鳶鉈(とびなた)

6月にオークションで買った鳶鉈(とびなた)。

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鳶鉈の先端部分が飛び出ているのは、木を根元から切るときに先端を傷めないため。
手鉤として木の枝を引っ掛けるのに使うこともできる。


ホルツサビチェンジャーで赤錆混じりのヒラを真っ黒な不動態皮膜に。

・柄を外して、欠けを取り、刃線をだいたいまっすぐにする。

・天然砥石の小割れで切刃をざっくり磨く。



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※鋲を打っていないのでテープで仮留め。

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早速使ってみた。
毎年庭に伸びてくる厄介な桐の木を成敗。


ロウ付け 菜切り包丁 柄の修理

商人にとって商品の使命は売れることなので、売れる価格がその商品の価値である。
しかし商品の本当の使命は売れることではなくそのあと何かの用途に使われることだ。
だから、商品の価値を最終的に評価するのは、その商品を使う人なのである。

オークションなどで売られている中古品の値段が安いのは持ち主の手を離れたものだからであるが、かなり使い込んでいるけどなんとか修理できないかといってうちに送られて来る包丁は、持ち主にとっては新品に替えられない価値があるのだと思う。


正広の菜切り包丁

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短いだけでなくかなり痩せて肉が薄くなっている。
ロウ付けしてみたものの、どうも強度に不安があった。


そこで、やり直してコの字にはめ込む加工をしてみた。
これでたぶん大丈夫だと思う。

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このあとエポキシ接着剤で防水処理して、完成。

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菜切り包丁でもこんなに薄いものは少ない。

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これはイカン。

”よくない包丁”はいくらでも見てきたが、欠陥品は初めて。
仕事柄、ほとんどどんな包丁でも、“ともかく使える”という程度には直せるつもりだが、これはどうにもならない。

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初見では、表全般で刃線に地金が出てしまっているように見えた。
片面だけ研ぎすぎたせいで中心がずれて、裏の地金が刃線に出てしまったのかなと思ったが、ふつう、右利きの人が片面だけ多く研ぐと、地金が刃線に出てしまうのは裏面である。(だから片刃の包丁は裏にハガネが着いている。)
左利きの人が研いだのかな?と思いつつ、ともかく、ハガネが刃線全体に出るまで表を研ぎ減らすべく削ってみた。
すると、なんと、先端近くと刃元のあたりで、裏から地金が出てしまったのである。

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ある部分でハガネを前に出そうとすると、反対の面で、別の部分で地金が前に出てしまう。
つまり、中心にあるべきハガネが捻じ曲がっていたのであった。

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ハガネの曲がりに応じてウネウネに包丁を研げば全体にハガネが出るのかもしれないが、鎌や丸ノミじゃあるまいし、しかも、ただの曲線ではなくMの字に研ぐ必要がありそうだ。そんなめんどくさいことやってられない。さらには、もしできたとしてもむちゃくちゃ使い難いと思う。
「ザンネンですが不良品です」といってお返しした。

日本の包丁の鍛冶屋さんの名誉のために申し添えるが、こんなものを掴まされてしまうことはほぼ無い。何万本も包丁を研いできて初めて見た。山道を歩いていたら頭上から鹿が落ちてきてぶつかった、ぐらいの確率だと思う。

そもそも、刃付けした時点で鍛冶屋が気付かないわけが無いから、ふつうは製品に回すはずが無いのだ。
何でこんな風になってるのかよくわからない。
手打ちで、割込みや合わせの包丁は、焼き入れで曲がるものがあるが、ハンマーで叩いて修正するのでこんな風にはならない。
曲がったままの分厚い包丁を、叩いて修正せずに、まっすぐになるよう薄く削り出したらこんな風になるのだろうか?ダマスカス模様と同じ理屈で。

どこかの物産展で購入したということなので、販売店も鍛冶屋もわからないかもしれないのだが、不良品とわかってて故意に流通させた疑惑がある。

テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

今使ってるあらとくんに頻出

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小さいダマ。天然砥石にはときどき小石が紛れ込んでることがあるけど人造砥石ではあまり見ない。

