研晴鎌形薄刃包丁 照康三徳包丁

合羽橋のかまた刃研社の薄刃包丁。
”研晴”の切銘がカッコイイ。
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薄刃包丁は研ぐのに最も難儀する包丁のひとつ。

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たったこれだけの欠けでも、20センチ前後の洋包丁なら5分で消せる作業が30分以上かかる。
段刃にできないので切刃全体を平面に押していかなければならないからだ。

電着ダイヤでベタ研ぎしてみたら、切刃がねじれていた。切刃だけでなく全体的にねじれている。
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黒っぽい部分が砥石の当たらない部分。

なお、研ぐと顕著にわかるので気になるが、ぱっと見ただけではっきりわかるほど捻れているわけではない。
包丁にはカンナみたいな精度は必要無いので実用上は問題無いレベルだろうと思う。

仕上がり。
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先の鎬まわりは砥石に当たっていない状態のままだが、刃元はきっちり当たるようにしないと刃が付かない。


別件、藤原照康の三徳。
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鍛造で打ち伸ばした三徳は身幅が広いのでぱっと見た瞬間にそれとわかる。
とても硬い包丁。

この包丁が謎なのは、三枚合わせのブレードなのに鍛造ということだ。峰を見るとわかる。
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手作りの割り込み包丁は軟らかい地鉄にタガネで切れ込みを作ってそこに刃鉄を割り込んで鍛接するので、峰側には三枚合わせの線は出ないのだ。
三枚合わせのブレードは鋼材メーカーが既製品として出荷していて、多くは打ち抜いて刃付けするだけで製品化される。
しかしこの包丁は刃境の曲線から鍛造されていることがわかる。それもかなりしっかりと。
叩き伸ばしてこの厚みだとすれば、元の鋼材はかなりの厚みだったと考えられるから、鋼材メーカーが一般の量産包丁メーカーに出荷している規格の鋼材ではないはずだ。

そこで藤原照康のホームページを見てみると、なんと、自家鍛接でステンレスの地鉄に白一か青Sを挟んで三枚合わせにした鋼材であるらしかった。こういうものは初めてみた。
当初は利器材を使ってるのにやけに高い包丁だな、などと思っていたのだが、失礼をした。手打の風合いがあって良い包丁だと思う。


余談。

いまどきの子供用自転車。
ケーブル内臓式になっていてビックリ!
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Re: 包丁選びの難しさ

Kenさんこんにちわ。

人吉の鍛冶屋さんも問屋さんが“青紙青紙”って言うから青紙を使ってるんだと言ってました。
あまつさえ青紙スーパーなんて言ってくるので困るとおっしゃってました。白でよければ白が使いたいと。

アメリカで青Sが人気らしいんだけど。
青Sみたいなピーキーなのは一時的なブームにしかならないんじゃないかと思います。
砥石で研いでちゃんと性能を引き出しながら料理をする人は白でも青でも2号ぐらいで充分だと思う。

私が千葉の刃物屋さんの体験包丁造りで造った(造るのを一部手伝った)白紙2号の包丁でも、ツボサンの硬度チェックではHRC65以上でした。1号でもこれより硬くなるのに、それより更に硬い青Sなんかどうするの?って思います。
硬いことで刃持ちするのが2週間じゃなく3週間という問題なら、それは2週間に1度研ぐか3週間に1度研ぐかという問題なわけだから、それぐらいめんどくさがらずに研ぎなさいよと思うわけです。毎日100人分の刺身を引く大きなくホテルの料理人さんが柔かいと1日刃持ちしないから「脆くてもなるべく硬い方がいい」というなら納得ですが。

蓋しカタログスペックに依存してしまうのは、自分にとっての確りした基準が無いからだと思うのです。
ただ、何万人分も料理を作ってきた料理人さんや私達のように何万本も包丁を研いできた研ぎ屋じゃないと、自分なりの基準を持つのは難しいと思います。包丁に限らず何であれ。

すると「良い悪い」とか「損得」という基準で大まかに候補を絞ったら、最後は「好き嫌い」で選べばいいと思うんです。自分だけの好みでカッケーとかカワイーとかオッシャレーでいいと思います。そうそう他人に見せるものでもありませんし。

