ザンネンな研ぎ

ザンネンな研ぎの例。

表:小刃があまり見られない。
ちなみに、小さな欠けは研いだ時点でのものではなく、その後の使用で生じたと推測される。
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裏:左利き用ではないのに裏面だけかなり寝かせて刃付けされている。
小刃の幅がガタガタで一定していないので、砥石幅の狭い両頭グラインダーのような研ぎ機を使ったのではないかと思う。
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アゴから刃先まで:こうしてみると刃道がガタガタであることがわかる。
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表を主体に研いで角度をつけていく。
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裏は小刃をスムーズにさせる程度。
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刃線がスムーズになった。
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刃物研ぎというのは突き詰めるとキリがないものなので、仕事として刃物研ぎをする場合、どこで妥協するかが問題になる。
私は、普通の包丁を10,000番以上の砥石まで使って研いでも、切刃の小傷を取り去って鏡面にしても、時間がかかるだけで切れ味には大して関係無いと思っている。
お客さんの立場で考えれば、そこまで手間をかけなくていいからその分値段が安い方がいい人が多いだろう。
しかし刃線周りの形状は確実に切れ味に影響する。
荒砥石で形を整える下研ぎの作業は刃物研ぎで一番重要な工程だと思っている。
だから、曲がりなりにも人様からお金をもらってやっている仕事でこういうのを見ると、非常に残念だ。
こんな仕事していて楽しいのだろうか。


機械研ぎが悪いとはべつに思わない。
研ぎ代というのは主に作業代金だから、機械を使って手研ぎと同じように研げて、時間が早く料金を安くできるのであれば、そっちの方がいいに決まっている。

私が好きな刀匠の河内國平さんは、

「手で出けへんうちから機械使うたらあかんけど、わかってきたら遠慮なしに使うたらええ。」(刀匠が教える日本刀の魅力/里文出版)

と書いている。

「機械は上手や。くたびれへん、汗出しよらん、涙も出さへん、失敗を肝に銘じよらん。」(同)

とも書いている。


三日も四日もかけて鎬を整えようと奮闘して、腱鞘炎になって最後は投げ出してしまった鉈だとか、一週間かけて研いだけど予想と全く違う形になってしまった薄刃だとか、思い返すと、私にもそういうムダで非効率な経験が、上達のためにとても役に立っていると感じる。
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Re: No title

七丁目のボステリさんこんにちわ。

機械使う方がきれいに仕上がることもありますしね。
ただ、機械が怖いのは削りすぎてしまうことです。
ハサミなんかすぐなくなっちゃう。
楽なんだけど、無自覚に使うのは怖いです。

No title

私も機械賛成です!

使って良い場合と悪い場合がわかっていればですが。
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