そのつどニードルでほじくって取り除いているが、少し研ぐとまた出てくる。まいった。

テーマ : 刃物
ジャンル : 趣味・実用

刃物になる

バガボンドの37巻が出た。
週刊モーニングは読んでいないので私にとってはコミックが最新になる。
超有名なマンガだが知らない方もいるかもしれないのでいちおう説明すると、天才バカボンのようなギャグマンガではなく、吉川英治の小説宮本武蔵を井上雄彦が漫画化した作品だ。バガボンドとは放浪という意味である。

宮本武蔵が貧しい農村に住み着きその村の女性達に請われて剣術を教えるという件がある。
これは原作になかったと思うが、
そこで武蔵曰く、

「腕は無いものと思って(剣を)振ってください」

「自分の体とは違うものをもってるから放しちゃいけないと力いっぱい握る」

「でもその力は相手を斬るのには使われず自分を縛るだけ」


井上雄彦は原作に沿ってこのマンガを描いてはいるけれど、かなり大きく逸脱して物語を再構築している。
このマンガを描くために古武道を習っているそうで、そういった中で井上雄彦が創作して武蔵に喋らせた言葉だと思うが、毎日包丁を握って研いでいる者としても何事か感じさせられるものがあった。

試しに腕がないものと思って研いでみると、力を入れすぎないことに役立つかもしれないと思った。しかし私の普段の感覚はちょっと違う。私自身が自分の手に握られている刃物そのものになって砥石で研がれる、といった感覚である。
刃物に憑依する小さな自分がいて、刃物を動かしている大きな私は小さな私の意思に従って滑らかに動く巨大ロボットのようになるのだ。
そういう感覚になると、刃物のどこがどういう風に砥石に当たっているのかや砥石表面の凹凸が感じられるような気がして、うまく研げたなと思えることがある。
私などはまだまだペーペーの新米だが、何につけ手仕事を生業としているその道何十年という一流の職人や達人はみな、何かしら同じような感覚を当たり前に持っているのではないだろうか。

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改造中

だいぶ昔に買った佐治武士のダマスカスナイフ。
おそらくVG10。

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どこで買ったのかも覚えていない。
もう20年ぐらい昔かもしれない。

刃物研ぎに凝るずっと前で、使うこともないので研いでもいなかった。
元はがっつり小刃がついていてそれほど切れ味は鋭くない。

木の鞘に入れてほったらかしていたらうっすらと錆が浮いていたので、鏡面に磨き上げてみたらダマスカス模様がまったく見えなくなってしまった。内曇砥石を使えば霞まないかと思ったがうまくいかなかった。ステンレスだからかもしれない。エッチングもうまいかず、ショットブラストでもやるしかないが、そこまで装備を揃える気にもなれない。
だいたい、使って研ぐたびにショットブラストで処理するなんて全く実用性を無視した話である。
私がダマスカス嫌いになった原因のナイフである。

YouTubeに鹿狩りの動画をたくさんアップロードしているJP SikaHunterさんが、鹿の解体に使っているナイフについてもいろいろ説明していて、2月の記事に書いた「頭落とし」の形状の理解にずいぶん役立ったのだが、その動画に触発されて上の佐治武士和式ナイフを片刃仕様にしてみることにした。

裏面を平に。
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裏スキはさすがに入れない。
完全平面でもなく少し膨らんでいるが鎬は無くした。

アトマエコノミーの荒目でゴリゴリ削っているのだが、この段階で切れ味がおそろしく良くなる予感。
VG10は藤次郎のコバルトなどはよく研ぐことがあるが、それらと違って粘りのある良い感じのカエリが出る。

さあどうなるか。
ぼちぼち仕上ます。

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割れちゃった!

愛用していた2000番の砥石が割れちゃった!

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落としたわけではない。
研ぎ桶から取り出そうとして持ち上げたらボロっと崩れるように割れたのだ。

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以前から細かいヒビが入っていたのだが、当たる筋じゃないし表面だけだろうと高を括っていたが、内部まで亀裂が入っていたようだ。

4~5年前に買って水を張ったコンテナボックスで保管していた。
マグネシアと天然砥石以外の使う砥石は同じように保管しているが、他にひびが入っている物は無い。

ピンク色の2000番なのでずっとベスターだと思い込んでいたが、ベスターの製造メーカーである京都の今西製砥さんに問い合わせたところどうやら違う物のようだった。


手研ぎに使われる人造砥石はビトリファイド製法とレジノイド製法とマグネシア製法に大別される。

ビトリファイド製法の砥石は焼き固められて造られた陶器のようなもので、化学的に安定している。
マグネシア製法とレジノイド製法は樹脂で固められた砥石だ。
この砥石も樹脂系ではないかと今西製砥さんにご指摘を受けた。

