天然砥石について考えてみる

人造砥石はある領域でなかなか天然砥石に取って代わることができないと言われている。
荒砥石や中砥石では品質が安定している人造砥石の方が優秀なのだが、仕上げ砥石では優秀な天然砥石に比肩するものが人造砥石には無いと言うのだ。

なぜだろう。

砥石というのは刃物などを研磨することがその役割である。

人造砥石は結合材といわれる粘土のようなものの中に、砥粒と言われる研磨粒子を入れて、固めて作られている。

結合材には、ビトリファイドボンド、レジンボンド、マグネシアボンドなどがある。
砥粒には、カーボランダム、グリーンカーボランダム、アルミナ、ホワイトアルミナ、ピンクアルミナ、といったものがある。

砥石の上で刃物をゴシゴシこすると、結合材は刃物より柔らかいので表面が少しづつ削れていくのだが、その削りカスの中から砥粒が出てきて、刃物を少しづつ研磨するという仕組みだ。

人造砥石は概して天然砥石より研削力が強い。
研いだあとの状態は、表面が比較的ツルツルピカピカしていて、細かい擦過痕がくっきりと残る。

天然砥石で研いだあとの状態は、曇りガラスのようになり、条痕はあまり目立たない。

なぜ曇る、霞む、といった状態に見えるのと、テカテカと光って見えるという違いが生じるのか。

それは、光がどのように反射されているのかということに原因がある。
光り輝いて見える物の表面では光が正反射しているが、曇る霞むといった見え方をする物の表面では光が乱反射しているのだ。

光っていて条痕がくっきりしている物の表面をミクロレベルで想像すると、全体的に平らな大地に深い渓谷が幾筋も走っているといった状態ではないかと思われる。グランドキャニオンみたいなイメージである。
霞んでいて条痕が目立たないものの表面は、全体がなだらかな起伏の丘のようになっているのだろうと思う。

天然砥石で研ぐとなぜそのような表面状態になるのかを想像してみるに、

・砥粒の役割をする粒子に、様々な大きさのものが混在している。
・様々な硬さの粒子が混在している。
・粒子が比較的柔らかく、研いでいるうちに破砕されて丸く小さくなる。

といったようなことがあるのでは無いかと思われるのだ。

すると、人造砥石でもいろんな硬さや大きさの砥粒をブレンドすれば、天然砥石のようになるのではないだろうか。
或いは、専門家には同じようなことを考える人がいるだろうからそういう人造砥石が既にあるかもしれない。
天然砥石を砕いた粉末を入れた砥石というものも中砥石あたりにはあると仄聞しているが、仕上げ砥石でもあるのだろうか。
人造の天然砥石で霞み仕上げになるものを知っている人がいたら、教えてください。
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Re: No title

eckhartさんコメントありがとうございます!

高いですね(^^;;
ためしにちょっと買ってみるには。。

天然砥石のコッパで地艶・刃艶みたいなのを作って遊んでみているんですが、もしかすると砕いて濾過した粉末だけでも曇り効果は得られるのかもしれませんね。

No title

浅草橋の森平さんとこに
天然砥の粉いれた仕上げ砥石(9000番)あります。

裏を押すのにしか使ってないので
霞むか光るか、ちょっとわかりません。
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