東鋏

ふるーい裁ち鋏の修復です。


裁ち鋏は明治時代に刀鍛冶だった弥十郎というひとが原型を作りました。
羅紗鋏(らしゃばさみ)ともいいます。

明治時代になって明治政府から廃刀令が出て、武士の帯刀が禁止された。それで刀関係の職人さんがたくさん職にあぶれた。
いっぽう西洋文明がどっと入ってきた。羅紗というのは生地です。洋服の生地。
これを切る西洋鋏も輸入されたんだけど、なんだかデカくて使いにくかったのだそうです。

そこで刀鍛冶をやっていた弥十郎さんが工夫して、今の裁ち鋏の原型を作った。
弥十郎さんの造った鋏の銘は「弥吉」です。

弥吉は何人か弟子を取って、弟子達がまた弟子を取って、というふうにして、いまは4~5代めぐらいになっています。

系統図はこちら。

いまでも続いてるのは「長太郎」「兼吉」、そして兼吉の弟子の「庄三郎」の系列です。



この鋏は、何代目かわからないけど庄三郎。
京都の古い家から出てきたものだそうです。

(表)
before01.jpg

(裏)
before02.jpg

(部分)
before03.jpg



もちろんこの状態ではぜんぜん何も切れません。
グラインダーで削って砥ごうとした形跡がありましたが、砥ぐ角度を間違っていたので汚れや黒錆びが無かったときでも切れなかったろうと思います。


がんばって磨いて砥ぎあげました。

(表)
after01.jpg


(裏)
after02.jpg

(部分1)
ちなみにこの面は汚れだか黒錆だかではじめは全く見えませんでした。化石を発掘するようです。
after03.jpg

(部分2)
after04.jpg


良く切れるようになりました。
できれば柄の黒い部分も塗装し直したいんだけど今は粉体塗装だそうで専門設備がないと同じ状態にはできません。ペンキでいいのかな?

同じような状態のものを10本ぐらい直したんだけど、この庄三郎と与三郎はとくによく切れます。そしてむちゃくちゃ硬い。ソリの修正が大変でした。
なにか、造り方とか素材とかが違うんでしょうか。
初代庄三郎の時代だとしたら玉鋼の可能性もあります。
裏を磨いてても、どうも鋼と地金の合わせ目が見当たらないんですね。
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