シャプトンは水に長い事漬けていると柔らかくなる。4~5年とかいうスパンではなく、#220の経験では数時間で柔らかくなりはじめるので、こんな風にはならないはず。
樹脂の種類などによっていろんな影響があるそうだ。

砥石としては目が細かく研削力が強く気に入っていたので残念だ。
ブログなんかのベスター2000番のレビューを読むと、粗めの粒子が混じっているとか研ぎだしが遅いとか、なんか違うなあと思っていたのだが。こいつはいったい何者なんだろう?

替わりの2000番を探さねば。

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GERBER BMF と グルカナイフ(ククリ刀)

大物が2本。

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アメリカGERBER社のBMFというサバイバルナイフと、ネパールなどで使われているククリ刀。

ククリは今のところ普通に流通しているので適法と判断されているようだが、凶悪事件で武器に使われたりすると、タガーナイフのように所持禁止されかねない(^^;

武器としては鉈より戦闘力高そう。

どちらも部分的に錆びていた。

錆身をきれいに磨く作業は刃付けの何倍も時間がかかる。

私は磨きは専門ではないし、もしやるとも相応にお高くなる。

いかがいたしましょうお客様?とたずねると、今回は刃付けだけというご依頼になった。


サバイバルナイフのBMF

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ショットブラストで表面処理しているので、機械が無いと磨いてしまうと元に戻せない。

研ぐのは小刃だけ。
小刃がまっすぐになるように注意する。





ククリ刀。

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内反りしている刃物でも、鎌やグルカナイフは精密作業に使うわけではないのでわりとアバウトでいい。
今回時間がかかったのは研ぎ痕を目立たなくする作業。
ほとんど飾ってるだけだと思うので、ある程度小傷を目立ちにくくした。

これが外丸のノミや彫刻刀、外丸鉋などになると、中砥と仕上げ砥を整形することから始めなければならない。



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天然砥石のこと

あまり使わないのだが、天然砥石について調べる機会があったので記事にしておく。
素人なので誤記もあろうかと思うが、見つけたらご指摘願いたい。


○ 岩石の成り立ち

地球は宇宙の塵が集まってできた惑星だ。岩石もやはり宇宙の塵が元となって形作られている。
地球が生まれたのは約46億年前と言われているが、原始の地球は太陽のように高温の塊だった。それが冷えて固まった物が初期の岩石である。


○ 岩石とは?

岩石とは、
・いろいろな物質が雑多に寄り集まっている
・ある程度大きさがある
・固い
という物質である。

岩石と区別される塊に、鉱物や金属、鉱石がある。
鉱物は結晶化した固体物だ。たとえばダイヤモンドや水晶が鉱物である。金属も鉱物に含まれる。鉱物のなかから金属元素を精製したものが一般に金属と言われるものだ。
鉱物を多く含む岩石のことを特に「鉱石」という。
岩石の一種が「鉱石」であるが、鉱石の中に含まれる鉱物は岩石とは言わない。
岩石の中に鉱物が少量含まれていることはある。


○ 岩石の大分類 火成岩・堆積岩・変成岩
 
まず、宇宙空間のガス雲が冷えてドロドロに溶けた状態になり、更に冷えて固まって最初にできた状態の岩石を「火成岩」という。
火山噴火で噴出した溶岩が固まったものが火成岩である。宇宙から地表に落ちてくる隕石も火成岩だ。

火成岩と異なる方法で作られた岩石に「堆積岩」がある。
堆積岩とは文字通り、いろいろなものが堆積して固まってできた岩石である。
火山の溶岩が固まった岩石は火成岩であるが、噴煙が降り積もって年月を経て固まった岩石は堆積岩である。
このほか、川の河口や海底に長い年月をかけて砂や泥が堆積して固まったものも堆積岩である。

このほかにもう一つ、「変成岩」というものもある。
変成岩は元々の岩石が熱や圧力の影響で再結晶化するなど構造変化してできた岩石だ。火成岩が変成した変成岩もあるし、堆積岩が変成した変成岩もある。


