新品なのに。。

片刃の和包丁は原則としてお店に行って手にとって現物を確認してから買うべきだ。
洋包丁は通販でもかまわない。

最近、新品の和包丁を研ぐご依頼が続いている。

これは新品ではないが、一度も研いだことが無いという薄刃包丁。

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調理関係の学校で買ったものだそうだが、

「両刃包丁の研ぎ方しか習っていない」

ダメでしょう。


砥石を当てた画像。

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新品の切刃がデコボコなのは普通のことで問題無いのだが、

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先から5分の3ぐらいがエグい段刃になっていた。
もしかするとこれは、買ったあとで誰かが研いでしまったのかもしれないが。
薄刃包丁なので逃げ研ぎせずベタで刃を出していく。
両刃包丁なら10分もあれば終わる作業が5倍ぐらいかかる。


こちらは新品の出刃包丁。

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写真を見ればわかると思うが相当ハデに曲がっていた。
新品でここまで曲がってるのは珍しい。

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これは同じ銘の柳刃包丁。
ショットブラストで化粧してあることがわかる。
青紙とか白紙といったハガネの包丁で、ダマスカスでもないのにショットブラストで誤魔化してる包丁は、ショットブラストで誤魔化されている何かが得てして大変なことになっている。

この出刃も柳刃も完成写真を撮っていないのだが、柳の方が大変だった。
切刃がデコボコでも問題ないと先述したが、これは地鉄ではなく刃鉄が一部凹んでいたのだ。
刃付け屋が刃付けに失敗したとしか考えられない。
刃線は狂っていたのでまっすぐなるまで研ぎこむしかない。
売るか?そんなもの。
売ってもいいけど「ワケ有り商品」ぐらいは書かないといけない。
素人が直せるレベルを逸脱している。


次。
ダマスカス、VG10、洋柄の尺の柳刃。
海外向けだそうだ。
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一見きれいだが、良く見るとこれもけっこうな段刃
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切刃のデコボコはいいとして、
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刃線のデコボコはオハナシにならない。

幸いこの包丁は蛤刃にしてほしいという依頼だったのでそうムチャクチャ時間がかからずに済んだが。

段刃は無くして、

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刃線も平滑に。

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切刃の凹凸は放置。研いで使っていればそのうちなくなる。

しかし欧米人にこんな包丁売って大丈夫なのだろうか。
直してくれる店があるのか甚だ怪しい。
直さないまま
「日本の包丁なんか高くてもしょせんこんなもの」
と思われてしまうかもしれないのが、いちばん癪。
しかし、責任の半分はこうういうのを有難がって買っていく消費者にある。


昔から和包丁は本刃付けをしていない状態で売られているものだった。
しかし、新品なのに120番の荒砥石やアトマの荒目から研ぎはじめないとダメというのはどうなのか。
関東でいうと正本とか有次とか杉本とか子の日とか東源正久とか木屋とかかね惣とか鍔屋とか町勘といった「ちゃんとした」店の製品では、たとえ一番安いクラスでも考えられない。
評判の高い店、メーカーというのは、看板背負ってお客様のかわりになってしっかり目利きして、鍛冶屋や問屋から来るものにおかしなのが入ってたらきちんとハネてくれているのだ。


手打ちの和包丁は、必ず、現物を手にとってゆがみを良く観察して買いましょう。

どうしても通販なら返品・交換可能な店で買う。自分の目で見て歪みがわかることが前提。
理由がわからないのに割安なものは買わない。歪みや割れがあって普通の店の検品でハネられたものが回されている可能性が大きい。

不良品が安価に出回って相場がそちらに引っ張られてしまうと、割りを食うのは手間をかけて良い製品を作る職人である。
悪貨が良貨を駆逐するのだ。
安くて良い商品なら仕方ないが。
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Re: リアル店舗の重要性

Kenさんこんにちわ。
そうですね。
やはり根本的には消費者が厳しくある必要があって、そのためには、消費者にしっかりその道具を使い倒す生活習慣が必要だろうと思うのですが、現代はお料理をする人が減ってしまっていますね。便利になりすぎで。
消費者が厳しいのは値段ばかりなので、作る側売る側も需要に応じて製品を変化させることになります。

リアル店舗の重要性

全くもっておっしゃる通りだと思います。

私もこのブログを始めいろいろ勉強させていただいておりますが、最後は鍛冶屋またはお店の店員と話して、質問して、自身で判断しないといけないんだなと痛感してます。

いい包丁は個人利用で丁寧に扱えば一生ものですから、末永く付き合えるお店(鍛冶屋)を選ぶのと同義ですからね。
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