謎の出刃包丁

昨日は青山熊野神社にお邪魔して仕事をさせて頂いていたのだが、少し暖かくなってきたせいか、2月にしてはそこそこ数が出てきた。とはいっても十数本ぐらいなのだが、そのなかの4本が出刃包丁だった。

今はお店で魚を丸ごと売ってるということがほとんどないので、素人で出刃包丁なんか使うのは釣り人ぐらいじゃないかと思う。
その釣り人でも月に1~2度使えばいい方だろう。
使うたびに研ぐとしても、そういうのは中仕上げ砥石か仕上げ砥石で軽く撫ぜてやるぐらいでいいだろうから、研ぎ屋に出すような作業じゃない。年に1回も研ぎ屋に出す人がいれば多い方だと思う。

そんなわけで普段はそんなにたくさん出てくる種類の包丁ではないので、魚屋さんとも料理人とも思えない一般の、それも別々のお客さんから4本も出てくるというのは珍しい。
2月なんて1年でいちばん魚が釣れない月だし。

なんでかな、と考えてみて、気がついた。

先月この地域のミニコミ誌のようなものを作っている方に取材をしていただいて、紹介していただけるということなので、YouTubeにアップした動画に再生回数100万回を超えたやつがありますよと言っておいたら画面キャプチャして載せてくれていた。今月はそのミニコミ誌を見て来てくれた人が多いのだった。

そしてその動画が、錆まみれの出刃包丁をきれいにしたものだったので、「うちの出刃も研いでもらおう」という流れになった。そうに違いない。

そう気が付いて、最後の一本を取りにきたお客さんに動画見てもらったんですかと聞いてみたら、見てないデス、知らないデス、と言われてしまって、なんだか恥ずかしかった。


ところで、その4本のうちの1本が初めて見る不思議な出刃包丁だったのだ。
三層構造の割り込みなのだが、洋出刃や土佐型出刃とは違う。
三層なのに形は片刃の和包丁のようなのだ。
どこの包丁か聞いてみたが、はっきりしたことはわからなかった。

ご存知の方がいたら教えてください。


こうしてみると普通の出刃包丁。

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裏から見ると三徳包丁(笑)

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峰から見ると三枚構造。
しかし裏の地鉄の方が明らかに薄い。
こういう包丁を作ることをはっきり意識してハガネと地鉄を重ねたと推測される。

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もういちど裏面の写真。
完全な平面じゃなく裏スキも無く、なだらかに膨らんでいる。

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表。
ヒラは鍛造痕が多く普通の出刃以上に凹んでいる。
回転砥石による研磨や焼き入れ後の反りで平が凹んでいる出刃包丁はよくあるが、この包丁は火造りの段階ですでにこういう状態に凹んでいるのではないかと思われた。
研いだあとの写真を撮り忘れたが、切刃は平らだった。

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そして、写真が無いのだが、この状態で刃線はまっすぐなのである(笑)
だからこの包丁にとってはこの状態が正解の完全体なのだろう。


銘が切ってあったがよくわからない。
「興康」かなあ??

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何でもいいので情報 WANTED!
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Re: No title

あんそにさんコメントありがとうございます。

藤原照康さんですかー。へー。ほー。
銘が同じってことはそうなんでしょうね。

なんで三枚なんだろう??
反りにくいとかなんとか、理由があるんでしょうか。
三枚で裏スキがあると、研ぎ減っていったらそのうち地金が前に出ちゃいますよね。
地金が無くなるまで荒砥で研ぐってけっこう大変そうですけど、、
裏の地金は薄いからなんとかなるのかなぁ?

ともかく、情報ありがとうございました。
大変助かりました。

No title

いつも楽しみに、また大変参考にさせていただいております。

藤原照康さんの出刃、柳刃は3枚の鋼材を使っていますよ。ただ、たいていのものは裏スキを鎚で出しているのですが、これはあまり出していないようですね。
銘は藤原さんの梨地包丁に入れるものと同じです。

Re: No title

ran248さん

さっそく情報ありがとうございます。
見てみましたが、裏にも軟鉄が張ってあるかどうかわかる写真がないので、判断がつきませんでした。
柄が洋包丁式になってるだけかもしれません。

ふつうの洋出刃にはシノギが無くRの大きい蛤刃になった両刃なので、藤原照康さんの洋出刃がふつうと違うことは確かですね。

No title

こんにちは。

楽しみに拝見させていただいています。
不思議な刃物の紹介が多くワクワクします。
今回の不思議な出刃ですが、よく似た雰囲気の物をHPで見たことがあります。
「藤原照康刃物工芸」で作っている洋出刃。
現在のものはデザインが異なりますが、雰囲気は同じような?
参考にURL書いておきます。
https://www.teruyasu.jp/
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