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鉈の補強

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鉈の目釘が折れてしまった。

数年前に入手して、研いで、そのままほとんど使わずに置いてあった鉈なのだが、春ごろから鉈と斧を実際に使う練習をしてみている。
2~3回使ったら目釘が折れてしまったのだ。

目釘は二か所で、3mmのステンレスボルトを使っていた。
ボルトとナットで留めて、研ぐときに外せるようにしていたのである。
折れた理由は、おそらくガタがあったためだ。衝撃が目釘にダイレクトに伝わったのだろう。

友達に話すと、やはりボルトなんていうものは目釘としては弱いのではないかと言われた。
しかしやはり研ぎ好きとしては分解できる構造は維持したい。
そこでこんどは4mmのボルトを使うことにした。


しかし考えてみると、ふつうの鉈も真鍮やド鉄の釘を目釘に使っている。これらがステンレスボルトより強いとは思えない。ネジ山を切っている分太さを差し引いて考えるにしてもそんなに圧倒的な差だとは思えない。
やはり主な理由はガタつきがあったせいだろう。

逆に目釘が強すぎると中子がダメージを負ってしまう。
たとえばハサミの要ネジでも、ちゃんとしたものは刃体本体よりも柔らかい素材のものが使われていて、酷使されても刃体の穴が広がったりすることはなく要ネジがすり減るようになっている。
日本刀の目釘なんか竹である。煤竹という丈夫なものが使われるそうだが、それにしたって金属より強いわけがない。刀は鉈より数段重たい刃物だ。日々鍛錬を重ねた侍が両手でしっかり握って渾身の力を込めて敵に打ち込むといった使い方をするので、鉈よりも絶対に負荷は大きいにはずだ。そんな戦場で命を託す武器に強度が不十分な材料が使われるわけがない。
刀の目釘が鉄じゃないのは、錆防止の目的も大きいのではないかと思うが、何より竹で実用的に問題無い強度があるということが前提としてあるはず。


ところで目釘の折損もさることながら、柄自体にも目釘穴を中心に亀裂が入ってしまっていた。
他の鉈でもこういう亀裂が入っているものをよく見かける。

鉈の柄は、縦にスリットが刻んであって、そこに鉈の中子を挟み込んで、横から目釘を噛ませて留めるという構造になっている。
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目釘にガタつきが無いように留めても、負荷が2本の目釘に集中してしまうことには変わりがないのである。目釘より木製の柄の方が弱いので、柄にヒビが入ってしまうのであろう。
目釘の二点に応力が集中してしまうのはどう考えても構造的に弱いと思う。

刀でこのような亀裂が入った柄は見たことがない。
おそらくその理由は、刀の柄の場合、一振ごとの刀に合わせて鞘師がピタっと合うように彫っているからだ。そうすると、刀を敵に叩きつけても、目釘の点に負荷が集中するのではなく中子の側面全体で負荷を受け止めることになるのだと考えられる。そうであれば、刀の目釘の役割は主として縦方向のズレを防ぐことである。柄の中で中子がガタつかなければ良いわけだ。ガタつくと負荷がどこかの点に集中してしまう。なるほど、そういうことならば竹でも強度は足りるのかもしれない。


そこで、この鉈も負荷を面で受け止められるように補助プレートを挿入することにした。

腰鉈は振り下ろして叩きつける使い方しかしない。
バトニングで峰を叩くことはあるが、そのときは柄に負荷はかからない。柄を握って峰側でものを叩くと言うことは無い。

すると、柄の中ではこんなふうに負荷がかかっているはずだ。

鉈にかかる力

目釘の部分に下向き青矢印のような負荷が集中すると考えられるのである。
そこで、

受け金

中子の下面にあわせて切削した金属プレートをこさえてスリットにピタっと嵌めこんで、何かで固定してやれば、面で負荷を受けることになって耐久性はグっと向上する。目釘に負荷が集中してヒビが入るということはない。はず。


実際に作ったのがコレ。

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今回は鉄で作ったけど、木でもいいと思う。

これをはめて、さらに何かで巻かなければならない。
革が良さそうだが、革細工は下手だしめんどくさいし材料を買ってこなければいけない。どうやって脱着可能にするのかもピンと来ない。

とりあえず手近に2㎜の細引きがあったので、試しにこれで巻いてみた。

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予想以上にいい感じ。
巻いてるだけなのでズレないか心配したが、ビクともしない。
外すのも簡単。

何度か試行錯誤して、現状はこんな感じになっている。

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後ろに手を通す輪っかを作ってみた。
山歩きをするときは引っ掛かると危険だが、いまのところ山歩きをする予定は無いので、しばらくこのまま使ってみたい。
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テーマ : 刃物の修理
ジャンル : 趣味・実用

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