包丁選びの難しさ

詳細なご回答ありがとうございます。

BROさんのおっしゃる通りで、一定のレベルを超えるとあとは「本人が愛着を持てる包丁か」なんだろうと思います。

最近いくつかの包丁やさんや鍛治氏の方とお話しする機会がありましたが、近年「スペック(鋼材と硬度)ばかりを気にするお客さんが増えていて答えに困る」ことがあるそうです。鋼材よりも誰が作ったの方が大事だし、硬度も高ければいいというわけではないのにねえと・・・。

先月の藤原照康の展示販売場では、20年使ってる方が研ぎに置いていった包丁を見せていただきました。当時の半分くらいしか幅がなく、それだけ長い間使い続けるファンがいるのは、ただ感心するのみです。

ただ、持ってみて自分の好みより重かったので購入は控えました。

これからもブログ楽しみにしてます。ありがとうございました。

Re: 既製品の三枚合わせとの違い

Kenさんはじめまして。

> やっぱり自家鍛接されたものの方が、永切れすると考えるべきなのでしょうか?

わかりません(笑)


「鍛造と「非鍛造」はけっこう違うと思います。個人の感想ですが。
自家鍛接ということは、鍛接の工程と火造りの工程でしっかり鍛造していると思うので、その点で違いはあると思います。鍛冶屋さん単位でステンレスと炭素鋼を鍛接するのは技術的にけっこう難しいようですし。
だけど、自家鍛接したものと鋼材メーカーがローラで圧接したものとで違いがあるかはわかりません。
ステンレスで炭素鋼を挟んだ利器材もあり、それをさらに鍛造して作られた包丁もあります。そういうものと機能的にどう違うのか、違いがあるのかは、わかりません。

私は研いだだけなのですが、柔かすぎるとか組織がすごく粗いとかまともに刃がつかないとかいう、かなりダメなものならわかります。だけどけっこういい、すごくいい、サイコー、というのはわからないです。

ある程度の期間使っていろんな包丁と比べてみないのに、むやみに褒めるのは購入を検討している人に対して無責任だし、むやみにけなすのは作ってる人に対して無責任だと思います。

私のこの包丁に対する印象は、手作りのお茶碗、焼き物、に似ています。陶器に関する造詣はゼロですが。

ある一定レベルの機能をクリアしていれば、あとは機能的にどれだけすごいかより使っていて愛着が持てることの方が道具にとって大事なことじゃないかと私は思っていて、そういう意味で、この包丁はいい風合いの包丁だと思いました。
刀鍛冶の伝統を引き継いだ・・・的な刃物屋さんの決まり文句は胡散臭さを感じますが、鍛冶屋さんがちゃんとどうしたいという意思を持って一本一本手をかけて作っているものは好きです。多少値段が高くてもおかしいとは思いません。

既製品の三枚合わせとの違い

はじめまして。

例えば、既製品の三枚合わせの包丁だと、
http://www.jikko.jp/shopdetail/003006000011/003/006/X/page1/price/

などが当たると思われますが、藤原照康のように自家鍛接でステンを挟み込んだ包丁と実用上何が変わってくるのでしょうか?やっぱり自家鍛接されたものの方が、永切れすると考えるべきなのでしょうか?

新しく購入

御無沙汰しております。コメント大変そうですね、なんか少しびっくりしました。でもちゃんと怒らずに返信しているのですごいとおもいます。

さて新しい包丁を購入しました。貝印の5000CLというのを。使うのは自分ではなく母がつかうためです。使う人の使いやすさなどを考えるとステンレスにしました。鋼の物を選ぼうかと思いましたが、確かに切れ味抜群しかしちょっとした油断や酸性の強い物切ったときなどあっという間に錆が発生するのも事実。切れ味よりも使い安さを優先しました。でも、それなりに使用前には研ぎあげて切れるようにはしました←(自己満足ですが・・・)。

使い慣れた軽い包丁が柄が腐って折れてつかいものにならなくなって
(直してマキリ風になったのですが、普段使いにはなりませんので)
その間は長年ほこりをかぶっていたドイツ製のシェフナイフと言うのでしょうか、あごのところが分厚くじゃがいもの目とかが取れない物で、ちと重く刃の厚みがあるものを使っていました。でもとうとう

「確かに切れるんだけど使いづらくて、先がとんがっているので怖い」

というので三徳を選びました。今のところ母から不平不満はでておりません。
三徳って使ってみると便利ですね。日本の家庭に本当にあってますね。

ではまた刃物関係でなにかあったらまた報告いたします。
(ご迷惑でなければ・・・)

さようなら

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