる磨耗が最も激しい。
ダイス鋼は耐摩耗性に優れた鋼材なのでハサミには非常に良い鋼材だと思う。庄三郎の「硬刃」というシリーズもSLDを使っているらしいがHRC60そこそこなので特に硬いわけではない。

切っ先あたりの裏。

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ステンレスも錆びる。
ステンレスの錆は性質が悪い。「孔食」といって範囲は広がらないが放置すると奥深くまで錆が進行する。
炭素鋼は広く赤錆になるので奥深くまで進む前に気づいて対処することが多いが、ステンレスは錆びないと妄信して苛烈な環境に放置すると、遠目には小さな黒いゴミがポツポツついてる程度にしか見えなくても修復が難しい状態になってしまっていることがあるのだ。

写真は既にだいぶ削ったところ。これ以上削ると刃線や反りの狂いがひどくなる。錆が深いのであとどれぐらい削ればいいのかわからないし。

薄物は切らないようなのでこれぐらいで妥協してもらう。


理容シザー

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理美容のシザーも構造は同じだけど、めんどうくさいのは研いだ後の磨き。研ぐより手間がかかる。小傷が見えなくなるまでには磨けない。小刃の角を削って蛤刃にするのとか。
切れ味とは関係無い手間で研ぎ代が高くなるって知ってました?
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ジャンル : 趣味・実用

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