○ 天然砥石はどんな岩石か

天然砥石は堆積岩ないし堆積岩をベースとする変成岩が多い。火成岩は少ない。火成岩は溶岩が固まった物なので砥石としては硬すぎるようだ。
堆積岩に分類されるのは、京都産の各種合砥(仕上砥石)丹波の青砥(中砥石)、愛知県三河の名倉砥和歌山の大村砥九州の対馬砥、平島砥、天草砥などである。
アメリカのアーカンソーストーンも日本のサイトでは堆積岩に分類されていたが、アメリカの地質学のサイトでは変成岩に分類されていた。変成岩と堆積岩は区別が曖昧なものが多い。京都の合砥も変成作用を受けている。
火成岩に分類されているものには愛媛県の伊予砥群馬の沼田砥上野砥などがあり、風化して脆くなったものが砥石として使われているようだ。



○ 砥石の条件

砥石は研磨の役割をする「砥粒」とその砥粒を結合させている「基材(結合材)」で出来ている。
砥石として使用することができる岩石の条件は次の二つだ。

・基材が適度な硬さであること(柔らかすぎず、硬すぎない)

・砥粒が粗すぎないこと


火成岩の大きな問題は基材が硬すぎることだ。硬すぎるので刃物をこすっても表面で滑るだけで研げない。
伊予砥や沼田砥については“風化した”火成岩とわざわざ説明されているが、火成岩の中でもかなり柔らかい種類なのだろう。
堆積岩には柔らかすぎる物も硬すぎる物もあり、絶妙な硬さの物が砥石として利用されている。


○ 堆積岩の粒子

堆積岩は含まれる粒子の大きさで、礫岩(れきがん)砂岩泥岩に分類できる。
前から粒子が大きい順である。

砥石に使われるのは砂岩の中でも粒子の細かいものからだ。
砂岩の砥石には、千葉で採れる銚子砥、長崎の平島砥(大村砥)、和歌山の紀州砥(紀州大村砥)などがあり、いずれも荒砥石である。

中砥石以上はより粒子が細かい泥岩で、泥岩の中でも特に粒子が細かいものが仕上砥石である。
個々の砥石の分類を調べると「粘板岩」とか「頁岩」と書かれていたりするが、粒度で分類するとどちらも泥岩の一種といえる。


○ 微粒子の堆積

堆積物は火山灰でも川の流れに乗った土砂でも、大きいものから先に落ちていく。
ということは、堆積岩は粒子が細かいほど陸地から遠く離れた場所に堆積して出来たと予想されるのである。
また、粒度が細かい堆積物ほど一定の厚さになるのに時間がかかる。

粒度の細かい京都産の合砥(仕上砥石)は、フィリピン沖の深海に約2億5千万年ほど前に風塵や微生物の死骸が堆積してできたと考えられている。

1ミリ堆積するのに1000年かかるそうだ。

厚みが5センチの合わせ砥石は、約5万年間いちども砂ほどの大きさの粒も落ちてくることなく、ひたすらプランクトンの死骸やPM2.5のような極小の風塵だけが堆積し続けた成果ということになる。
それを考えると恐れ多くて面直しで減らすことも憚られる。


○ プレートテクトニクスと付加体

ついでにフィリピン沖から京都までやってきた道程についても触れておこう。
地球の表面はいくつかの大きなプレートに別れている。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b4/Plates_tect2_ja.svg

そして、それぞれのプレートは地下のマントルの動きによって少しづつ移動している。

日本はご存知のとおり四つのプレートのちょうど境界あたりに位置している。
最近話題の南海トラフは西日本が乗っかっているユーラシアプレートとフィリピンプレートの境界にできた海溝で、東海あたりから沖縄の方向に伸びている。
http://www.city.sakaide.lg.jp/site/bousai/jisin1.html

約2億5千万年前にフィリピン沖の海底に積もった堆積物がフィリピンプレートに乗って徐々にユーラシアプレートに近づいてきた。
フィリピンプレートは南海トラフで地下に沈み込む。
しかしプレート表面の一部の土砂は、ユーラシアプレートの端にひっかかって剥がされて、ユーラシアプレートの一部になってしまうのである。
このはがされた部分のことを「付加体」という。
http://www.s-yamaga.jp/nanimo…

