波紋と刃紋と刃文

刀の刃に現れる文様のことをハモンというのだが、ネットではこれを「波紋」と書いてあるのをよく見かける。しかしこれは間違いで、正確には「刃文」と書く。

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誤入力も多いと思うが、波打つようにうねうねした模様が多いので「波紋」で間違いじゃないと思っている人も少なく無いのではなかろうか。
しかし刃文には直刃(すぐは)といってまっすぐなものもあり必ずしも波打っているわけではない。

「刃紋」と書いてある文章もネットではよく見るが、これも間違いだ。
刀剣の専門書に「刃紋」という字が使われているものはない。江戸時代以前の古い本もみな「刃文」である。辞書も「刃文」で、「刃紋」という字は無い。
「波紋」という文字は変換候補に自動的に出てくるので誤入力も考えられるが、「刃紋」は「刃」と「紋」を別に選択して入力しなければならないので、「刃紋」という文字を使っていると刀剣の専門書を読むことがあまりなく確信的に間違えているということがバレてしまう。


合わせ包丁や割込み包丁で、軟鉄と刃鉄を張り合わせた境目に現れる線のことを刃文と書いてあるのもよく見る。

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それが正しいのか間違いなのかは議論の余地があると思うが、辞書でもwikipediaでも刃文は刀の文様であるとしているので、識者の間では現在のところ合わせ包丁のそれを刃文というのは厳密には正確ではないと理解されているのではないだろうか。
ちなみに私は「刃境線(はざかいせん)」と勝手に言っているが、ネットで検索してもほかにこのような言葉を使っているサイトはヒットしないし、辞書にもそのような言葉は載っていない。
そして私もこの刃境線と刃文は別なものとして区別するべきだと考えているのだが、それは、刀の方が包丁より格が上だからというような理由では無い。包丁でも本焼き包丁に現れる文様は刃文である。
構造的に文様ができる仕組みが刃文と刃境線では異なるということが理由だ。

そもそも、なぜ刃文や刃境線のような文様がブレード表面に現れるのか。
それは端的に言うと、ブレード表面に硬度の違う部分があるからだ。その理屈はどちらも同じである。
ブレード上の比較的柔らかい面の方が硬い面より曇って見えるのである。

ではなぜ柔らかい面が曇って見えるのだろうか?

(つづく)
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Re: タイトルなし

「霞」は合わせ包丁のことですね。
切刃の地鉄部分が曇ったようになる様子からそういわれているのだと思いますが、全鋼丸焼きや本焼き包丁との区別で、合わせ包丁そのものを意味する言葉だと思います。特定の部位を指すとしても、切刃の面全体、ないし、曇ったようになる地鉄部分のことになると思います。
私が「刃境線」と言ってるのは刃鉄と地鉄の境目の線なので、ちょっと違うんじゃないでしょうか。

刃境線とやらは正しくは「霞」と言うそうですよ
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