洋包丁の柄の修理

錆びて片側が外れてしまった包丁。

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・逆の柄も取り外して錆を落とす。

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腐食が進んで穴があいている。
隙間から内部に入ったまま滞留した水分によって赤錆ができ、組織の粗い赤錆の隙間にまた水分が滞留するという悪循環により、中心部から腐食して行く。
外枠はきれいに見えても中心は腐食で貫通してしまっている場合が多い。

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・赤錆の層を除去。
赤錆は脆く隙間の多い組織で水分を取り込む元になるので、柄の交換をする場合は基本的に完全除去する。

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・ヒルト(ツバ)の中の空洞を埋める。
とにかく、なるべくどこにも隙間が残らないようにする。

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・柄に使う木材はあとの手間を省くためあらかじめ適当な大きさにカットしておく。

・金属パテで腐食した金属面の凸凹を埋めて、ヤスリで平らにする。

・平らにしたら、エポキシ接着剤(ボンドEセット)で片面を柄材に貼り付ける。

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・接着剤が乾燥したら穴を金属パテで埋める。

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・パテが乾燥したらヤスりで平らにする。

・平らにしたらドリルでリベット穴を空ける。

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・エポキシ接着剤で柄材を貼り付けて乾燥させる。

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・乾燥したら、再度リベット穴を空ける。

・ベルトグラインダー、リューター、印刀、木工ヤスリ、耐水ペーパーなどを使って柄を整形する。
包丁を挟んでいるのはユニバーサルホビーバイス。
左下のプラスチックの筒は掃除機。

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・だいたい整形できたら段付きドリルでリベット穴の面取りをする。

・リベットを叩いて打ち込む。

・側面を最終研磨する。整形完了。

・木固めエースで表面処理する。2度塗り。

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・乾いたら完成。

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修理は新品と違って個々の包丁の状態に合わせた加工が必要なので手間がかかる。

柄をつけるだけでは隙間が残るので、同じ様な使い方をしていればまたすぐに錆びてしまうと思うが、こんど錆びると修理は困難だ。ロウ付け・溶接という手もあるが。
安くはない料金だが、それでもやってほしいというお客さんは、買い換えるより長年使い慣れて愛着のある包丁を使い続けたいのだろうから、中がまた腐食してしまうようなことが無いよう、できるだけのことはしたいと思うのである。

どんな包丁が良い包丁なのですか、としょっちゅう聞かれるのだが、そんなことは人によっても違うし使う目的によっても変わるので何とも言えない。しかし逆に言うと、使う人と目的が決まればそれに応じて良い包丁というのも決まってくるのだ。
その上に、自分で研いで修理して使い続けた思い出や愛着が加わることで、その人にとって本当に良い包丁が育てられてゆくのだと思う。
高いお金を払っても修理してほしいという包丁は、それがどこのメーカーのどんな種類で、どんな鋼材を使ったいくらの包丁であるかということに関係無く、依頼した人にとってこの上なく良い包丁に違い無いと思うのである。
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Re: No title

七丁目のボステリさんこんにちわ。

ここまでするのは半ば趣味で非効率だと思いますが、隙間や中の空間を埋める処理だけはやっておくべきだと思います。

No title

お見事です!

しかし、大変ですね~。
「どうしても」、と言われたら何とかしたくなる気持ち、わかります。
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