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変わったナイフ

こういうナイフ。

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別にそんなに変わってないじゃないかと思うだろう。
私も思った。

物の形には意味がある。
ポイントが峰側上部に向いていてやや反っているナイフは、押したり突いたりして切る動作に適している。
ナイフで典型的なのはスキナーだ。
これは狩猟で使われるナイフで、動物の皮(スキン)を剥ぐときに反りの部分を押し込んで切っていくから、こんな形になっている。
欧米のシェフズナイフは日本の牛刀と比べるとポイント(切っ先)が峰寄りになっている。そして牛刀と比べて刃線に直線部分が少なく、全体が曲線気味になっている。これは俗に「欧米は押し切りだから」というような理由であるよりも、切り方が違うからだと思う。

↓この動画の1分30秒ぐらいのところでスライスの方法を説明している「ロッキングモーション」というやつ。



先端をまな板に当てたままロッキングチェアーでゆらゆらするみたいに刃元を上下させて切る。
この切り方だと刃線が全体に緩やかな曲線になっている方がいいのだろう。
和食の板前さんが書いている伝統的な包丁の使い方の本では、包丁をまな板と水平に上下させて切ると説明されている。だから菜切包丁や薄刃包丁の刃線はまっすぐで良いのだ。牛刀は明治時代以降に食肉文化とともに日本で普及した形の包丁なので、ポイントが少し刃線寄りに下がって直線部分が増えたのかなと推測される。さらに日本の調理スタイルに合う形にアレンジされたのが三徳包丁だ。

さて、はじめのナイフに戻ろう。
スキナーという特殊な例を挙げたが、多くのナイフは実際のところ用途が特化されておらずいろいろな使い方をされるものなので、ポイントが峰側か真ん中あたりかということにそれほど大きな意義は無さそうなものが多いのである。作った人、使う人のデザイン的な好みの問題であったりする。
逆に言うとかなり特異なデザインの場合には何か意味があるのだろうと推測されるのである。
そしてこのナイフはかなり特異なデザインだったのである。

実はこれが正しい姿。ツイッターみたい。

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そう、直線の側に刃がついているのである。

しかも片刃。

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反対面はフラット。

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カエリを落とすのに少し砥石に当てたような痕跡があるが、角度はついていないのだ。
表も裏も側面はホローグラインドで凹んでいて、”裏”に小刃がついている。表には小刃がつけていない。裏押しも無い。
左利き用の裁ち鋏と同じような構造。

フローリストナイフと言うそうだ。
実は先端を欠いてしまって直線気味になっているが、元々はもっと内反りの曲線になっていたらしい。
左利き用ではなく右利き用だ。

残念ながら研いでいるところも研いだあとも、写真も動画も無いのだが、こういう小さくて内ぞり気味になったものは砥石を横にして立てて、側面を使って研いだりする。そして左手が使えれば左手で持って研ぐ。だいぶ普通じゃない研ぎ方になるのである。
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テーマ : 刃物
ジャンル : 趣味・実用

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