包丁の折れた中子の銀ロウ付け

柄の腐食の最終形。

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ここまでになってしまうと、治せない。
このままでむりやり柄を挿げても、使ってると、そのうちまた折れてしまう。

柄にヒビが入るほど内部が腐食膨張する前に、修理に出さないのが悪い。


残念ですが、あきらめてください。
いらない包丁の回収も、承っております。


お金がかかってもいいので、どうしても修理してほしい?

じゃちょっと、やってみましょうか。

結果保証はできないけど。


初めての作業なので、知り合いに教えてもらったり、いろんな切片を作って試行してみた。
すると、溶接までしなくても、銀ロウ付けで、かなりがっちり中子が延長できるという感触を得た。

ハガネとステンレス。

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ハガネとハガネ。
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どっちもガッチリくっついている。
だいじょうぶそう。


そこで、

1) 廃棄品の包丁から延長する切片を切り出す。
幅、厚み、長さは、挿げる柄の穴を参考に整形。
包丁も接合面を削って、面が合うようにする。

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2) アセトンで脱脂して、専用のフラックスを塗り、銀ロウの強力接合タイプでロウ付け。

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写真で見ると少し心許ないが、横に曲げないかぎりまず取れなさそう。
引っ張り強度は10キロ以上はある感じ。(10キロの米袋をぶら下げても取れなさそう。)

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これより痩せて強度がなくなった中子でも、エポキシで固めてしまえばどうにかなっている。
接合部分が柄の中にしっかり入るよう埋め込んでしまえば、大丈夫そう。

かなり加熱したので、焼き戻りしていないか不安。
ざっくりだが、ツボ三の硬度チェックやすりを使って、アゴの部分と先端部の硬度を確認してみた。
幸い、HRC60以上はあるようで、少なくともこの時点の刃先は硬度が落ちている様子は感じられなかった。


接合部分をしっかり埋めるためにちょっとずんぐりむっくりになってしまったが、多くは望まないように。

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ボンドEセット90分硬化タイプを、隙間に垂らしこんで、48時間経過。

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相当がっちりくっついたと思う。

できれば5年ぐらい経過観察したいところ。
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Re: そもそもの質問ですが・・・

Kenさんこんにちわ。


> 1:こうなることが目に見えてるのに鍔をつけない包丁や、樹脂を充填したりしていない包丁がそこそこの値段するものでも見かけるのはどうしてなのでしょうか。

「目に見えてる」とは、限らない、とも、いえるかもしれません。
私は研ぎ屋なので、修理が必要なほどひどくなってしまった包丁がたくさん集まってきます。
しかし、長年使われて研ぎ減っているけど、こうなっていない包丁も、たくさんあります。

しかし、中子が修理不能なほど錆びて廃棄されてしまう包丁が、たくさんあることも、現実です。
昔は現在のような良質のステンレス刃物鋼が無かったので、錆びるのは当たり前で仕方なかった。
エポキシ樹脂なんて便利な物も無かった。
その伝統を、そのまま今に引き継いでいる、というのが実際的な理由のような気がします。


> 2:中子が腐食してき始めた予兆というのはどうやって見分けることができるのでしょう。

中子は錆びるものです。
人吉の則光さんの包丁は、中子の部分にステンレス素材を溶接していますが、
そのために、柄が抜けやすいので、目釘を打っています。
ハガネの中子は、錆びることによって柄と密着性を高めているようです。

程度の問題だと思います。

柄を押し広げるほどになったら、錆が許容範囲を超えていると考えて、
すぐに交換するのが吉でしょう。

そもそもの質問ですが・・・

BROさんのおっしゃる通りなのですが、それを踏まえて教えてください。

1:こうなることが目に見えてるのに鍔をつけない包丁や、樹脂を充填したりしていない包丁がそこそこの値段するものでも見かけるのはどうしてなのでしょうか。

2:中子が腐食してき始めた予兆というのはどうやって見分けることができるのでしょう。

お願いします。

Re: ツルツル

こんにちわ。
仕上砥をかけるとつるつるになって切れないというのは、よくわからないです。
何をどういうふうに切ったら、どんな感じで「切れない」と感じるんですか?
ステンレスは番手をあげると切れなくなるってどこに書いてました?
ハサミならわかるんですが、これは、ステンレス特有の問題じゃありません。
現物をさわってみたいところです。

ちなみに私は、ギザギザをつけるということは意識していません。
ステンレスでもハガネでも、仕上砥をかけた方がよく切れると思います。何万本も研いでますが。


銀ロウ付けはクロモリの自転車でも使われてるので、強度は問題無いと思うんですが、かなり熱するので、焼き戻りがどれぐらいの範囲に及んでいるのかは不安です。

ツルツル

久々の投稿になります、ご無沙汰しております。今年もよろしくお願いいたします。

さて、番手を上げて研ぎすましていくとなぜか刃先がつるつるになってしまい、どうにもこうにも切れなくなくなって困り果てていました。鋼材はきっと安いステンレス一枚もののペティ。メイン使いではないので気にはしていなかったのですがやっぱり悔しいのでどうにかきれるようにしたい・・・
いろいろネットで調べてると「ステンレスは番手を上げるときれなくなる・・・」のようなことが書いてあったので試しに少し荒目ですが#240でカエリが出るまで研いでそこでやめてみました。すると切れ味がすさまじくなっていました。これだと荒いのですこし気持ち滑らかにするのに革砥でストロッピングさせてみると、切断面は荒いですが切れるように。で欲が出て番手をあげたら、やっぱり切れなくなってしまいました・・・・。

持っている中砥が番手が不明なのですが仕上げに近い感じなのでどうしてもツルツルになってしまうので荒目の中砥を購入しました。お手頃な「キングデラックス#800」厚みがあるのでガンガン研いでも長持ちしそうです。切れないペティをさっそく研いでみたら見事切れる刃が付きました。軽く革砥でストロップさせてカエリを取る程度にして、試し切り。

スパッと新聞紙が切れました。(刃先のギザギザは目で見えるほど荒いのですが)

素人考えですが、安い鋼材はきっと番手を上げると刃先のミクロの山が細かいギザギザになる前にツルツルになってしまうのかなと想像します。いわゆる「ステンレスは研いでも切れない」的なことなのかな?

何でもかんでも仕上げにもっていけば切れるようになるというのは大間違いですね。やっと気づきました。鋼材と番手との相性があるということを。

革砥は手作りしました。(ナイフ専門サイトにしかなく高いので)デニム地と牛革を作りました。。デニムのほうには#6000ほどの研磨剤を塗り込んで仕上げ砥石の節約に。牛革(革って結構高いですね裁縫店でハギレを購入)のほうは研磨剤は塗り込まず昔の床屋さんのイメージで撫でて刃先調整するかんじの物に。もちろんそのストロッピングのあとはしっかりと中性洗剤でしっかりと洗浄後使用しています。

シャプトン#1000が中砥では一番人気でしたが、面直しなどメンテナンスを考えると無難なキングにしました。赤レンガと揶揄するブログ記事が多いのですが使用感はとても気持ちがいいです。

長々と久々の報告になりましたが気づいたことがあったらまた報告いたします。
ありがとうございました。

そば包丁の写真は最初、和包丁の柄を外す道具かとおもいました。

銀ロウは真鍮にしか付かないと思っていたのでびっくりしました。鋼にも付くのですね。

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