以上の内容をわかりやすくアニメーションで説明しているサイトがあったので紹介しておく。
http://www.geocities.jp/p451640/・・・

京都の砥石はつまり、この付加体である。

日本のかなりの部分が付加体なのであるが。
その中でも特に砥石として優秀な性質を持つ層が京都にひょっこり顔を出したということだ。
昭和初期には砥石の採掘場が全国に900箇所もあったという記録があるそうだ。
日本の地表で採れる砥石についてはかなり調べられているのだろう。
その中でも奇跡的な条件下で形成された優秀な砥石が京都の合砥なのである。


○ 天然砥石と人造砥石

人造砥石の多くは天然砥石を模して人工の基材(結合材)に人工の砥粒を混ぜて作られている。

刃物を研ぐという行為はおおまかに整形と刃付けないし研磨の二つに分類できる。荒砥石は整形、中砥石は整形及び刃付け、仕上砥石は刃付けの役割を担う。

荒砥と中砥が担う整形については、人造砥石の方が天然砥石より優れた物があると思う。整形には研削力が強く形が容易に崩れない砥石が良い。ということは、基材は変形しにくく砥粒は研削力が強い方が良いということだ。
一方、仕上げで微妙な段階になると、人造砥石は未だ天然砥石にかなわない。

人造砥石にも優れた仕上砥石は多い。しかしカンナや剃刀をすごい切れ味に仕上げるときには天然砥石に及ばない。
人造砥石の砥粒の大きさは、超仕上げ砥石と言われる#8000でも2~4ミクロンである。
砥粒にはアルミナや炭化珪素と言われる物が利用される。
人造砥石の研削力が優れているのはこれらの砥粒が硬いからだと思う。

天然砥石で砥粒の役割をするものは一概にこれと特定できないかもしれないが、おそらくコノドントのような微化石や珪素だと考えられる。
しかしこれらが#8000の超仕上砥石よりずっと小さいわけではないだろう。
炭化珪素ほど硬くはないので、研いでいるうちに破砕して小さくなったり角が取れたりすることで、より細かい研ぎができるのではないかと思う。

天然の仕上砥石では、砥糞を流さず砥石の上に貯めてこねくり回すようにネチネチ研ぐと良い刃が付く気がする。
荒砥石や中砥石では、砥糞はさっさと流してしまって角の立った新しい砥粒を表に出して研ぐ方が早く研げる。荒砥石では粗い砥粒が余計な小傷をつけてしまうという問題もある。
砥糞は流さずに研ぐ方が良いのではないか、と尋ねられることがよくあるが、流さない方がいい場合があるのは仕上げ段階だけだ。

天然砥石で研ぐと、日本刀のように折り返し鍛錬した刃物では鉄の地肌の働きが現れて楽しい、ということもある。
人造砥石や研磨剤では鏡面に磨き上げることはできるが焼き入れの作用や鍛錬の作用が詳らかに浮き立つようなことは無い。これは天然内曇砥石に酸化作用があるためではないかと推測される。
現代鋼で作られた刃物では、合わせ、割り込み、本焼きなどの包丁で刃境や刃文ぐらいは出るが、日本刀のような多様な文様は出ない。

テーマ : 包丁研ぎ
ジャンル : 趣味・実用

外丸の彫刻刀、鑿(のみ)を研ぐ

外丸の彫刻刀や鑿は砥石を作るところからはじめないといけない。
私は薄くなった砥石を切って作っているけど、普通の人はどうしてるんだろう。専用のものが売ってるのかな?

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こんな感じ。大きさは小ぶりなライターぐらい。
ピンクはあらと君(#220)、かなり大きく削るときだけ使う。青は中砥、白は仕上砥(#10,000)の小割れ。
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3mmの外丸彫刻刀。
彫刻刀のRに合わせて、面直しで砥石を尖らせたり丸めたりしながら研ぎます。
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一番下は13mmの叩き鑿。ここまで研ぎ減っていても研ぐとちゃんと刃境が見える。楽しい。エッジは使わないし、そこまで研ぐとだいぶ減らしてしまって刃が勿体無いので真ん中部分だけ研いでいる。

テーマ : 刃物
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