最近の研ぎ

更新をさぼっていたら1ヶ月経って広告表示されるようになってしまった。
ヤヴァイヤヴァイ。

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包丁三本。
無銘のペティナイフ、ツヴィリングヘンケルスのシェフズナイフ、無銘の牛刀。

研ぐ前の写真。

ペティナイフ。
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牛刀
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シェフズナイフ
はじめ↑の写真では刃道が歪んでいるように見えるかもしれないが、光の加減だ。小刃が歪んでいて、はじめの写真ではそこが影になっているだけ。実際には刃道はくるっていない。
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研ぎ減って切っ先が上がっているのではないかと思うかもしれない(実際そういうこともあるかもしれないが)。
しかしこれは、ヘンケルスジャパンの製品ではなく、おそらくドイツ製の包丁で、向こうで作られる牛刀の原型となっている包丁(シェフズナイフとかフレンチナイフとか呼ばれている)は、もともとこんな形なのである。

外国製の包丁はドイツのWüsthofとヘンケルスがよく研ぎに出てくる。
Wüsthofは日本に工場が無いのでみんな外国製と思って良い。
ヘンケルスは日本製(日本タイプ)とドイツ製(ドイツタイプ)に分かれる。

ドイツタイプの特徴は、みっつ。

ひとつは、上述のとおり、形状。
欧米では野菜などを刻むとき、切っ先をまな板につけたまま、刃元を上下させる、という切り方をすることが多いので、刃道全体がカーブしている方が都合がいいのだと思う。

ふたつめは、ロゴに、「SOLINGEN GERMANY」と書かれていること。
ゾーリンゲンは都市の名前だ。たまにメーカーの名前だと思っているひとがいるようだが、関の包丁とか堺の包丁というのと同じである。
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みっつめは、分厚いこと。
日本の量産両刃洋包丁は、実勢価格3000円ぐらいまでのリーズナブルな包丁が、だいたい2㎜厚の鋼板を使っていて、8000円前後から上の包丁は、2.5㎜厚の鋼板を使っている。たった0.5㎜の違いだが25%もの違いでもあるので、比べてみると明らかな違いがある。研ぐときに2㎜厚のものはたわみやすい。食材も少し剛性のあるものだと包丁が負けてしまうと思う。
2.5㎜の方が強度があるけれど、刃先までそのままの厚みだと切れ味が悪いので、刃元から切っ先まで、また峰から刃線まで、ブレード全体の肉厚を削いでテーパー状に加工されている。2㎜厚のものは刃線に比較的近いところから斜めに削ってあるだけのものが多いので、加工の手間がけっこう違いんだろうと思う。

そしてドイツの包丁。
こいつは4㎜厚なのだ(笑)
重い。剛性がある。ヴストフも3㎜厚だ。おそらく欧米にも薄い包丁はあるだろうと思うが、わざわざ日本に輸入されてきたりお土産で買われてくるのは、高級バージョンの分厚い包丁ばかりのようなのだ。

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さて、研いだあとの写真。

ペティナイフ
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牛刀
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シェフズナイフ
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ごらんのとおり、研ぎ傷がガッツリついていてきれいじゃあない(笑)
これでもちょっとは気にしていて、多少は目立たなくなるようにしているつもりではあるのだが。

よく、包丁研ぎで、「刃の角度は10円玉2枚ぐらい」という説明があるが、さいきんの私はほぼ0枚になった。
0枚ということは刃先が砥石に当たらないわけだが、当てないで、ゴリゴリと刃縁の肉を削いでいる。

アゴから見た厚みを撮影したみたが、こんなかんじ。

ヘンケルス
DHアゴ_BA
アゴの欠けがちょっと残ったままだが、気づかなかったのではない。
ジャガイモの芽がくり抜ければいいので残してある。以前は尖らせていたが、刃線を曲げるとカッコ悪いしこのためだけに刃線全体を下げるのは時間がかかるし刃がもったいないので、最近は、使用上問題無い程度なら残してある。

牛刀
牛刀アゴ_BA

どちらも、写真で見ても、イマイチ違いがわかりずらいが(笑)、切れ味はかなり変わる。

薄くすれば必ず剛性は落ちる。汎用ナイフや鉈や日本刀でこんな刃先はアリエナイが、いまの日本の一般家庭では、包丁にはそんなに剛性は要らない。鶏や魚を丸ごと一匹捌くような家庭はほとんど無いし、アメリカみたいにキロ単位の巨大なブロック肉を冷凍庫で保存していて、各家庭で適宜捌いて食べるというようライフスタイルでもない。
それより鶏肉の皮がつながらずトマトがサクサクスライスできることが大事なのだ。
おばあちゃんが力を入れなくてもサクサク野菜を切れて、お母さんがお子さんの離乳食を小さく小さく切り分けられるという性能の方が、現実的に必要なのである。

この研ぎ傷を目立たなくすることも、できる。
いま標準的には#220→#700→#2000→#8000という流れで、研ぎ時間は1本15分ぐらい。このあいだに#1200、#3000、#5000を入れて、それぞれでもっと執念深く下研ぎの傷を消していって、さらに細かい研磨剤でバフ掛けすれば、だいたい突っ込みどころの少ない鏡面にもできる。しかしかかる時間が10倍ではすまない(笑)
時間が10倍かかるから1万円くださいという仕事に需要はないだろう。そういうのはやはり、何百万円もする美術刀剣類なんかに施すべき仕事だ。
実用の刃物の研ぎは、ふつうのひとが出せるぐらいの金額で可能な作業時間の中で、道具としての使いよさに重点を置くべきなのかなと考えるようになってきた。
結果、包丁の側面にガッツリ研ぎ傷がついてしまうことについて、以前より躊躇が無くなってきた。

写真や動画はちょこちょこ撮影しているのだが、イマイチ画像映えしないのでブログの更新が滞っているということも、あるかもしれない(笑)
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ジャンル : 趣味・実用

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