マイクロスコープで金属組織は観察できるか?

PEAKのマイクロスコープを持っている。

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最大300倍に見えるレンズまであるのだが、私が持っているのは100倍用と200倍用のレンズだ。
200倍でも10ミクロン(1/100ミリ)単位ぐらいならよく見える。
仕事ではせいぜい20倍ぐらいで見えれば充分なので、これは趣味にしか使わない。

ところで、インターネットにアップされている金属組織の写真を見ると100倍とか200倍とか書いてあるものをたまに見る。
ということは、もしかすると200倍のマイクロスコープでも金属組織が見えるんじゃなかろうか?と、かねてから睨んでいたのである。

しかし実際には単純にスコープを覗いても金属組織らしきものは見えない。
これは必ずしも倍率が問題なわけではない。

金属の表面をきれいに洗って磨くと鏡のようになり、顕微鏡で覗いても全体が同じように見えるだけなのだ。
そこで組織を観察するためには表面を軽く酸化腐蝕させてやる必要がある。
組織の部分部分で腐蝕反応のしやすさが異なり濃度差が出る。それが組織の状態として見える物なのだ。

たとえば霞包丁は地鉄と刃鉄の硬度差で、研いだときの傷つき具合が違うために、柔かい地鉄側がより多めに曇って見えるわけだが、刃鉄も地鉄も鏡面になるまでピカピカに磨き上げると刃境はわからなくなる。
合わせ包丁の地鉄と刃鉄の硬度差による研ぎ傷の濃淡のようなものを、酸化腐蝕させてミクロレベルで表出させるのが金属組織の観察方法なのである。

酸化腐蝕させる必要があるということはわかっているし、酸化させられる物もいろいろ身の回りにある。しかし果たしてどれぐらい酸化腐蝕させれば組織観察に適当な状態になるのかがわからない。
軽く検索してみると、金属の種類によっていろいろと聞いたことの無い薬品を使うようだ。

そして、そもそもマイクロスコープも「200倍なら見えるかもしれない」であって、必ず見えるとは限らない、仮に適切に腐蝕させた試料を用意できてもよくわからないかもしれないのだ。


観察する金属試料とマイクロスコープの両方が適切でなければ観察はできない。


適切に処理された正解の試料を用意しないと、このマイクロスコープの能力は判断できない。


しかし試料が適切に処理されているかどうかは、確実に観察できる道具を使わなければ判断できない。


だめじゃん。。。


そんなことを頭の中でグルグルと考えるともなく考えていたあるとき、金属の組織撮影を仕事にしている人と知り合いになることができた。

つづく
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