包丁研ぎの基本(3)

さて。

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下図のように刃先が鈍角になると、斜面抵抗が増えるので、手に伝わる切れ味は悪くなったと感じられるようになってきます。
「抜けが悪い」と言われます。


ふつうの洋包丁の断面は、峰側が分厚く、刃先側にかけて徐々に薄くなる「テーパー形状」になっています。
だから、研ぎ減っていくほど抵抗は大きくなります。


ちなみに100均の包丁は峰から刃先近くまでずどーんと同じ幅ですが。

ふつうの洋包丁
hakakudo_kiya.jpg


100均の包丁
hakakudo_100.jpg


ふつうの洋包丁の断面がテーパー形状になっているのは、峰側の厚みで剛性を保持しながら切れ味(抜け)を良くするためです。
100均の包丁は材料の鉄板がもともと薄いので、剛性がありません。


加工状況を図示すると、

100均はこういうこと。

100(1).jpg


一方、ふつうの包丁(木屋)はこう。

kiya(1)_20110610102108.jpg

よく見ると手間のかけかたと技術レベルが雲泥の差です。
念のために書きますが、中国産でもしっかりした物はあります。
この100均包丁は特に造りが雑で、材料をケチったり加工の手間を省いているだけではなく、人件費が安い労働者が使いにくくて効率も悪い小さなグラインダーで刃付けをしているのだろうという状況も伺い知れます。


話を戻します。

102_20110423233954.jpg

↑このように研ぎ進んで抜けが悪くなってしまった包丁は、抜けを良くするために出っ張ってる部分を削って薄くします。「研ぎおろす」と言います。

↓こんなふうに。


104_20110423233954.jpg



ピンクの部分を削ると
↓こうなります。

105_20110423233954.jpg


研ぎおろすときは刃先を当てません。

刃先が当ってしまうと角度は鈍角のままです。
刃先が当る感触がわからないと、刃先が当たっていない感触もわかりません。

削る量が多いので荒砥石からはじめます。平に必ず傷がつきます。力を入れると深い傷がついて取るのが大変なので、荒砥石を使ってなるべく軽く砥ぎます。

荒砥で整形したあと中砥で深い傷を落とします。

ピカピカにするには耐水ペーパーとスチールウールとピカールで仕上げます。
或いは青棒でバフ掛け。
手作業だとけっこう大変ですが。

頑張リマショー!


応用につづく。
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Re: タイトルなし

ご丁寧にありがとうございます。
そちらのブログが面白いのでコメントさせてもらってたら、自分のブログのコメントに返信するのを忘れていました。スミマセン<(_ _)>

 はじめまして.台所回りへの工学の応用について,ブログをやっている者です.包丁に関する記事,大変興味深く読ませて頂きました.
 当方ブログに,参考文献として引用させて頂きましたので,ご連絡致す次第です.感謝致します.ご笑納まで:
http://lglink.at.webry.info/201105/article_6.html
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